住宅ローンの「ボーナス払い」とは?返済の割合や契約内容の変更について

住宅ローンの「ボーナス払い」とは?返済の割合や契約内容の変更について

自宅の購入などで住宅ローンを組んだ際、返済には毎月の支払いと一緒にボーナス払いを併用する方法があります。ボーナス払いの割合は、限度額までであれば自分の都合をふまえて選択できます。

また、ボーナスが予定通りに支給されなかった場合、通常は金融機関と相談し、必要に応じて契約内容を変更することも可能です。今回は、ボーナス返済の仕組みやメリット・デメリットを紹介します。

住宅ローンのボーナス返済の仕組みとは?

マイホームの住宅ローンを返済する方法は、おおまかに分けて毎月払いとボーナス時にボーナス分を割り当てるボーナス併用払いの2種類です。

【毎月支払い】と【ボーナス併用払い】

住宅ローンの返済にボーナスを併用する場合、借入額は毎月返済分とボーナス返済分に分けられます。

毎月支払いの概要

毎月支払いは、年間の返済総額を月ごとに振り分ける方法です。ボーナスを併用するケースでは、ボーナス時に支払う金額が月々の返済分から差し引かれます。

できるだけ早く返済を終わらせたくても、返済額がかさむと支払いは困難になります。ボーナスを併用するかどうかに関係なく、毎月支払いの返済額は計画的に設定する必要があります。

ボーナス併用払いの概要

ボーナス併用払いは、毎月の支払いとボーナスの支給月にボーナス支払いが組み合わさったタイプです。年間の返済総額は、月々の金額だけでなくボーナス時の支払い分も含めます。買い物の際、クレジットカードでボーナス併用払いをした経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ボーナス支給月には、借入額を可能な限りまとめて返済するパターンが一般的です。毎月の支払い分はボーナスによる返済分が差し引かれるため、ボーナスを併用しない場合より少なくなる傾向になります。

ボーナス併用払いの金額設定

ボーナス時には増額返済になる点をふまえ、ボーナスによる支払い分の金額を設定する必要があると考えられます。多くの場合、ボーナスで支払う割合は借入金の40~50%といわれています。

住宅ローンの返済でボーナスを使うか迷ったときには、ボーナス併用払いのメリットだけでなくデメリットも含めて検討するとよいでしょう。

ボーナス返済の割合は?メリット・デメリットを徹底解説

住宅ローン返済でボーナスを併用する場合、毎月の負担を抑えられるメリットと同時にいくつかのデメリットもある。双方のポイントを把握した上で利用を検討しよう
住宅ローン返済でボーナス払いを併用する場合、毎月の負担を抑えられるメリットと同時にいくつかのデメリットもある。双方のポイントを把握した上で利用を検討しよう

住宅ローンの返済でボーナスを併用する場合、毎月の負担を抑えられるメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。メリット・デメリットを把握したうえで、ボーナス支払いを利用するか決めましょう。

【メリット】毎月の返済額の負担を抑えることができる

毎月返済は、住宅ローンにおいて一般的な支払い方法です。ボーナス併用払いで毎月返済額を減らすと、月々の支払いによる負担の軽減につながります。

ローン返済は毎月の生活費を圧迫

日常生活を送るうえでは、さまざまな出費がつきものです。日々の食事代や毎月の光熱費のほか、通信費や交際費などの負担もあるでしょう。

会社員として働いている場合、毎月の収入額は基本的に変わらない方が多いのではないでしょうか。通常の生活費に毎月の住宅ローンが加わると負担はさらに重くなります。できれば、月ごとの返済額は少しでも減らしたいところです。

ボーナス併用で毎月の負担軽減

ボーナス併用での返済は、毎月の負担軽減に効果のある選択肢です。一般的な支払方法では、年間の返済総額を12カ月で均等に割ります。毎月の返済日は、金融機関と相談のうえ5日や25日に設定するのが通例のケースです。

ボーナス併用の場合、返済額の一部をボーナス時にまとめられます。その分だけ月ごとの返済額は少なくなるため、毎月の負担が軽くなります。

ボーナス返済の割合

多くの金融機関において、借入金全体のうちボーナスの支払い分に充てられる割合は40~50%までといわれています。設定割合は40%未満でも問題ないものの、上限の40~50%に設定するケースがよく見られます。ボーナス払いを併用するときは、限度額ぎりぎりまでを返済に充てる方が多いようです。

普段、何かと出費がありローン返済する余裕がないとお悩みなら、ボーナス併用払いを検討する価値はあるかもしれません。

【デメリット】ボーナス時に金利、返済総額が増額してしまう

ボーナス返済で生じる主なデメリットは、ボーナス時に金利や返済総額が増額してしまうことです。

ボーナスを併用すると金利が増額

住宅ローンの返済方法が毎月支払いのみでもボーナス払いを併用した場合でも、借入金そのものは変わりません。返済額全体に影響を及ぼすポイントは、月ごとに発生する銀行預金の利息、または郵便貯金の利子です。

ボーナス併用により毎月の返済額が減ると、毎月支払いのみの場合より元金は多く残り、残債にかかる金利も増えます。借入金は同じまま毎月の出費は抑えられても、利息・利子負担は重くなります。

ボーナスを併用すると返済総額も増加

ローン返済にボーナス払いを併用すると、月々の金利とともに最終的な返済総額も増加する可能性があります。多くの会社ではボーナス支給を年2回行っています。ボーナス月多めの職場でなければ、残りの10カ月は毎月支払いのみになります。ボーナス返済の割合が大きいほど、元金の残債額は多くなります。

