「エコカラット」にはどんな効果がある?DIYは可能? その特徴を徹底解説

「エコカラット」にはどんな効果がある?DIYは可能? その特徴を徹底解説

家をリフォームする際に人気の建材「エコカラット」。部屋の空気をクリーンに保ってくれるなど多くのすぐれた部分を持っています。そんなエコカラットの特徴や期待できる効果、人気の秘密について探ります。

そもそも「エコカラット」って何?

伝統的な「土壁」がルーツの、温度と湿度を保つ便利な建材

エコカラットとは、「多孔質セラミックス」とよばれる素材を使って作られた壁材のこと。

高温多湿な日本の気候との相性がいい伝統的な「土壁」がルーツになっています。土壁は、湿度の高い夏の家をカビから守りながら涼しく保ち、冬は結露を防ぎつつ暖かい空間を保つ素材として、古くから日本家屋に使われてきました。

そんな土壁をヒントに最新の技術を盛り込んで進化させたパネル型の壁材がエコカラット。人にも環境にもやさしい建材として2010年にはグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞するなど、これまでにいくつもの賞を受賞しています。

エコカラットシリーズを製造、販売しているのは、住宅系設備では業界最大手のLIXILグループ。「トステム」「イナックス」「新日軽」「サンウエーブ工業」「東洋エクステリア」という国内メーカー5社が統合し、2011年に誕生した会社です。

LIXILのエコカラットシリーズは、機能性の高さはもちろん、デザイン性でも評価が高いのが特徴。

素焼きタイルのような形状でインテリアのアクセントとなおしゃれさもあります。レンガ風や石壁風など、さまざまなインテリアに合う多様なテイストのタイルや壁紙から選ぶことができることも人気の理由です。

エコカラットの機能・効果とは?

吸湿効果による、室内のカビ・結露の予防

エコカラットには目に見えない無数の微細な孔(あな)があいていて、その穴が部屋の中の湿気を吸ったり吐いたりする構造になっています。

室内の湿度が高いときはこの孔が湿気を吸収して湿度を下げ、湿度が低いときは湿気を出して部屋に潤いをもたらしてくれるという仕組みです。

この孔のサイズは、湿気やニオイの吸着に最適な1ナノメートル (1mmの百万分の1)。空気清浄力や調湿機能において優れているといわれる珪藻土にもまさるパワーがあり、空気中の有害物質も吸着・低減してくれる効果があります。

湿度が高いジメジメとした環境では、カビやダニの繁殖につながりますが、エコカラットはカビの予防に効果的。

また冬には室内の寒暖の差ができ結露の原因になりますが、調湿機能に優れたエコカラットが室内の湿度を調整し、結露をできにくくしてくれます。洗濯物の部屋干しをする家庭にもおすすめです。

リビングや寝室はもちろん、一日に何度も家族が出入りし、臭いや空気の汚れも気になる玄関にもおすすめ。調湿・脱臭・有害物質吸着という3つのすぐれた機能を備えたエコカラットが室内を快適に保ってくれます。

【注意】除湿対策には不向き

注意したいのが、エコカラットには「調湿」効果はあっても「除湿」効果はないということ。梅雨の時期にはエアコンのドライモードを
注意したいのが、エコカラットには「調湿」効果はあっても「除湿」効果はないということ。梅雨の時期にはエアコンのドライモードを

誤解している人も多いようですが、エコカラットには「調湿」効果があるものの、「除湿」の機能はありません。湿度が高くなると湿気を吸収しますが、極端に除湿をしてくれるわけではありません。単純に除湿対策をしたい場合は、除湿器や、エアコンの除湿機能(ドライモード)を使うことをおすすめします。

エコカラット施工だけでなく、換気も必要

エコカラットは、カビや結露の発生を抑制してくれる機能はありますが、完全に防げるわけではありません。

それぞれの家の状況にもよりますが、やはりこまめに窓を開けて換気をするなどの対策は必要になります。エコカラットの効果を最大限に引き出すためにも、換気を習慣にしましょう。

加湿効果による、室内の乾燥予防

夏場のジメジメだけでなく冬場のカラカラにも心強いのがエコカラット。湿度が低い環境では、のどの痛みや肌荒れなどが起こりやすくなります。風邪の予防から考えてもできれば一定の湿度は保ちたいところ。

エコカラットは部屋の湿度が下がると湿気を吐き出す構造になっているので、乾燥しすぎを防ぐ効果があります。寝ている間の乾燥が気になるという人が寝室の壁に採用するケースも多いようです。

ノドや鼻の痛み、肌荒れが起こり、インフルエンザにもかかりやすくなるといわれています。なかなか難しい湿度コントロールですが、エコカラットがあれば、快適な湿度につつまれた気持ちのよい暮らしが期待できます。

