中古マンションは何年住めるの?建て替えの可能性がある築年数や費用を解説!

中古マンションは何年住めるの?建て替えの可能性がある築年数や費用を解説!

マンションの寿命は建物の構造や管理状態などによって変わってきます。例えば、築40年、50年の中古マンションを買ったあとに、そのマンションが建て替えになる可能性もあるかもしれません。

築年数が古い中古マンションの購入を検討しているときは、何年住めるのか?今後建て替えの可能性があるかどうかを事前に確認しておくことが大切です。

本記事では、マンションの寿命や現在の建て替え状況などをテーマにして解説していきます。

 

マンションの平均寿命

国土交通省が2013年に発表している資料によると、平均的にマンションは築68年で取り壊されています。中でも取り壊したのちに建て替えられたものは平均33年です。

マンションの耐用年数

マンションの耐用年数は、主に以下の3点を基準とするケースが多く見られます。

  • 法定耐用年数
  • 耐震基準
  • 物理的寿命

それぞれの基準により、マンションの寿命は異なります。

マンションの法定耐用年数による寿命

建物には、税法によって決められた耐用年数が存在します。法定耐用年数に達すると、建物の価値はゼロになります。

マンションの構造が鉄骨鉄筋コンクリート造

法定耐用年数は、建物が住宅用か店舗用かによっても変わります。下記はマンションのように住宅用として建てられた物件の耐用年数です。

構造法定耐用年数
鉄筋コンクリート造(RC)
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)
47年
木造22年

築年数40年のマンションても住める?

法定耐用年数が過ぎてしまった場合は、そのまま住めなくなるわけではありません。

マンションの耐用年数とは、法人税などを計算するために統一した基準で減価償却の計算を行うために法律で規定された年数です。

そのため、マンションの耐用年数が過ぎていても物理的に問題がなければ住み続けることができます。

マンションの耐震基準による寿命

耐震基準によるマンション寿命

マンションが新耐震基準によって建てられたか、旧耐震基準が適用されているかによってマンションの耐震基準による寿命がわかってきます。

新耐震基準と旧耐震基準の違い

新耐震基準が適用されたのは1981年6月1日からです。それ以前の耐震基準が適用されている物件は、旧耐震基準となります。

旧耐震基準の建物は「震度5強程度の地震でほとんど建物が損傷しない」ことを目安に作られており、新耐震基準の物件は「震度6以上の地震にも耐えられる」ことが求められます。

中古マンションが新旧どちらの耐震基準を適用されているか確認したいときは、マンションの建築確認通知書を調べましょう。

通知書の発行された日付が1981年6月1日より後であれば新耐震基準が適用されているはずです。

旧耐震基準の物件のメリット

中古マンションを買う場合は、旧耐震基準の物件は絶対に避けたほうがよいというわけではありません。旧耐震基準のころに建てられたマンションのなかにも、新耐震基準と変わらない強度をもつ物件もあります。

立地条件がよい物件が多い

駅近くの土地ほどマンションや商業施設が建築されます。新築マンションで駅近くを探す場合、売出し中のマンションがないといったケースも珍しくありません。

立地条件がよい物件を探すなら、旧耐震基準の中古マンションも物件探しの選択肢に入れるのがおすすめです。旧耐震基準の物件であれば、立地条件がよいマンションが見つかったというケースもあります。

物件価格が安い

物件の価値は上記述べたとおり、築年数が経つにつれて下がります。築年数が浅いほど価格の下落率は大きいです。マンションの場合、一般的には築年数が20年程で新築購入時時の半額近くまで下落します。

築年数が20年以降は横ばいで推移していくとされています。そのため、築20年以降の中古マンションは、価格が落ち着いており安く買うことが可能なのです。

強度が高いマンションもある

旧耐震基準マンションでも新耐震基準を上回る強度で建てられたマンションもあります。そのため、旧耐震基準マンションのすべてが耐震強度が不足しているわけではありません。

また近年、人気があるヴィンテージマンションも通常のマンションと比べ耐震強度が高いです。人気のあるヴィンテージマンションは耐震強度を現在でも保っているケースが多くあります。

旧耐震基準マンションのデメリット

旧耐震基準マンションにはメリットもありますが、住宅ローン控除の適用がないなどのデメリットもあります。旧耐震基準のデメリットは以下のとおりです。

  • 住宅ローン控除の適用がない
  • 贈与税の非課税制度がない
  • 耐震性が低い
住宅ローン控除の適用がない

マンションの住宅ローン控除を受けるためには、25年以内に建築されている必要があります。そのため、旧耐震基準マンションは基本的に住宅ローン控除が使えません。

しかし、築25年以上の物件であっても、耐震適合証明書が取得できる物件であれば住宅ローン控除を利用できる可能性もあります。不動産会社に耐震適合証明書が取得できる物件であるか確認しておくようにしましょう。

贈与税の非課税制度がない

贈与税の非課税制度は住宅ローン控除の条件と同じです。マンションの場合は築25年以内に建築されている必要があります。または、耐震適合証明が取得できる物件であれば贈与税の非課税制度を利用することが可能です。

