リバースモーゲージの仕組みとは? メリット・デメリット、注意点を解説

リバースモーゲージの仕組みとは? メリット・デメリット、注意点を解説

「このままだと、老後資金が足りるか不安…」。そんな方におすすめなのが、持ち家を担保に老後資金を借り入れる「リバースモーゲージ」という制度です。満55~60歳以上が対象となるシニア層向けの融資制度で、主に「住宅金融支援機構」や「社会福祉協議会」が取り扱っています。ここでは、リバースモーゲージの基礎知識やメリット・デメリット、向いている方の特徴をご紹介します。

リバースモーゲージとは何か?

リバースモーゲージとは、持ち家を担保に一括または年金形式で融資を受ける仕組みのことです。自宅は契約者の死亡後または契約期間終了後に売却し、その売却代金で借入金の一括返済を行います。主にシニア層向けの制度で、老後資金に余裕がなかったり、年金生活で収入が少なかったりする高齢者の方々が利用されています。

リバースモーゲージとひと口にいっても、その形態はさまざまです。住宅金融支援機構が扱うリバースモーゲージを筆頭に、銀行などの金融機関が扱う“リバースモーゲージ型ローン”や、生活保護が必要と認められた「要保護世帯」向けの制度も用意されています。

なお、1980年代に自治体(東京都武蔵野市)が開始した融資制度が、日本初のリバースモーゲージといわれています。やや特殊な性質を持つローンのため、制度利用前に特徴をしっかりと把握しておきましょう。

持ち家を老後の資金に充てること

リバースモーゲージは、いわば「持ち家(担保不動産)の住宅評価額の一部を融資してもらう制度」です。例えば、現時点の自宅の売却価格が3000万円なら、その一部(例:50%なら1500万円)の融資が受けられます。返済は死亡後や契約期間満了後に行うため、毎月の支払いは利息分のみとなります。

本制度を活用することで、融資されたお金を老後資金に充てたり、月々の返済負担を軽減できたりします。リバースモーゲージを利用する理由は人それぞれですが、老後資金が不安な方や、住宅ローンを借り換えたい方などに支持されています。

リバースモーゲージは老後の自立支援制度

リバースモーゲージは、取り扱う団体・金融機関によって利用条件が異なります。特に重要なのが、資金使途です。例えば、各地方の社会福祉協議会が扱うリバースモーゲージは、自立支援制度という位置付けで、借入金を老後資金以外に使うのは認められていません。

一方、金融機関が提供する“リバースモーゲージ型ローン”は、子どもへの生前贈与や趣味の活動資金など、プライベートにおける資金使途が認められています。投資目的の活用や事業用資金でなければ、原則、使途を問いません。

住宅ローンとの違い

持ち家を担保し、老後の生活について考えて、計画的な返済の準備を
リバースモーゲージは不動産を担保にまとまったお金を融資する制度。月々の支払は利息分のみ。元本は契約者の死亡後に一括返済する

リバースモーゲージを知るうえで欠かせないのが、住宅ローンとの違いです。結論からいうと、元本の返済タイミングが異なります。一般的な住宅ローンは、最初にまとまった融資を受け、その元本と利息を毎月返済していきます。

一方のリバースモーゲージは、融資限度額の枠内で「持ち家の住宅評価額の一部」を毎月借り入れます。月々の支払いは利息分のみとなり、元本は契約者の死亡後または契約期間満了後に一括返済します。

リバースモーゲージ型ローン”は最後にまとめて返却する“

不動産(持ち家)を担保に、借入金は最後にまとめて返済するのがリバースモーゲージの特徴です。ただ、近年注目されるローン商品に“リバースモーゲージ型ローン”と呼ばれるものがあります。これは住宅金融支援機構や社会福祉協議会が扱うリバースモーゲージの仕組みをベースに、利用条件の緩和や利便性を高めた金融機関独自のローン商品です。

例えば、社会福祉協議会のリバースモーゲージには、「満65歳以上のみ利用可能」という年齢制限があります。一方、「りそな銀行」が提供するリバースモーゲージ型住宅ローン「あんしん革命」では、満50歳以上から利用可能です。さらに老後の生活費に充てたり、住み替え費用に充てたりと、資金使途の面も緩和されています。借入金をさまざまなシーンで活用できるのが、“リバースモーゲージ型ローン”の魅力です。

リバースモーゲージのメリット

リバースモーゲージには、住宅ローンとは異なるさまざまなメリットがあります。ここでは、リバースモーゲージを利用する2つのメリットをご紹介します。

自宅に住み続けながら、決められた融資額が受け取れる

リバースモーゲージは持ち家を担保にした「融資」であるため、自宅を手放すことなく、その価値を現金化できるのがメリットです。借入金は一括、または毎月(年金形式)受け取れます。住宅の購入から老後資金まで、さまざまな使途に使えるのも魅力です。また、最終的に持ち家を売却すると、売却代金はローン残債に充当されます。事前の資金調達が不要で、資金不足でローンが払えなくなる、いわゆる “老後破産”の防止にもつながるでしょう。

旅行やリフォームなどの生活以外の資金にも利用可能

リバースモーゲージの特徴は生活費以外にも適用されること。老後のプライベートを充実させることにつながる
リバースモーゲージの借入金は生活費以外にも利用できる。老後のプライベートを充実させることにつながる