脱臭効果と有害物質の吸着・低減

可愛いペットにもニオイは付きもの。エコカラットは、そんなペット臭にも優れた脱臭効果を発揮してくれる
可愛いペットにもニオイは付きもの。エコカラットは、そんなペット臭にも優れた脱臭効果を発揮してくれる

生ゴミ、たばこ、ペット、トイレ……部屋にはさまざまな生活臭があふれ、換気だけではどうしても消えないもの。エコカラットは臭いの成分を吸着・低減しれくれる効果があります。

トイレ臭の原因となるアンモニア、生ゴミ臭の原因といわれるトリメチルアミン、タバコ臭のもとである硫化水素、ペット臭の原因であるメチルメルカプタン。エコカラットはこの4つのにおい成分に関して優れた脱臭効果を発揮します。

エコカラットが吸着する有害物質

エコカラットは、シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドなどの有害物質を使っていないので、人にやさしい建材と言われています。さらにエコカラットは、ほかの家具や建材から発せられる有害物質を吸着する効果があります。

シックハウス症候群とは、フローリングやクロス、接着剤などから発生する化学物質などによって室内の空気が汚染され、健康状態に影響を及ぼすこと。頭痛や吐き気、湿疹、鼻水などさまざまな症状があります。

有害といわれる主な物質は、ホルムアルデヒド・トルエン・キシレンなどが挙げられ、特に住宅の新築時にはホルムアルデヒドの濃度が濃くなるといわれています。特に小さい子供は影響を受けやすいといわれているので、子供がいる家庭にはうれしいポイントです。

お手入れが簡単

エコカラットは、乾いた布で乾拭きするのが基本のお手入れ方法。リクシルによると、

・ホコリなどが気になるときは、使い捨てタイプのハンディモップなどで軽くホコリをとる
・手あかや鉛筆汚れなど、ちょっとした汚れはプラスチック消しゴムでこすり落とす
・クロスや木材に比べてヤニがつきにくく目立ちにくいのが特徴ですが、喫煙の頻度に応じて硬く絞ったきれいな布で拭く

というのがおすすめの清掃方法だそう。汚れやシミがついたときは、漂白剤や綿棒を使用するのがおすすめだそうです。コーヒー染み汚れ・ケチャップ・マヨネーズ・しょうゆ・ソースには……

1 付着物がある場合は湿らせた綿棒などで除去
2 漂白剤を綿棒などでたたくように塗る
3 1日程度置くと薄くなる

小便の飛沫には……
1 付着物が乾いてから、塩素系漂白剤を綿棒に浸して汚れをたたくように塗る
2 1日程度置くと薄くなる

歯磨き粉には……
1 付着物をプラスチックヘラや歯ブラシでできるだけ取る
2 プラスチック消しゴムでこすり取る
3 硬く絞ったきれいなぞうきんや湿らせた綿棒で拭く

手洗い汚れ、靴・スリッパのこすれ、樹脂のこすれ、口紅、毛染め液、墨汁や絵の具、ペンやインクなどの汚れは落としにくいので注意が必要です。子供がいる家庭などでは避けられない汚れもあるかもしれませんが、エコカラットはデリケートな素材。注意事項さえ守れば簡単なのでこまめに掃除するといいでしょう。

「エコカラット・プラス」は、水拭きができる

エコカラットの特徴のすべてを兼ね備えたうえ、水拭きや洗剤での掃除を可能にしたのがエコカラットプラス。

玄関やリビング、寝室はもちろん、エコカラットでは難しかったトイレや洗面所、キッチンなど水の飛び散りが気になる場所にも設置できるようになりました。

水が直接かかるお風呂の中、水が溜まる場所には使用できませんが、摩擦にも強く、多少こすったとしても不自然な光沢が出てしまったり、質感が変化してしまう可能性も低くなりました。

リクシルによると、日常のお手入れとしておすすめなのが、きれいな布による水拭き掃除。直接水をかけての水洗いは避けたほうがいいようです。部分的な汚れはメラミンフォームなどを使用すると効果的に汚れを落とすことができるとのこと。

小便の飛沫、手洗い汚れ、歯磨き粉、靴・スリッパのこすれ、樹脂のこすれ、手あか、小コーヒーの染み汚れ、ケチャップなどの調味料汚れ、たばこのヤニ汚れも上記の清掃方法でOKだそう。ただし、エコカラット同様に口紅や毛染め液、ペンやインクなどは落ちにくいので要注意。

また、エコカラット・エコカラットプラスいずれも砂消しゴム、キッチン用の硬いスポンジや金だわしは使用不可。よごれや傷がかえってひどくなってしまう場合があるようです。

