4000万円の住宅ローンを組むには?適正年収と返済のコツを紹介

4000万円の住宅ローンを組むには?適正年収と返済のコツを紹介

住宅ローンを希望の借入額で組むためには、その額に応じた、相応の年収が必要です。この点を考慮せずにローンを組んでしまうと、後々長期間にわたって苦しむことになりかねません。では、希望の借入額が4000万円の場合、どれくらいの年収があればいいのでしょうか?

今回は、4000万円のローンを組む場合の適正年収について、シミュレーションも交えて解説。あわせて、適正な返済比率や、完済のコツと注意点についても説明していきます。

どの程度の年収が適正なのか

なぜ、住宅ローンを利用するのに、適正な年収というものが存在するのでしょうか?そもそも、住宅ローンの借入額は、年収によって大体の限度額が決められています。そのため、年収が少ないと希望の金額を借り入れできないのです。

また、借入限度額の範囲内であっても、借入額に対する年収額が少なければ、生活や返済が苦しくなってしまいます。無理のない住宅ローン返済のためにも、希望の借入額に対する年収を把握しておくことは重要です。ここでは、4000万円の住宅ローンを組むのに、適正な年収について説明していきます。

年収の5~6倍が借入額の目安

一般的に、適正な借入額の目安は、年収の5~6倍と言われています。これに当てはめると、4000万円を借り入れるのに適正な年収は、「約667万~800万円」になる計算です。ただし、ここから所得税や住民税、社会保険料が引かれるため、実際に手元に入ってくる金額は少なくなります。

年収の額にもよりますが、年間の手取り金額は、額面の約8割弱です。これを12で割った金額が、月間の手取り収入になります。手取り金額を8割とした場合、年収800万円の人の月間手取り収入は、約53万3000円。ここから、1カ月の生活に必要な資金や、貯蓄に回したい金額を引いていけば、月間の返済可能額の上限を把握できます。

適正な返済比率は収入の20~25%程度

住宅ローンを組むには、適正な年収のほかにも、適正な「返済比率」というものがあります。返済比率とは、収入に対する返済額の割合です。返済比率が高いと、収入から住宅ローンの返済額を引いた手残りが少なくなるため、生活が苦しくなってしまいます。適正な返済比率は、収入の20~25%と言われています。

例えば、年収が800万円の場合、適正な年間の返済額と、月間の返済額は以下のとおりです。

・年間の返済額:160万~200万円
・月間の返済額:約13.3万~16.7万円

年収800万円の手取り月収は、概算で53万3000円。ここから住宅ローンの返済額13万3000円を引いた場合、生活費などに残せるのは40万円です。これくらいの金額であれば、家計を圧迫することなく、無理なく返済ができると言えるでしょう。

適正年収に満たない場合

夫婦の収入を合算して住宅ローンを組めば借入額を増やすことができる
夫婦の収入を合算して住宅ローンを組めば、借入額を増やすことができる

適正な年収に満たない場合、ローンを組むのは諦めるしかないのでしょうか?この場合でも、共働きの夫婦であれば、4000万円の住宅ローンを組むことも可能です。共働きの夫婦なら、両者の収入を合算して、それをもとに住宅ローンが組めます。世帯収入が約667万~800万円の範囲内であれば、4000万円を借り入れても、無理なく返済できるでしょう。

世帯収入で住宅ローンを組む方法

世帯収入で住宅ローンを組むには、主に以下2つの方法があります。

・ペアローンを組む
・連帯保証型の住宅ローンを組む

1つ目は、1つの住宅に対して、夫婦がそれぞれ別の住宅ローンを組む方法です。例えば、夫が2000万円、妻が2000万円というように、それぞれ別の住宅ローンを組めるのです。この方法を「ペアローン」と言います。借入額に対する適正年収は、借入額の1/6~1/5なので、夫と妻で2000万円ずつローンを組むなら、それぞれの適正年収は「約333万~400万円」。一人でローンを組む場合に比べて、半分になります。