リバースモーゲージの借入金は生活資金以外にも利用できます。例えば、プライベートでの旅行資金、老人ホームの入居一時金、住宅リフォームの資金など、基本的に使途を問いません。ただ、これは「自由型」のリバースモーゲージ商品に限った話です。金融機関によりますが、「限定型」の商品は資金使途に制限があるため注意しましょう。

リバースモーゲージのデメリット・注意点

リバースモーゲージのメリットに続き、デメリットや注意点を見ていきます。リバースモーゲージに潜むリスクをしっかりと把握しておきましょう。

マンションの住宅は対象外になるケースがある

リバースモーゲージの対象住宅は、一軒家が原則です。マンションは対象外だったり、地域制限があったりするケースもあります。ただ、金融機関およびローン商品によっては、マンションでも利用できる場合があります。対象住宅について、事前に確認しておきましょう。

家族や相続人の同意がないと受けられない

リモートゲージは夫婦だけの問題ではない。家族や相続人との話し合わないとトラブルになることも
リバースモーゲージの利用には家族や相続人の同意が必要

家族や相続人の同意なければ、リバースモーゲージは利用不可能です。リバースモーゲージは担保不動産の売却を前提としており、自宅が相続財産として残らないためです。現時点で家族と同居している場合、売却後、家族が暮らす住宅がなくなる可能性があります。なお、相続人がローン残債を現金一括返済できれば、住宅を手放す必要がありません。この点についても、家族や相続人と話し合って決めておきましょう。

返済の増額や一括返済を求められることも

リバースモーゲージは、契約者が長生きするほど借入金が増える仕組みです。場合によっては、融資枠を使い切る恐れがあり、最終的な返済額も増加するリスクがあります。また、一般的なリバースモーゲージの適用金利は、変動金利です。国内情勢を受けて金利が上昇するなど、思わぬ形で返済額が増えることもあります。さらに不動産担保は、定期的に評価額が見直されます。持ち家の不動産価格が下落した場合、融資限度額を割り込むため、金融機関から一括返済を求められる可能性があるため気をつけましょう。

利用する時の条件とは

「シニア層向け」を謳うリバースモーゲージですが、利用にはいくつかの条件があります。例えば、年齢制限です。契約者の年齢が満55歳以上であることのように、長生きするのを前提に条件が設けられています。ここでは、一般的な金融機関におけるリバースモーゲージの利用条件をご紹介します。

支援を受けるためのクリアすべきポイント

一般的なリバースモーゲージの利用条件は、次の通りです。

1.年齢要件:満55~60歳以上
2.融資限度額:住宅評価額の50%~80%が目安
3.担保対象:一軒家(マンション対応のローン商品もある)
4.資金使途:住宅の購入・リフォーム・生活費など
5.月々の返済:利息分のみ。契約期間満了後に元本を一括返済
6.金利:変動金利

※利用条件は金融機関により異なる

上記内容をクリアした場合のみ、リバースモーゲージを利用できます。ここで重要なのは、資金使途です。借入金を老後資金や生活費に充てる場合、社会福祉協議会などが扱うリバースモーゲージでは制限がかかります。したがって、金融機関による“リバースモーゲージ型ローン”を利用することになるでしょう。

リバースモーゲージに向いているおすすめの人

金利上昇などのリスクを踏まえると、リバースモーゲージは万人向けの仕組みやローン商品であるとはいえません。ただ、対象者によっては、本制度をより有効活用できる可能性があります。そこで、金融機関が扱う “リバースモーゲージ型ローン”の利用をおすすめしたい方、向いている方の特徴をご紹介します。

老後資金に懸念がある

預貯金や年金受給額が少ないなど、老後資金が不安な方には“リバースモーゲージ型ローン”をおすすめします。社会福祉協議会などのリバースモーゲージもありますが、利用条件がやや厳しく、対象者は限られます。

一方、“リバースモーゲージ型ローン”は対象範囲が広く、より多くの方が利用可能です。自宅に住み続けながら一括・継続的に融資を受けられるため、老後資金にゆとりが生まれます。

生活資金を減らしたくない

「老後の蓄えはあるが、いざというときに不安…」。そんな方にも、“リバースモーゲージ型ローン”がおすすめです。入院・介護をはじめ、老後は何かと出費がかさみます。加えて、家族と余暇を楽しんだり、自宅をバリアフリーにリフォームしたりと、さまざまな形でお金が出ていくものです。リバースモーゲージを上手く利用することで、余剰金を確保しつつ、老後の生活資金の減少を抑えられます。

相続する人がいない

相続人がいなかったり、自宅を残す必要がなかったりする場合は、“リバースモーゲージ型ローン”で豊かなリタイア生活を送るのもひとつの手です。なお、子どもの相続人が1人でもいる際は、同意を得てからローンを利用するよう気をつけましょう。

住宅ローン借り換え後の返済が苦痛にならない

一般的な“リバースモーゲージ型ローン”は、住宅ローンの借り換えに対応しています。もし支払いが苦でなければ、借り換え目的で“リバースモーゲージ型ローン”を利用するのもひとつの方法です。

自宅から引っ越しを予定している

将来的に引っ越しを予定している場合、“リバースモーゲージ型ローン”で持ち家を処分するのも有効です。借入金は新居の購入費に充当できるのはもちろん、老人ホームに入居予定の場合は、入居一時金にも使えます。「将来的に誰も住まなくなる」「相続人がいない」など、持ち家の処分に困っている場合は、“リバースモーゲージ型ローン”を上手く使ってみましょう。

公開日 2020年8月1日
更新日 2023年2月14日

#ローン

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