エコカラットのデメリット

部屋の中を快適な状態に保ってくれるなどメリットばかりのようなエコカラットですが、デメリットもあります。

汚れが付着して時間がたつと落ちにくい、水に弱いなど掃除の際に注意すべき点があるなど、取扱うときに少しコツがあることも分かりました。そのほかにはどんなことに注意すべきなのか紹介します。

強い力が加わると破損しやすい

エコカラットのデメリットのひとつが、衝撃に対する弱さです。耐久性はありますが、タイルなので割れやすいのが弱点。壁紙のようにラフには扱えないところがデメリットだといえそうです。軽い傷であれば専用の補修材「カラットコーク」で目立たなくすることは可能。

自分で修復が難しそうな大きな傷ができてしまったら施工業者に依頼すれば、破損した部分のみ補修してもらいましょう。エコカラットは、張り替えるときに部分的に補修ができるので費用が最小限で済むことはメリットだといえるかもしれません。

凝ったデザインも多く、細かくて立体的な模様があるタイプもありますが、細かい凹凸部分にはホコリや汚れがたまりやすく、掃除が少し面倒に感じることもあるかもしれません。

穴開けができない

インテリア性にも優れた壁掛け式の薄型テレビは最近人気だが、エコカラットの上からは設置できないので、施工の際は計画的に
インテリア性にも優れた壁掛け式の薄型テレビは最近人気だが、エコカラットの上からは設置できないので、施工の際は計画的に

構造上、エコカラットには穴をあけることができません。画鋲などを使ってポスターやカレンダーを張る、ネジや釘などで時計を掛けることも不可能です。エコカラット設置後に何らかの穴あけが必要になった場合は専門業者に依頼することになります。

壁掛けテレビやエアコンも、エコカラットの上から取り付けることはできません。テレビやエアコンを設置する際は、その部分にはエコカラットを貼らないなど計画的な施工が必要になります。

また、エコカラットは強力な接着剤で張り付けるので、一度設置すると簡単に剥がすことができないというのもデメリットのひとつかもしれません。

無理に剥がそうとすると壁の下地を傷めてしまう可能性があります。一般的な壁紙よりも高価ということもあり、張替えがしにくいことを考えて施工の際は慎重に検討しましょう。

エコカラットの寿命はどれくらい?

慎重に検討して導入したエコカラットであれば、気になるのが寿命です。エコカラットの耐用年数は特になく、基本的には半永久的に使うことが可能だといわれています。

目に見えない小さな孔が無数に空いているという構造上、汚れなどによってその孔がふさがってしまうこと、調湿や脱臭、有害物質の吸着などの機能が落ちてしまいます。この機能の低下はこまめなお手入れやメンテナンスで防ぐことができるもの。

基本的には耐久性にすぐれていて、紫外線による劣化や変色なども少ないので、長寿命だと考えていいでしょう。ある一定期間を過ぎたら張り替えるというタイプのものではなく、長く使うことができる、その名前のとおり「エコ」であるのが強みです。

エコカラットにリフォームするのに適した壁材と価格相場

エコカラットにリフォームするには、接着性が必須

エコカラットは重みがあるタイプの壁材なので、落下してくることがないようにしっかりと壁に接着させる必要があります。

一般的には壁紙を剥がしてから張り付けることが推奨されていますが、条件次第で壁紙の上からでも貼り付けが可能。自宅の壁をエコカラットと取り付けたい場合はどのようにすればよいのか、わからない場合は専業者に相談してみることをおすすめします。

また、エコカラットは部屋全体すべての壁に貼るタイプの商品ではありません。部屋のどこか一面または一部に設置するのが一般的。部屋の広さや天井の高さ、間取りなどに合わせてエコカラットの効果が期待できるように位置や面積を考え、効率的に設置しましょう。

エコカラットに適さない壁材の一例

壁紙の上からエコカラットを貼れるものとそうでないものがあります。LIXILによると、ビニル系のフッ素、EB等で撥水系表面処理された壁紙、紙系(ケナフ紙を含む)、オレフィン系(非塩ビ系)の壁紙の上からは施工できないとのこと。

また、ビニル系壁紙の撥水の有無は、霧吹き等を使って水を吹きかけて調べることができますが、判別がつかない場合は壁紙を剥がしてから施工したほうがよいとのこと。素人判断が不安であれば、プロに相談したほうがいいかもしれません。

壁紙の上からも貼り付けることが可能

上記の条件から外れる場合、エコカラットを壁紙の上からでも張り付けることが可能です。

ただし、壁紙がはがれやすい状態でエコカラットを直接貼り付けることは落下の危険性があるので厳禁。壁紙が剥がれてくるのを防止するには、タッカーを打ち込んで剥がれないよう止める必要があります。

