【住宅ローンの諸費用の内訳と目安金額】節約できるところは?

【住宅ローンの諸費用の内訳と目安金額】節約できるところは?

住宅ローンに発生する「諸費用」は、税金や各種保険料など多くの種類があります。「住宅ローン=頭金」という考えから頭金ばかり準備する人も多く、「諸費用がこんなに高いとは思わなかった」と慌てる人も少なくありません。

また、諸経費は基本的に住宅ローンに含まれず別で用意するものですが、最近では諸費用まで住宅ローンに含めてくれるサービスもあり、選択肢が広がっています。この記事では住宅ローンの諸費用について、その内訳や目安、節約方法について詳しく解説します。

住宅ローンの諸費用の相場はどのくらい?

住宅ローンでは諸費用や頭金など、何かとお金がかかるものです。諸費用とは住宅ローンに含まれない各種手数料や税金のことで、住宅の引き渡しまでに現金で支払うケースが一般的です。まずは諸費用の相場から見ていきましょう。

物件価格の5〜10%が目安

住宅ローンの諸費用は、およそ物件価格の5~10%といわれています。物件によっても少し相場が違いますが、中古物件なら6~10%、新築物件なら3~7%が相場です。

つまり物件価格が4000万円だった場合、中古物件なら240万~400万円、新築物件なら120万~280万円が相場となります。上記金額はあくまでも相場であり、場合によっては諸費用がもっと高くなることもあります。

新築物件より中古物件の方が諸費用が高い

先ほど紹介したように、諸費用として発生するお金は新築よりも中古物件のほうが高い傾向にあります。「新築物件=お金がかかる」というイメージが一般的なので、意外と感じる方も多いのではないでしょうか。

実は中古物件の場合、購入の際に「仲介手数料」というものが発生します。これは中古マンションの売買を仲介する不動産会社に支払うお金であり、住宅価格の7~12%が相場です。しかし仲介手数料はあくまでも「仲介」にかかる手数料なので、取引する不動産会社が売り主である場合は仲介手数料が発生しないこともあります。

住宅ローンの諸費用の内訳と目安金額

 住宅ローンの諸費用は物件価格の5〜10%と言われている。内訳ごとの相場を知っておこう
住宅ローンの諸費用は物件価格の5〜10%と言われている。内訳ごとの相場を知っておこう

住宅を購入する時もっとも高額なのは住宅ローンです。しかしその住宅ローンにかかる諸費用は種類も多く、それぞれに数万~数十万円程度かかります。主な諸費用のそれぞれの相場についてみていきましょう。

火災保険料

火事による災害に備えて加入する火災保険は、住宅ローンを組むときの1つの条件でもあります。保険料は建物の構造や補償内容によって異なりますが、相場としては15万~40万円程度です。

火災保険に入っていれば、住宅ローン返済中に万が一地震などの災害が発生して家が倒壊・半壊した場合、保険金で家を建て直すことができます。また、鉄骨造のマンションより木造住宅のほうが火災が発生しやすいため、保険料も高い傾向にあります。

地震保険料

先ほど紹介した火災保険では、地震による被害を賄うことはできません。地震のリスクから家を守るためには、地震保険への加入も必要となります。しかし地震保険は単独で契約できない商品が多く、加入の際は火災保険とセットとなるケースが一般的です。保険金額は1000万円あたり1万〜3万円程度を見込んでおきましょう。

地震保険は地震に限らず、地震によって発生した津波の被害までカバーできます。加入は任意となっているケースも珍しくありませんが、最近でも各地で大規模な地震が発生していますから、地震保険も必ず加入しておくべきです。

ローン保証料

住宅ローンを組む場合は保証人が必要です。そこで、住宅ローンでは契約者のローンを保証する「保証会社」にお金を支払い、保証を依頼します。借入する額や返済期間の長さによって金額が変わりますが、相場としては借入総額の2%程度です。