ペアローンのメリットは、夫婦両方に「住宅ローン控除」が適用されること。住宅ローン控除では、所得税から最大で、年間40万円の控除が受けられます。つまり、ペアローンを利用すれば、世帯で年間最大80万円の控除が受けられるのです。ただし、ペアローンは、登記費用や事務手数料など、住宅ローンの借り入れに必要な金額も2倍になるというデメリットもあります。

2つ目は、夫婦の収入を合算して、どちらか一方が債務者となり、もう一方が連帯保証人になる方法です。これを、「連帯保証型」の住宅ローンと言います。この場合も、夫婦の収入の合計額を、借入金額の基準にできます。連帯保証型のメリット・デメリットは、ペアローンのメリット・デメリットと反対になります。住宅ローンの利用に必要な費用が2倍にならないかわりに、住宅ローン控除も1人分しか受けられません。

離婚した場合に注意

夫婦両方の年収をもとに住宅ローンを組むことには、注意点もあります。それは、もし離婚をしてしまった場合に、大きな損失を被る危険があるということです。ペアローンや連帯保証型のローンを利用して、その後で離婚した場合、1人では返済が厳しいため、住宅を売却するのが一般的です。売却額がローンの残債より高ければ問題ありませんが、そうならなかった場合、住宅を手放したうえで、差分の額を返済していかなければなりません。

元パートナーが住宅ローンを払えなくなった時、返済義務が回ってくる

連帯保証型のローンを利用したケースにおいては、住宅を売却せずに、債務者が一人で住み続けるという方法もあります。しかし、もともと夫婦の世帯収入をもとにローンを組んでいるため、債務者がローンを返済できず、自己破産してしまう可能性も否定できません。

この場合、住宅ローンの返済義務は、連帯保証人である、債務者の元パートナーに回ってきます。このように、夫婦で住宅ローンを組むことには、大きなリスクもあることを頭に入れておきましょう。

年収別・毎月の返済額シミュレーション

住宅ローンを4000万円で組んだ場合、月々の返済額はどれくらいになるのでしょうか?ここでは、長期固定金利型の住宅ローン「フラット35」を利用した場合の返済額を試算していきます。フラット35は、全期間固定金利で、返済期間に応じて、以下2つの返済プランがあります。

・15~20年
・21~35年

金利は申込みの時期によって異なりますが、返済期間が21~35年の場合、2020年7月時点での最頻金利は年1.3%。この金利を使って、返済期間が28年と35年、それぞれの返済額を計算した結果は以下のとおりです。

28年35年
総返済額4774万1942円4980万8848円
年間の返済額170万5068円 142万3104円
月間の返済額14万2089円 11万8592円

月間の返済額は、28年固定金利が14万2089円、35年固定金利が11万8592円となりました。では、上記の金額をもとに、年収別の返済比率についても見ていきましょう。

年収500万円

年収500万円に対する返済比率は、それぞれ以下のとおりです。

・28年:約34.1%
・35年:約28.5%
※計算式は「年間の予定返済額÷年収×100」

適正な返済比率は、収入の20~25%程度ですが、どちらの返済期間でも、この基準を大きく超えています。やはり、年収500万円では、かなり負担が大きいと言えるでしょう。

年収600万円

年収600万円の場合の返済比率は、以下のようになりました。

・28年:約28.4%
・35年:約23.7%

返済期間が28年の場合、返済比率は、適正な割合を超えてしまっています。35年であれば、返済比率は適正な割合に収まります。ただし、返済期間が長くなると、月間や年間の返済金額は安くなるものの、総返済額が高くなってしまう点には注意が必要です。

年収700万円

年収700万円の場合の返済比率は、以下のとおりです。

・28年:約24.4%
・35年:約20.3%

どちらも返済比率は、適正な範囲内に収まります。

年収800万円

年収800万円の返済比率は、以下の結果となりました。

・28年:約21.3%
・35年:約17.8%

返済期間が28年の場合は、適正な返済比率の範囲内、35年の場合は、適正な返済比率を大きく下回っています。返済比率は、低ければ低いほど、自由に使えるお金が増えます。返済期間が35年なら、ゆとりを持って返済できる確率が高いということが分かるでしょう。

