スケルトンリフォームの費用相場と事例を紹介!リノベーションとの違い・デメリットは?

スケルトンリフォームの費用相場と事例を紹介!リノベーションとの違い・デメリットは?

スケルトンリフォームという言葉は知っているけど、具体的にはどのようなリフォーム方法なのかは知らない方も多いのではないでしょうか。

近年、新築ではなく中古マンションや戸建てを購入し、スケルトンリフォームを行う方が増えています。

本記事では、スケルトンリフォームに関する基礎知識やリフォーム費用相場、ローンの種類などについて解説します。

スケルトンリフォームとは

スケルトンリフォームとは、建物の内部や外部を解体し柱や梁など構造躯体(骨組み)のみの状態にしてリフォームを行うものです。スケルトンリフォームは建て替え工事を行わないため費用を抑えることができます。

リフォーム会社のホームページやパンフレットではスケルトンリフォームのことをフルリフォームと呼んでいる会社もあります。

スケルトンリフォームは木造建築の戸建てであれば柱や梁だけを残した状態から、マンションであればコンクリート躯体のみの状態からリフォームを開始します。

リフォーム内容や範囲にもよるものの、壁や天井などの建材を撤去するため大規模な工事となるケースが多いです。

スケルトンリフォームとフルリノベーションの違い

スケルトンリフォームとよく似た言葉にフルリノベーションがあります。リフォームとは一般的に改修や修繕を目的としています。

一方、リノベーションは刷新という意味を持っており、家のバリアフリー化や2世帯住宅への変更など、機能面の改善、材質やデザイン性が目的です。

リノベーションは暮らしにフォーカスをあてたリフォームに使用される傾向にあります。

スケルトンリフォームしない方がいい場合

スケルトンリフォームは家の状態を見定めながら行うため、なかにはリフォームを行わないほうがいいケースもあります。

とくに構造部分に不安がある場合はリフォームではなく建て替えを検討した方がいいかもしれません。

日本では1981年に建築基準法の改正により耐震性に関する規定がより厳しくなりました。改正以前に建てられた住宅は現在の耐震基準を満たしていない可能性があり、構造部分に不安が残ります。

そのため、そのような物件では建て替えをしたほうが費用を安く抑えることができ、構造面でも安心できます。

また、シロアリ被害により家の基礎部分や土台に損傷が見られる場合も同様です。もちろん、改正以前に建てられたものでも新耐震基準を満たしている住宅はあります。

住宅の耐震について知りたい方は専門家による住宅診断を受けてみましょう。

マンションと戸建てのスケルトンリフォーム

マンションと戸建てのリフォームでは制約の有無などに違いがあります。リフォームを想定して中古住宅を購入する際はどのような違いがあるのか確認しておきましょう。

制約の有無

マンションのリフォームは専有部分のみしかリフォームができないという制約があります。具体的には、玄関やベランダ部分は共用部とされているためリフォームができません。

専有部分であればある程度自由にリフォームできますが、集合住宅のため上下階への配慮や管理組合への確認が必要なケースもあります。

戸建てのリフォームの場合は内装や外壁などすべてリフォームが可能です。

工期の長短

戸建てのリフォームは自由度が高い分、内装や外装だけでなく玄関や庭などを総合的にリフォームすることができるため工事期間は長いです。

工事内容や施行業者によっても異なりますが内装のみの場合は2~3カ月程度、外装もリフォームする場合は一般的に4.5〜8.5ヶ月はかかります。

また、リフォーム計画をたてるまでに現地調査や見積もり、提案、その後の比較検討も含めて3ヶ月程はかかるとされています。

外壁リフォームをする場合、役所への建築確認申請は必要?