壁紙の状態によっては剥がしてしまうほうがいいかもしれません。「壁紙にカビの発生がひどい場合」「壁紙の表面がひどく汚れている場合」「壁紙が所々剥がれている場合」は、必ず壁紙を剥がして施工して下さい。とLIXILはアナウンスしています。

LIXILでは、下地の素材別に、次のような施工方法を推奨しています。

●せっこうボード下地の場合
壁紙の剥がれ防止のために、ステープルを所定の位置に打ちます。壁紙の継ぎ目部分は必ずステープル留めしてください。ステープルは図のように約455 ㎜ピッチで留め付けます。ステープルは幅10mm 以上、打ち込み深さ8mm 以上のステンレス製のものを使用してください。

●コンクリート、モルタル下地の場合
壁紙の剥がれ防止のために一部の壁紙を除去して、壁紙の上からエコカラットプラスを貼り付けます。――LIXIL公式サイトより

詳細は「エコカラットプラス施工マニュアル」を参照ください。

エコカラット施工費用は場所や面積によって変わる

気になるエコカラットの施工費用ですが、一般的には平米単価で計算することが多く、1㎡あたり1万~2万円前後。デザインやグレードによっても異なり、高額製品だと2万円以上にもなると考えておくといいでしょう。

使用するエコカラットの枚数、施工する面積で費用が変わり、施工業者によっても料金設定に差があります。施工場所に合わせてカットや加工などもしながら、タイルをひとつひとつ壁に貼り付けていくようなイメージです。

LIXILによると、エコカラットの効果は部屋の広さや、窓の大きさ、換気や風通しの違いによって変わるものの、面積は「居室(12畳)なら4㎡以上、トイレなら1㎡以上をおすすめ」としています。

エコカラットプラス推奨施工面積表より

エコカラットにはDIY向け商品もある

エコカラットをDIYしたいという人向けのセット商品も販売されています。エコカラット本体と施工に必要な接着剤や工具など一式が同梱されている初心者にもやさしい仕様になっています。

エコカラットのDIYは初心者でも施工可能?

エコカラット本体と施工に必要な接着剤や工具が同梱されているDIY向けの商品が人気。初めてDIYする方でも扱いやすいように改良された専用接着剤、 施工手順を詳しく書いた施工説明書もついているので、DIY初心者でも簡単に施工できるようにつくられています。

施工時間は1セットあたり1時間を目安としているため、楽しみながら施工できるはず。手順も簡単です。

Step1:壁紙を剥がす
Step2:接着剤を塗る
Step3:エコカラットを張る

※参考:【LIXIL】エコカラット DIY 施工動画

「エコカラットDIY」の値段は?

DIY向け商品「エコカラット DIY」は全4シリーズ、13色展開。価格は1万784円~販売されています。購入すると次のようなセットが届きます。

・エコカラット(11枚):本体10枚+予備1枚
・専用接着剤(1本)
・くし目ヘラ(1個)
・マスキングテープ(1本)
・ピン(1セット)
・施工説明書 兼 取扱説明書(1冊)

施工に必要な材料がすべて揃っているので、届いたらすぐに貼り付けを開始できるという便利な商品。壁の一部のみに使用して、パネルのように見せるのもおすすめ。小面積、狭い部屋から試してみても良いかもしれません。

DIYが苦手な人でも簡単にできる「壁掛け型」タイプも

小面積でも部屋のアクセントになる高いインテリア性がエコカラットの魅力。パネル型なら、壁に受け材をネジ留めして引っ掛けるだけなので取付けも簡単。ちょっとした模様替えにも最適です。

エコカラット ウォールキャンバス」は幾何柄、モザイクなど全4シリーズ、8色展開。1万6000円台~販売されています。

ウォールキャンバスのほかに、受け材・壁紙・留め付け用ビス・ボードアンカー・画鋲など、施工に必要な材料が同梱されていて、こちらも届いたらすぐに施工開始できるようになっています。お手頃価格で手軽にエコカラットを導入できるDIY商品。

参考:【LIXIL】エコカラット ウォールキャンバス 施工動画

エコカラットは割れやすい素材なので、くれぐれも取り扱いには注意が必要です。DIYでももちろん可能ですが、大規模なリフォームや面積の大きい場所への設置は専門の業者に依頼すると安心です。

さまざまな形状や模様があり、デザイン性の高さも魅力的なエコカラットは、空間をおしゃれに演出してくれます。充実したラインアップの中から好みのテイストをぜひ探してみてください。

公開日 2020年8月6日
更新日 2023年3月22日

#リフォーム

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