住宅ローンを完済するコツ

住宅ローンを無事に完済するためには、綿密な返済計画を立てることが重要です。しかし、そのほかにも、以下のようなコツがあります。

・金利のしくみを理解する
・頭金を増やす
・繰り上げ返済する
・金利の安い住宅ローンを選ぶ
・住宅ローン控除を利用する

これらのコツを利用することで、住宅ローンの完済を可能にする確率がグッと上がります。ここでは、これらのコツについて、1つずつ説明していきます。

金利の仕組みを理解する

住宅ローンを利用するうえでは、金利に対する理解が欠かせません。金利とは、借入金額に対する利息の割合です。ここでは、金利の仕組みを理解するのに重要な「借入期間の長さ」と「金利の種類」について説明していきます。

借入期間の長さ

一般的に、借入期間(=返済期間)が長いほど、金利は高くなる傾向にあります。この理由は、お金を貸す金融機関の側からすると、借入期間が長期にわたるほど、貸し倒れのリスクが高くなるからだと言われています。実際に、フラット35の場合、借入期間が15~20年と21~35年、それぞれの最頻金利は以下のとおりです。

・15~20年:年1.230%
・21~35年:年1.300%
※2020年7月時点

このように、フラット35でも、借入期間が長い方が、金利が高く設定されていることが分かります。金利を抑えたいのなら、無理のない範囲で、借入期間を短くするのがおすすめです。

金利の種類

金利のタイプには、大きく分けて、以下の2種類があります。

・固定金利型
・変動金利型

「固定金利型」は、借入期間中の金利が変動せず、一定なのが特徴です。「変動金利型」は、市場の金利の変動に応じて、金利が変動するタイプです。そのため、途中で金利が高くなるリスクがあります。固定金利のメリットは、市場の金利が上昇しても、影響を受けない点にあります。変動金利は、固定金利より金利が安く設定されている点がメリットです。両者の特徴やメリット・デメリットを理解したうえで、どちらを選ぶか決めるようにしましょう。

また、固定金利は、さらに以下の2種類に分けられます。

・全期間固定金利型
・固定金利選択型

「全期間固定金利型」は、返済完了までの全期間、ずっと金利が変わりません。「固定期間選択型」は、初めの数年だけが固定金利で、その期間が終了した後、固定金利か変動金利かを選択できるタイプです。固定金利の期間が長いほど、金利は高くなります。

頭金を増やす

同じ金額の住宅を購入するのにも、頭金の額が多いほど、月間の返済額と総返済額は安くなります。例えば、フラット35の35年固定金利、元利均等返済、金利1.3%の条件でシミュレーションした、頭金の金額ごとの返済額は以下のとおりです。

頭金借入金額総返済額月間の支払額総支払額
0円4000万円4980万8848円 11万8592円 4980万8848円
500万円3500万円4358万2693円 10万3768円 4858万2693円
1000万円3000万円3735万6564円 8万8944円 4735万6564円

このように、頭金の額が多いと、返済額だけでなく、頭金を含めた総支払額も安くなります。そのため、住宅ローンを利用するにあたっては、なるべく多くの頭金を用意するようにしましょう。

繰上げ返済する

「繰り上げ返済」とは、月々の返済とは別に、元金の一部をまとめて返済することです。繰り上げ返済をすれば、ローンの元金が減るため、利息や総支払額を低くできます。繰り上げ返済には、以下の2種類があります。

返済期間月々の返済額
返済期間短縮型 短縮される 変わらない
返済額軽減型 変わらない軽減される

返済期間短縮型の方が、総返済額は安くなります。

金利の安い住宅ローンを選ぶ

利息や総返済額を抑えるためには、低金利な住宅ローンを選ぶことが重要です。2020年7月時点で、低金利の住宅ローンを提供している、主な金融機関は以下のとおりです。

変動金利固定金利
金融機関 金利金融機関金利
ジャパネット銀行年0.380% SBIマネープラザ 0.28%
住信SBIネット銀行 年0.410% イオン銀行0.43%
auじぶん銀行 年0.410% 横浜銀行0.52%