ローン保証料を支払う先は金融機関ではなく、保証会社となります。保証会社は、契約者が万が一返済できなくなった時、代わりに金融機関などに支払いを行ってくれます。保証会社が一時的に立て替えてくれることで、自宅の差し押さえを免れることができるのです。しかしローン保証会社が行ってくれるのは、あくまでも一時的な「立て替え」です。後に保証会社は、契約者に対して支払った住宅ローンを請求します。

ローン事務手数料

ローン事務手数料は金融機関が申し込み手続きを行うことに対する報酬という位置づけの費用であり、住宅ローンを契約する際は必ず発生するものです。相場としては3~5万円と一律で設定しているケースもありますし、借入金額の2.2%と定率で設定しているケースもあります。

見積もりに「融資事務手数料」と記載されていれば、ローン事務手数料のことです。金額は契約する金融機関が自由に設定できますから、会社によって大きく金額が変わってきます。また、夫婦共同で住宅ローンを契約する「ペアローン」の場合はそれぞれにローン事務手数料が発生しますので注意しましょう。

仲介手数料

前述したように、不動産会社を介して中古物件を購入する際は「仲介手数料」が必要です。相場は「(物件価格×3%+6万円)+消費税」なので、物件価格が4000万円だった場合は「138万6000円」が上限となります。

上限内であれば不動産会社が自由に設定できますが、最近ではさまざまな工夫によって仲介手数料を下げている会社もあるので、見積もりをもらった時にぜひチェックしてみましょう。

「諸費用とは住宅ローンとは別に用意するもの」と紹介しましたが、金融機関によっては住宅ローンに組み込めることもあります。諸費用のなかでもかなり高額になる仲介手数料ですから、手元の資金が厳しい場合は一度検討してみるのもいいでしょう。

団体信用生命保険料

いわゆる「団信」といわれる保険料が、団体信用生命保険です。一般的な生命保険の受取人が家族であるのに対し、団体信用生命保険料の受け取りは「金融機関」であるという違いがあります。

万が一契約者が死亡して住宅ローンの返済ができなくなった場合に、金融機関は住宅ローンの残債分を保険会社から受け取ることができます。そのため、契約者の家族に住宅ローンの負担がかかりません。また、死亡に対する補償に限らず、がんや糖尿病といった特定の疾病に対する特約を付けられる保険も多数出ています。

団体信用生命保険料の費用相場は10万~12万円ですが、基本的に金利に上乗せされているため別で支払う必要はありません。諸費用の1つとして知っておきましょう。

登記費用・司法書士費用

住宅を新たに購入するということは、その住宅の所有者になるということです。所有権が発生するとその権利について登記簿に記載する必要があるのですが、これを「登記」といいます。登記を行うことで、「この住宅は自分の物である」と第三者に証明できるというわけなのです。

そしてこの登記簿への記載は専門的な知識が必要なので、多くの場合司法書士に代行をお願いします。この時にかかる費用が「登記費用」や「司法書士費用」なのです。費用相場は10万円程度と決して安くはありませんが、知識のない人が登記を行うとかなり時間がかかります。住宅ローンを組むときは何かと忙しいので、できるだけ司法書士など専門家に依頼したほうが賢明でしょう。

印紙代(国税)

住宅購入の際には、売買契約書などをはじめ膨大な量の契約書を取り交わします。契約書は基本的に「課税文書」といって税金が発生するため、契約書ごとに印紙代も発生するのです。

印紙代は一律ではなく、契約書に記載されている金額によって変わります。たとえば1000万円を超える場合は2万円分の収入印紙が必要ですし、5000万円を超えると6万円分の収入印紙が必要です。

印紙代は税金なので、どの不動産会社や金融機関でも同じく発生します。万が一添付を忘れると「過怠税」として規定の印紙税額の3倍もの支払いが発生するので注意しましょう。

登録免許税(国税)