外壁リフォームをする際、建物によっては各自治体の役所に届け出を出す必要があります。ただし、平屋と木造2階建(4号建築物)に該当する場合は確認申請不要です。

4号建築物とは以下の要件を満たしているものです。

  • 2階建以下面積500平方メートル以下の木造建物
  • 高さ13m以下、軒の高さ9m以下の木造建築物
  • 平屋、面積200平方メートル以下の非木造建築物

上記の要件を満たす建物の場合は確認申請が不要となります。しかし、4号建築物でも増築リフォームをする際は確認申請が必要なので注意しましょう。木造3階建、鉄骨2階建といった住宅では確認申請は必要です。

スケルトンリフォームのメリット

スケルトンリフォームは部屋つくりを全体的に一新できるため、部分的なリフォームとは異なる特徴をもちます。スケルトンリフォームのメリットは以下のとおりです。

  • ライフステージに合わせた間取りの変更
  • 水回りのレイアウトやデザインが変更
  • 耐震・断熱工事ができる
  • 物件購入時の選択肢の幅

スケルトンリフォームは住居の基本的な部分を修繕することにより、建物自体の寿命を延ばすことができます。

ライフステージに合わせた間取りの変更

スケルトンリフォーム最大のメリットは、大掛かりな間取りの変更ができるため、ライフステージやライフスタイルに合わせた住まいを実現できる点です。

例えば、「子どもの結婚・同居に合わせて二世帯住宅にする」「子どもの独立に合わせてリビングと子ども部屋を大きなひとつの部屋にする」といった変更もできます。

最近では部屋数を減らしてLDKを広くし、家族が集まる空間を快適にするための間取り変更も人気です。

水回りのレイアウトやデザインの変更

通常のリフォームでは難しい水回り設備の位置変更ができることも魅力的です。キッチンや浴室、トイレなどの水回りは排水管の位置に左右されるため簡単には変更できません。

しかし、一度スケルトン状態にすることによってレイアウトを変えられる可能性があります。

耐震・断熱工事

スケルトンリフォームは躯体の状態を確認できるため、劣化している箇所が見つけやすく、必要な箇所は補修し耐震補強を施すことができます。

また戸建を外部スケルトンリフォームする場合は、断熱材を追加することで断熱効果が高まるのもメリットです。夏は涼しく、冬は暖かくなりやすくなります。

断熱効果が高いということは冷暖房の使用が減るため金銭的にもメリットがあるのです。

物件購入時の選択肢の幅

スケルトンリフォームを前提として中古住宅を探す場合、選択肢の幅が広がる点も見逃せません。中古住宅は新築と比べて供給量が多く、人気エリアの駅近物件などが見つかることもあります。

スケルトンリフォームのデメリット

外壁工事

スケルトンリフォームでもすべての希望が通るわけではありません。構造によっては柱を取り除けない、建築基準法の制限を受けるといった可能性も考えられます。

事前にどの程度のリフォームを行うかリフォーム会社に確認しておきましょう。

スケルトンリフォームのデメリットは以下のものが挙げられます。

  • 費用が高い
  • 工事期間が長い

費用が高い

スケルトンリフォームは工事範囲が広いため部分リフォームと比べると費用が高いです。建物の状態などによっても金額は変わってきます。

工事期間が長い

スケルトンリフォームは前述したとおり、工事範囲が広いため工事期間も長いです。また、居住できる空間を残したまま施工しようとするとさまざまな配慮が必要になり、状況によっては仮住まいを用意する必要があります。

賃貸住宅に仮住まい

賃貸住宅は仮住まい先として一般的な選択肢です。毎月の家賃と初期費用である敷金や礼金、不動産会社への仲介手数料が必要になります。電気や水道などの契約手続きも必要です。

ウィークリー・マンスリーマンションに仮住まい

ウィークリー・マンスリーマンションとは数週間〜数カ月ほどの単位で入居契約ができるマンションです。

運営会社によって費用体系は異なるものの一般的には敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用はかかりません。

ウィークリー・マンスリーマンションの特徴としては毎月の賃料に水道光熱費を加算して請求し、退去するときは清掃費用がかかる会社が多いです。

ホテルに仮住まい

フルリノベーションの工事期間中は、数ヶ月以上もかかるためホテルに滞在する選択肢もあります。費用は宿泊料金のみで初期費用や光熱費等は不要です。

リノベーションのための仮住まいには、ウィークリープランやマンスリープランを用意した長期滞在型ホテルがおすすめです。

リフォームのメリット・デメリット比較表

スケルトンリフォームのメリット・デメリットをまとめると以下のとおりです。

メリットデメリット
・ライフステージに合った間取りの変更が可能
・水回りのレイアウトやデザインが変更できる
・給排水管や配線の修繕・交換ができる
・耐震・断熱工事ができる
・中古住宅を新築のような住み心地に
・物件購入時の選択の幅が広がる
・すべてをつくり変えることはできない
・法的な制約を受けることもある
・コストがかかる
・比較的工期が長くなる

スケルトンリフォームの費用相場は?