金利は申込みの時期によっても変わるので、事前に最新の金利を、各銀行のホームページなどで確認しておきましょう。

住宅ローン控除を利用する

「住宅ローン控除」とは、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、10年間にわたって、毎年40万円を上限に、住宅ローンの年末残高(年末時点での残債)の1%が所得税から控除される制度です。例えば、住宅ローンの年末残高が3000万円なら、30万円の税額が控除されます。住宅ローン控除を受けるためには、以下の条件があります。

・返済期間が10年以上
・住宅の取得から6カ月以内に居住し、控除を受ける各年の年末まで居住し続けていること
・所得金額が3000万円以下
・住宅の床面積が50㎡以上あり、その半分以上が自分で居住するためのものであること

これらの条件を満たしているなら、ぜひ活用しましょう。

返済で失敗しないための注意点

返済計画に無理がないか、将来のライフプランなど合わせて考える必要がある
返済計画に無理がないか、将来のライフプランなどと合わせて考える必要がある

住宅ローンを利用する以上、返済に失敗してしまう確率もゼロではありません。失敗の確率を下げるためには、何があっても対応できるように、あらゆるリスクを想定しておくことが重要です。ここでは、特に気をつけておくべき点について説明していきます。

住宅ローン以外の費用を支払う余裕を持って

住宅を購入すると、今後は主に以下の費用も必要になってきます。

・管理費や修繕積立金(分譲マンションを購入する場合)
・固定資産税
・火災保険料や地震保険料

こうした支出を考慮せずに、住宅ローンを組んでしまうと、生活が成り立たなくなってしまう危険があります。そうならないためにも、住宅ローン以外の費用がどれくらいかかるのか、事前にシミュレーションしておきましょう。

出産育児などで働き方が変わる場合も

住宅ローンを組むときは、現在の状況だけでなく、将来のライフプランに合わせて考えるようにしましょう。例えば、今は子どもがいなくても、いずれは欲しいと考えているのなら、将来的に教育費がかかります。こうした将来の出費も考慮に入れておかないと、返済計画が大きく崩れることになってしまいます。

病気やけが、失業によって仕事ができなくなる場合も

生きていれば、病気やけが、会社の倒産やリストラなどによって、失業する可能性もあります。失業期間中は収入がなくなってしまうため、この場合も、返済計画が大きく崩れることになってしまうでしょう。

ボーナス返済に無理がないか

「ボーナス返済」とは、月々の返済に加え、年2回のボーナス月に、金額を増やして返済することです。これには、月々の返済額を安く抑えられるというメリットがあります。ボーナス月の返済額が多ければ多いほど、月々の返済額も安くなります。しかし、だからといって、ボーナス月の返済額を高く設定するのは、おすすめできません。

なぜなら、今は会社からもらえるボーナスが多くても、業績悪化や転職などによって、ボーナスが減額されたり、なくなったりする可能性もあるからです。月々の返済額が安くなるのは魅力ですが、ボーナス返済の返済額は、無理のない範囲で設定するようにしましょう。

繰り上げ返済に無理がないか

繰り上げ返済でも、返済額を高くしすぎてしまうと、家計を圧迫したり、後々の返済に支障をきたしたりする危険があります。こちらも、負担にならないよう、無理のない範囲で返済するようにしましょう。

団信に入らないと家族が返済を続けることに

住宅ローンを利用するうえでは、必ず「団信(団体信用生命保険)」に加入するようにしましょう。団信とは、返済期間の途中で、住宅ローンの債務者が死亡したり、高度障害状態になってしまったりした場合に、ローンの残債を保険会社に肩代わりしてもらえる保険です。

団信に加入しておけば、万が一のことがあっても、残された家族はローンの残債を返済せずに済みます。反対に、団信に加入しなかった場合、残された家族が返済を続けなければなりません。多くの住宅ローンでは、団信への加入が義務付けられています。加入の義務がない場合でも、任意で加入しておくようにしましょう。

公開日 2020年7月30日
更新日 2023年2月14日

#ローン

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