物件を購入して所有者になった時、「登記」が必要なことは前述した通りです。しかし実は、その登記には「登録免許税」として税金が発生します。合計20万円程度です。

支払うタイミングとしては、住宅ローンの融資が実行されたすぐ後です。しかし登記は司法書士に依頼する人がほとんどなので、司法書士に登記費用を支払うタイミングで登録免許税も預け、支払も司法書士に代行してもらう方法が一般的です。

不動産取得税(地方税)

不動産を取得する時に発生する税金を、不動産取得税といいます。これは親から無償で不動産を譲渡された時にも発生するもので、相場としては不動産の評価額に3%を掛けた金額です。

不動産取得税を納める先は国ではなく都道府県であり、不動産を取得してから半年~1年半の間に納税通知表が自宅に届きます。納期は都道府県によって異なりますので、通知表を確認してみましょう。

その他かかる諸費用

住宅ローンにかかる諸費用は、先ほど紹介したほかに以下のものが発生することもあります。頭金や引っ越し費用など出費が多い時期ではありますが、不意の出費にも対応できるようある程度資金は残しておきましょう。

・抵当権設定費用

・適合証明書(フラット35を利用する場合)

・リフォーム費用(中古物件の場合)

・消費税(物件のみで、土地には発生しません)

諸費用を節約するには?

すべて合わせると数百万円になる諸費用ですから、なるべく節約して賢くお金を使いたいものです。諸費用の内訳をしっかり見極め、諸費用を節約するポイントを紹介します。

火災保険料

住宅ローンを組む時、火災保険料は基本的に加入しなくてはいけません。しかし、保険会社が勧める金融商品の中には「特約」というオプションが自動付帯されていることもあります。

まずは見積もりを確認し、自分たちの住宅で不要な特約がないかチェックしてみましょう。そうすることで、保険料を下げられることがあります。

また、火災保険を提供しているのは保険会社だけではありません。全労済や県民共済をはじめ、職場の団体保険などでも取り扱っていることがあります。保険会社のように細かくプランを選べないこともありますが、見積もりを取ってみると保険会社より保険料が安いことも珍しくありません。

住宅ローンを組むとき、不動産会社と提携している火災保険を紹介されるケースも多くあります。しかし、自分たちで探した火災保険に加入することもできますので、一度見積もりを取って比べてみると良いでしょう。

仲介手数料

仲介手数料は上限の範囲内というルールのため値下げ交渉も可能。タイミングは媒介契約を締結する前がおすすめ

前述したように、不動産会社が売り主である物件は仲介手数料が発生しないことがあります。つまり最初から不動産会社が販売している物件を探せば、仲介手数料を節約できるのです。また、最近では「仲介手数料ゼロ」を謳う不動産業者も増えてきていますので、そういう業者にお願いするのも1つの節約術となります。

ローン保証料

住宅ローンの中でも高額な部類であるローン保証料は、以下のような節約方法があります。

・保証料を無料としている金融機関を利用する

・借入金額や返済期間を減らし、ローン保証料を少なくする

・「金利上乗せ方式」よりも安くなる、「一括払い」で支払う

ローン保証料は絶対かかるものと思われがちですが、実は金融機関によってはローン保証料を無料としている所もあります。

しかし当然ながらローン保証料を無料にすることは金融機関にとってリスクであり、審査も厳しくなるので注意が必要です。また、事務手数料など他の諸費用を高く設定している金融機関もあるので、トータルでかかる金額を見くらべるようにしましょう。

固定金利型の住宅ローンとして知られている「フラット35」は、保証会社を利用していないという仕組み上、ローン保証料が発生しません。

引越し費用

家族が多いほど膨らんでしまうのが引っ越し費用です。特に引越し先が県外など遠距離になるほど引越し費用は多くなり、数十万円かかってしまうケースも珍しくありません。以下のような節約方法があります。

・一括見積サービスで相見積もりを取る

・早めに見積もりを依頼する

・見積もりに来た業者に値引き交渉をする

最近はWebで一括見積が行えるサービスが増えていますので、まずは見積もりを依頼して見くらべるといいでしょう。また、引越しの見積もりは最低でも1か月以上前に取るのがおすすめです。引っ越し日が近いほどトラックや人員の手配が大変になり、引越し業者はなかなか値引き交渉に応じられません。

諸費用の明細を見る時の注意点は?