リフォーム

スケルトンリフォームの費用相場はマンションと戸建てで異なり、工事内容や部材のグレードでも費用は異なります。

一般的なスケルトンリフォームの費用相場の目安は以下のとおりです。

費用相場(総額)費用相場(坪単価)
マンションおよそ450万~860万円およそ10万〜50万円
戸建ておよそ540万~1080万円およそ10万〜50万円

戸建ては、状態や築年数に応じて耐震・断熱工事などを行う可能性があり、費用相場の幅も大きくなる傾向にあります。

内装のみのスケルトンリフォーム費用相場例

戸建てをスケルトンリフォームする場合、マンションと違い内装のみか外壁を含むかで費用が大きく変わってきます。

内装のみをスケルトンリフォームした際の施工面積ごとの費用相場は以下を目安としてください。

延べ坪(建物の各界の床面積の合計)20坪
(66㎡)
25坪
(82.5㎡)
25坪
(82.5㎡)
40坪
(132㎡)
50坪
(165㎡)
内装のみスケルトンリフォームした場合(概算)750万~1150万円900万~1300万円1000万~1450万円1200万~1700万円1400万~2000万円

内装のみのスケルトンリフォームであれば、戸建てでも比較的価格を抑えられます。

外壁を含むスケルトンリフォーム費用相場例

戸建てを外壁までスケルトンリフォームすると、内装のみと比べて費用が大きく変化します。具体的には、以下の表を参考にしてください。

延べ坪(建物の各界の床面積の合計)20坪
(66㎡)
25坪
(82.5㎡)
25坪
(82.5㎡)
40坪
(132㎡)
50坪
(165㎡)
内装+外壁までスケルトンリフォームした場合(概算)1000万~1400万円1200万~1600万円1350万~1800万円1600万~2100万円1900万~2500万円