ボーナス払いの併用では、そうではない場合に比べて毎月支払いの残債が多くなります。利子・利息額は高くなり返済総額も増えてしまいます。返済を終えるまでは、余計に高い利子・利息が借入金に加算され続けるでしょう。ボーナス払いを併用する際には、返済期間が長引くほど家計負担が重くなるばかりでなく、金利的に損をするおそれもあるため注意が必要です。

公務員や一部上場企業にお勤めの方は比較的リスクが低い場合も

ボーナス併用払いは、金利と返済総額に伴うデメリットのほか、景気に左右されるリスクを持っています。

ボーナスは景気に左右されることが多い

たいていの場合、ボーナスの支給額や支給の有無は、景気に左右されます。好景気で会社の売上が伸びていれば、ボーナスの支給額も増えると期待できます。支給月が年2回でも多額のボーナスを受け取れたら、ローン返済は重い負担にならずに済むでしょう。

問題は、景気動向が好ましくないときです。景気が良くないと、ボーナスの減額あるいは不支給を招く可能性があります。十分なボーナスを得られないと、ローン返済も難しくなるかもしれません。

公務員や上場企業の社員は比較的リスクが低い

ボーナスは常に支給される保証はありません。ただし、公務員や上場企業の社員であればボーナスがしっかりと支給される可能性が高くなります。不景気のなかでも財政状況が大幅に傾かない限りは、ボーナスは支給されると考えて良いでしょう。

景気動向に左右されず継続的にボーナスを受け取れるなら、ボーナス払いができなくなるリスクは低いといえます。もちろん、大企業や公的機関の財政状況が安定し続けるとは限りません。ボーナス併用払いを検討する際には、職場に関係なく、ボーナス不支給のリスクまで考慮したほうが無難でしょう。

月々の返済額を計算(シミュレーション)してみよう

ここでは、ボーナス併用払いによる住宅ローン返済のシミュレーションを紹介します。借入額3000万円、金利2.0%(固定金利)、返済期間35年、元利均等返済方式と仮定し、返済額を確かめてみましょう。また、ボーナス返済の割合に関しては10%~50%を比較し、参考のためボーナス併用なしのケースも示します。

返済割合10%

返済割合10%の場合、毎月の返済額は8万9440円、ボーナス時の返済額は14万9238円です。そのうち、ボーナスによる返済額は5万9798円、返済総額は4175万1090円です。

返済割合20%

返済割合20%の場合、毎月の返済額は7万9503円、ボーナス時の返済額は19万9099円です。そのうち、ボーナスによる返済額は11万9596円、返済総額は4176万3071円です。

返済割合30%

返済割合30%の場合、毎月の返済額は6万9565円、ボーナス時の返済額は24万8960円です。そのうち、ボーナスによる返済額は17万9395円、返済総額は4177万5053円です。

返済割合40%

返済割合40%の場合、毎月の返済額は5万9627円、ボーナス時の返済額は29万8820円です。そのうち、ボーナスによる返済額は23万9193円、返済総額は4178万7034円です。

返済割合50%

返済割合50%の場合、毎月の返済額は4万9689円、ボーナス時の返済額は34万8681円です。そのうち、ボーナスによる返済額は29万8992円、返済総額は4179万9016円です。

返済割合なし

ボーナスを併用せず返済割合がない場合、毎月の返済額とボーナス時の返済額はいずれも9万9378円です。ボーナス返済はなく、返済総額は4173万9108円です。

返済割合が増えるほど毎月の返済額が減るのは魅力的ですが、返済総額が増える点も見逃してはいけないでしょう。

注意点|ボーナス払いで払えなくなってしまった場合のリスク

景気の及ぼす影響力が大きいほど、ほとんどの会社の財政状況も変化する。ボーナス払いができなくなってしまった場合のリスクを考えておくことも大事
景気によって、ほとんどの会社の財政状況は変化する。ボーナス払いができなくなってしまった場合のリスクを考えておくことも大事

ボーナスは景気の影響などで支給されなくなる可能性があります。ボーナス払いできなくなった場合のリスクを考えておきましょう。

ボーナス不支給時には、まず金融機関に相談を

ボーナスが不支給のときには、理由を問わず住宅ローンを組んだ金融機関に相談するのがおすすめです。

ほとんどの会社は、多少なりとも経済的な変化の影響を受けます。景気の及ぼす影響力が大きいほど、会社の財政状況も変わります。すべての会社が、いつでも良好な財務状態を保てるとは限りません。

社内財政が思わしくない場合、職場によってはボーナスが支給されないケースも見られます。予定通りに収入を得られなければ、ボーナスでの返済分を払えないトラブルに見舞われるかもしれません。必要があれば、事前に作成した返済計画や契約した返済方法が妥当かどうか、金融機関に相談しましょう。

契約内容の見直しも|損をしない返済計画に変更しよう

ボーナスの安定的な支給が見込めない場合、契約内容の見直しを行うのも選択肢のひとつです。その際には、どんな返済計画であれば損をしないか検討するとよいでしょう。ボーナス返済の割合を変更したときの毎月の返済額を計算する、あるいは固定金利に問題がないかチェックすれば、適切な解決策の発見につながると考えられます。

また、ボーナス併用払いが難しくなった際には、この支払方法をやめる選択肢もあります。家計への負担が重いときに無理をする必要はありません。金融機関からアドバイスをもらいながら、ご自分の状況に合わせて契約変更の手続きを進めていきましょう。



公開日 2020年7月14日
更新日 2023年3月22日

販売中のおすすめリノベ物件