諸費用について記載された明細書をもらったら、まずは項目とその金額を確認します。そして注意したいのが、「トータルで見くらべる」という点です。

前述したように、ローン保証料が安かったり無料であったりしても、その分事務手数料に上乗せされていることがあります。また、「余裕ができたら繰り上げ返済をしたい」と思っているなら、繰り上げ返済の手数料もチェックしておきましょう。

不動産取得税や印紙税といった税金関係や登記費用はどの金融機関でも同じ金額になるので、見くらべても削減はできません。しかし保証料や事務手数料といった金額は金融機関が自由に設定できます。そのため各社で違いがありますし、明細も書き方が異なるので注意が必要です。

諸費用ローンは2種類。それぞれのメリットとデメリット

まとまった金額が必要となる諸費用ですから、「すぐには準備ができない」「用意した資金では足りない」というケースも珍しくありません。そんな時は、「諸費用ローン」という資金調達方法があります。

住宅ローンと一緒に借りるオーバーローン

金融機関によっては、諸費用も融資してくれることもあります。住宅ローンは金利が低いので、諸費用まで組み込めれば、他でローンを組むよりも利息分を下げることができます。また、全期間固定金利型であるフラット35も住宅ローンに諸費用を含めてもらえます。上記のように住宅価格よりも多い金額の融資を受けることを、「オーバーローン」といいます。

気を付けたいオーバーローン

本来住宅ローンとは住宅購入にかかるお金を借りるものですが、前述したようなオーバーローンを組ませてくれるケースもあります。しかし最近では、オーバーローンでわざと手元に資金を残し、その資金で車を購入するなどといった契約違反の使い方をするケースも増えているようです。

これは住宅ローンが自動車ローンなどに比べて低金利であることが影響していますが、当然ながら本来の使い方ではありません。不動産会社から提案されるケースもあるようですが、金融機関側に見つかれば一括返済を求められることもあるのです。前述したように、あらかじめ金融機関側に「諸費用も合わせて融資してほしい」といえば聞いてもらえることもあります。契約違反の使い方をしないように気を付けましょう。

住宅ローンと別に借りる

住宅ローンの審査も、決して緩いものではありません。諸費用も含めた金額で審査を依頼すれば、審査がさらに厳しくなる可能性もあるのです。審査の結果、保証料や金利が割高になる金融機関もあります。そんな時は、住宅ローンとは別で諸費用だけローンを組む方法も検討しましょう。

諸費用ローンが借りれる銀行は?

多くの金融機関では諸費用ローンのみの金融商品を扱っています。金利や付帯サービスなどで見くらべ、自分たちに合った金融機関を探してみましょう。大手金融機関でも諸費用ローンサービスを展開しています。興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。

りそな「諸費用ローン」

三菱UFJ銀行「住宅諸費用ローン」

三井住友銀行「三井住友住宅ローン(諸費用・リフォーム口)」

auじぶん銀行「住宅ローン」

諸費用ローンを組むときに注意すること

住宅ローンと合わせるとオーバーローンになる諸費用ローンは、以下のような注意点があります。

・月々の支払額が増える

・諸費用ローンにも審査がある

住宅ローンも諸費用ローンも毎月返済がありますので、両方返済を行う「ダブルローン」となります。毎月2つのローンを返済するので、どうしても返済額は上がってしまうのです。また、金融機関によっては諸費用ローンの金利が高いこともよくあります。

住宅ローンと諸費用ローンを合わせた金額をしっかり算出して、「本当にずっと支払っていけるか?」「教育費などほかの出費と重なっても耐えられるか?」というシミュレーションはしっかり行っておきましょう。

公開日 2020年6月23日
更新日 2023年3月22日

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