屋根や外壁まで解体してリフォームを行うとなると、人件費や材料費もかさむため、費用が高額になります。

内装だけのスケルトンリフォームとの違い

費用面のみを比較すると内装だけのスケルトンリフォームのほうがお得です。ただ、外壁までリフォームをすることで耐震や断熱といった家の機能を高めることができます。

日本ではいつ大地震が起きてもおかしくない状況が長年続いており、安全を確保するためにも住宅の耐震性能は高めておく必要があります。

そのため、自身や家族の安全のためにも外壁を含むスケルトンリフォームを選択肢に入れておくことをおすすめします。

リフォームと建て替えの比較

スケルトンリフォームと建て替えには明確な違いが2点あります。費用について下記の表を確認してください。

スケルトンリフォーム建て替え
建築費用およそ40万円/坪単価およそ60万円/坪単価
申請費用0円30万円前後

建築費用はスケルトンリフォームでは現在の柱や基礎を流用するのに対して、建て替えは新たに建材を用意することも多いため高額になる傾向にあります。

また、建て替えには住宅取得申請を行う必要があり、司法書士に代理してもらうために一定の費用がかかります。

もうひとつの違いが、建て替えに伴う制限によって床面積が減少する可能性がある点です。

現行の建築基準法には接道義務が設けられており、4m未満の道路に面した住宅を建て替える場合、道路の中心線と敷地の間に2m以上の幅がなければ建て替えできません。

こうした物件で建て替えを行うには、要件を満たすように敷地を後退させる必要があり、その結果床面積が減少してしまうのです。

スケルトンリフォームは、現行の建築基準法の適用を受けないため接道義務によって床面積が減少することはありません。

リフォームと固定資産税の関係

リフォームが固定資産税に影響するかどうかは建築確認申請の有無で判断されます。建築確認申請が必要なリフォームは主に以下の3つです。

  • 住宅の主要構造部のリフォーム
  • 床面積を増築するリフォーム
  • 住宅の使用用途が変わるリフォーム

このなかで、スケルトンリフォームは住宅の主要構造部のリフォームにあたるとされています。

主要構造部とは柱・壁・床・屋根・梁・階段を指し、これらに手を加える場合は住宅の性能を大きく向上させるため建築確認申請が必要となり固定資産税にも影響します。

リフォームで利用できるローン

自己資金だけでリノベーションをするのが難しい場合は、リフォームローンか住宅ローンを利用してローンを組むことができます。

リフォームローン|持ち家を改装する場合

ローンを活用してスケルトンリフォームを行う場合、以下の2種類から選ぶのが基本です。

・リフォームローン
・住宅ローン

両者の違いを以下の表で確認しましょう。

リフォームローン住宅ローン
初期費用なし20万円前後
金利相場およそ2.5~4.5%およそ0.5~2.5%
借入限度500万~1000万円が多い1億円が多い
借入期限最長5年~10年が多い最長35年が多い
団体信用生命保険原則なし原則あり
手続き比較的簡単
審査期間が短い
煩雑
審査期間が長い
担保なしあり

住宅ローンは、中古住宅の購入に合わせてリフォームを行う場合、物件の購入費と合算して申請が可能です。手続きもまとめられるため、よく活用されています。

現在住んでいる住宅をスケルトンリフォームする場合は、リフォームローンを使用するケースが多いようです。ただし、借入限度や借入期間に注意しましょう。

ローンの申請には見積もりが必要

住宅ローンを申請するには、工事請負契約書の写しや確定した見積もり書が必要です。業者を選定し、リフォーム内容を決定、見積もりの確定までは1カ月程度かかります。

リフォームすることが決まったら、業者の選定などをなるべく早く進め、スムーズに見積もり書を受け取れるよう動き出しましょう。

リフォーム会社の選び方のポイント

リフォーム業者を選ぶ際は以下4つのポイントを確認して選ぶことをおすすめします。リフォーム業者は数多くあるため、自分に合ったリフォーム業者を選ぶようにしましょう。

  • リフォーム比較サイトの口コミ
  • 工事実績が希望のものとマッチしている
  • 要望に応えてくれるか
  • 担当者と良好な関係か

リフォーム比較サイトの口コミ

リフォーム業者の評判を知る方法として口コミが役に立ちます。リフォーム比較サイトの口コミで良い評価が多い業者の場合は、優良リフォーム会社と判断できるため安心です。口コミの評判が悪い業者はなるべく避けるようにしましょう。

リフォーム比較サイトの口コミには実際にサービスを利用した人しかわからない情報もたくさん載っています。

リフォーム業者選びの際はリフォーム比較サイトの口コミも参考にすることをおすすめします。

しかし、口コミの評判が良いリフォーム業者でも必ず満足できるとは限りません。優良リフォーム会社だからといって、必ずしも自分と相性が合うとは保証できないからです。

リフォーム費用やデザイン性、担当者の人柄など、重視したい内容は人によって異なります。また、リフォーム業者が自社の評判を上げるために、サクラとして口コミを捏造することもあります。

リフォーム比較サイトの口コミは参考程度までにとどめておくのがよいでしょう。

工事実績が希望のものとマッチしている

過去のリフォーム実績を調べることで、その業者が得意としている工事が分かります。業者のホームページから宣伝文句や施工事例を確認しましょう。

リフォーム会社の選び方の決め手として、その業者がなにを得意としているのかを見極めることもポイントの一つです。

耐震性・耐火性の高いツーバイフォー(2×4)の住宅やマンションなど、自分が希望としているリフォームを多く経験している業者を選ぶのがよいでしょう。

要望に応えてくれるか

リフォームで重視したいポイントは、機能性を重視したい人や見栄えや予算にこだわりたい人もいます。業者側の意見のみを押しつけず、こちらの要望を聞き予算に合わせてローコストの提案をしてくれる業者は安心できるリフォーム会社といえます。

リフォーム会社選びでは、メリットやデメリットも含めて説明し、見積書の項目にある資材のサンプルを提示しながら説明してくれるリフォーム業者を選ぶとよいでしょう。

担当者と良好な関係か

リフォームはリフォーム業者と密にコミュニケーションを取りながら進めていくため、担当者との相性もリフォーム会社選びでは重要なポイントです。

リフォームを成功させるためにも、コミュニケーション能力が高い人が担当になるのがおすすめです。

リフォームは高額な費用や時間がかかるため、担当者と相性が合わないと感じたら担当替えを申し出るか、別のリフォーム業者に依頼することも検討に入れておくとよいでしょう。

公開日 2020年5月20日
更新日 2023年3月22日

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