つまり、築年数が25年以降の旧耐震の物件は耐震適合証明書を取得できなければ贈与税の非課税制度を利用することはできません。

耐震性が低い

旧耐震基準マンションのデメリットは、震度5を超える場合を物件があることです。そのため、建物が倒壊する可能性がないとは言い切れません。

マンションの物理的な寿命

国土交通省の報告書によると、鉄筋コンクリート造の建物の物理的寿命は少なくとも50年以上、長いものでは150年以上あると考えられています。

定期的なメンテナンスを行い適切に管理していれば、マンションの寿命は長くなり、建て替えの可能性も低くなるのです。

参考元:「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 

マンションの建て替えの現状

国土交通省の調査によると、平成28年末時点ではマンションの建替え事例は全体の0.23%程となっています。今までに工事が完了したマンションは227件と建て替えの事例が少ないです。

マンションの建て替えが進まない理由

建て替え・取り壊しの費用相場

マンションの建て替えが進まない理由としては大きく分けて以下の2つが要因とされています。

  • 建て替えには高額な建築費がかかる
  • 建て替えには区分所有者の4/5以上の賛成が必要

建て替えには高額な建築費がかかる

マンションの建替え費用相場は、部屋の広さやマンションの立地、新築の設備グレードにより金額は変動しますが、一般的に1000万~2000万円になるといわれています。国による融資制度はありますが、住人にとっては大きな負担となっています。

ライフスタイルは人それぞれ違いますので、金銭的な面から建て替えに反対する声も多くあるのが現実です。

区分所有者の4/5以上の賛成が必要

マンションの建て替えは、区分所有者(住んでいる世帯)の5分の4(または3分の2以上)の賛成が必要なため、5分の4以上の賛成を得るのが難しいのが現状です。

そのため、建て替え検討が進まないマンションが多くあります。居住者によって建て替えに対する考えは異なるので、簡単にはマンションの建て替えができないことに変わりはありません。

マンションの寿命がきたらどうなる

寿命が来たらどうなる? 建て替えや取り壊しの仕組み

マンションの寿命がきたら、建て替えか取り壊しの2種類があります。メンテナンスを頑張っていても、マンションはいずれ寿命を迎えてしまいます。

建て替え

マンションの建て替えを行う場合、解体と新しいマンションの建築が行われます。最初に解体の計画案を作成し、住民の80%の同意が得られればマンションの解体と新築が行われます。その間、住民は仮住まいで生活する必要があります。

また、住宅ローンが残っている場合はローンの返済を続けなければいけません。工事期間中はマンションに住めませんが、ローンは変わらずに返済する必要があります。

仮住まいに住んでいる場合は家賃支払いも加わるため、毎月の固定費が高額になると考えておきましょう。

取り壊し

マンションを取り壊して区分所有権を解消し、土地を売ったお金をそれぞれで山分けする方法もあります。この方法でマンションを手放す場合は、原則として区分所有者全員の賛成を得なければいけません。

ただし、被災したマンションもしくは耐震性能が現行基準に満たないマンションの場合は、80%の同意で区分所有権を解消できます。

また、マンションの取り壊し費用は200万~1000万円が相場です。建物の構造や大きさによって高額になることもあります。

狭い敷地に建っているマンションの場合も、周辺の建物に干渉しないよう慎重に工事する必要があり、工事費が高くなってしまうこともあるようです。

マンションはメンテナンス次第で寿命が伸びる

メンテナンス次第では寿命が延びることも

1990年代以降に建てられたマンションの寿命は、管理組合がどういった修繕計画を立て、管理体制をつくっていくかによって変わります。メンテナンスをしていけばマンションの寿命は延びていくでしょう。中古マンションを購入する際には、大規模修繕の履歴、日ごろの管理等をしっかりと確認する必要があります。

大規模修繕は行われているか

マンションは25年ごとに大規模修繕を行うよう推奨されています。25年後を見据えて長期修繕計画を立てておくのはもちろん、過去の修繕記録を取るのも大切です。

しかし、実際には計画をしっかりと立てておらず、修繕記録も残されていないマンションもあるので注意してください。マンションの管理体制がよくないマンションの寿命は短くなる可能性もあります。

マンションの設備で寿命は変わる

マンションそのものと比べ、給排水管やガス管などの設備は寿命が短いのが基本です。定期的に修理・交換しなくてはいけません。

1960年代から70年代の高度経済成長期に建設された配管がコンクリートの中に埋め込まれていた場合、取り出して交換ができず建て替えになってしまうケースもあります。

マンションを所有する場合は、建物だけでなく設備の管理にもお金がかかっているか確認しておくとよいでしょう。

マンションの寿命は基準とする条件によって変わりますが、築年数がたつほど管理費用が高額になり、建て替えや取り壊しの可能性も出てきます。

マンションの資産価値が下がる前に売却するほうが、費用の負担が少なく済むかもしれません。建て替えか売却か迷ったら、専門家に相談してみましょう。

公開日 2020年5月21日
更新日 2023年3月22日

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