3000万円の住宅ローン。無理なく返済するための資金プランとは?

3000万円の住宅ローン。無理なく返済するための資金プランとは?

3000万円の住宅ローンとはつまり、3000万円の借金です。借金する代わりに家が手に入るとはいえ、長期にわたって月々の支払いをしなければならないことは事実です。住宅ローンを返済し終えるまで、苦しい暮らしを強いられるとすれば本末転倒……。今回は、3000万の住宅ローンを無理なく、上手に返済する方法についてご説明します。

住宅ローン3000万円の返済シミュレーション

ではここで、3000万円の住宅ローンを組んだ場合の返済に関して、シミュレーションしてみましょう。

【条件】
・年収:600万円
・手取り額:480万円(ボーナス込み)
・借入金額:3000万円
・返済期間:35年
・ボーナス月増額返済:なし
・金利:3.2%
・元利均等

【シミュレーション結果】
・月々支払額:11万9000円

ボーナス込みの手取り480万円の場合、月平均手取り額は40万円ですので、「この支払額なら大丈夫かな」と感じるかもしれません。ただ、この金額はあくまで目安です。住宅ローンを利用しようとする方の他の負債状況によって金利が変わります。

また、マイホーム購入時には、他に次のような出費が伴います。
・火災保険料
・地震保険料
・仲介手数料
・住宅ローン契約・売買契約に伴う各種手数料
・毎年の固定資産税

借入金額と月々の返済額だけをみて「住宅ローンを組めそう」と考えず、諸経費もきちんと理解したうえで資金計画を立てなければなりません。

住宅ローンの利息を軽減させるコツ

住宅ローンの利息は、意外とバカにならないものです。完済まで毎月、元本と共に利息を支払い続けると、総支払額は思ってもないほどになってしまいます。とはいえ、利息を軽減する方法もいくつかあります。

低金利のローンを選ぶ

まずは低金利の住宅ローンを選びましょう。金融機関によって、住宅ローンの金利は異なります。また、借り手の一人ひとりの状況により、当てはめられる金利は変わります。できるだけ低金利の住宅ローンを選んでください。ただ、変動金利は一見安いように見えますが、経済情勢により上がることがあります。そのリスクを避けたいのであれば、変動金利ではない「固定金利」を選んでください。

返済期間を短くする

返済期間を短くすることも、利息を軽減する決め手となります。利息は、ローン期間が長くなればなるほど増えてしまいます。できれば、短い期間で完済できると安心です。ただ、無理をしてまで返済期間を短くしてはいけません。返済期間を短くしたいばかりに、借りられる金額ぎりぎりにまで設定してしまうと、毎月の暮らしが苦しくなってしまいますし、病気やケガなどいざというときに対処しきれなくなります。

ボーナスを利用する

利息をできるだけ安くする方法のひとつに、ボーナスの利用があります。月々の返済に加え、ボーナス月に増額変更する方法です。たとえば、6月に10万円、12月に10万円、月々返済額に上乗せするよう設定するのです。ただ、この方法にも少し問題があります。公務員でもない限り、ボーナスは「必ず支給されるもの」ではないからです。会社の業績次第で、減額されたり、支給そのものがなかったりすることもあるでしょう。最初から「ボーナスありき」で返済計画を立てない方が無難かもしれません。

元金均等返済を利用する

住宅ローンの返済方法には2つありますが、「元金均等返済」を選んでください。元金均等返済とは、元金は毎月一定額を、利息部分は住宅ローン返済開始直後から多めに、棒グラフでいうと右肩下がりに支払う方法です。元金を月々コンスタントに減らしていけますので、利息を軽減する効果があります。

もう1つの「元利均等返済」は、月々の返済額をずっと一定に保つものです。ただ、その一定の返済額のうちに利息と元金が含まれます。返済開始から年数をかけ、少しずつ元金を減らしていく仕組みですので、どうしても利息が膨らんでしまいます。

繰り上げ返済を利用する

住宅ローンの利息を軽減したいなら、積極的に繰り上げ返済をしましょう。というのも、月々の返済額は「元金+利息」ですが、繰り上げ返済はすべて元金に充当されるからです。利息は元金にかかりますので、「元金をできるだけ早く減らすこと」が利息軽減のポイントです。もしも思わぬ収入があったときは、繰り上げ返済に回せないか考えてみてください。

大事なのは賢くリスクを避けること

さまざまな費用の想定や制度を使うことでリスクを避ける
生活にかかるさまざまな費用を想定することで、リスク回避をしていきたい

住宅ローンの返済でとても重要なのが、賢くリスクを避けることです。ローン返済期間中には、いろいろな変動があります。それを想定し、備えをしてリスク回避をはかりましょう。

ローン返済額以外の費用と収入のバランスを考える

住宅ローンの返済額は、生活と直結します。食費や水道光熱費、通信費などと同様、日々の家計の中で適切なバランスでなければなりません。生活費は、世帯ごとに様々です。年収はどれくらいか、夫婦2人で働いているのか、世帯の人数は何人か……。多くの要素で生活費が決まります。その中に住宅ローンの返済が組み込まれるのですから、バランスの良い、無理のない計画がとても大切です。

子どもなどのライフプランを想定する

マイホームを手に入れたいという方のうち、これから「子どもが欲しい」という方は、より慎重にライフプランを想定しなければなりません。というのも、子どもを成人させるまで、大学を卒業させるまでには、多額の費用がかかります。

子どもは思いもよらず、突然の病気にかかってしまうことがあります。元気盛りの時期ならケガもするでしょう。その他に、小学校/中学校/高校/大学へ進むごとに、どんどん必要な教育費は上がります。また、公立なのか、私立なのかでも大きな開きがあります。子育て中のご家庭、これから子どもが欲しいというご夫婦の場合、「日ごろの生活費+住宅ローン」だけでなく、「子育て費用(学費の貯蓄)」も欠かせません。

住宅ローン控除を利用する

住宅ローン控除を活用することも、住宅ローンの利息分を軽減させるのに大きな役割を果たします。住宅ローン控除とは、所得税からローン残高に応じた額が控除(引かれて還付)されるものですが、所得税から引ききれなかった分は住民税からも控除されます。ただ、いくつか条件や計算方法がありますが、主なものは次の通りです。

・合計所得金額が3000万円以下
・住宅ローン返済期間が10年以上
・築年数が一定以下(耐火建築物なら築25年以下/耐火建築物以外なら築20年以下)
・住宅ローン年末残高4000万円以上なら最大控除額40万円/4000万円未満なら残高の1%

このように、条件次第で年に40万円ものお金が戻ってきます。このお金を繰り上げ返済にあてたり、将来のリスク回避のために貯蓄したりすれば、住宅ローン返済で「生活が苦しい」と感じるタイミングを減らせるはずです。

返済がきつくなったときの対処法

保険や住宅ローンの見直しなどの方法がある
ローンの返済が厳しくなった場合、生命保険や医療保険の見直しも対処法のひとつ

いろいろな策を講じても、長い返済期間の間には「返済がきつい…」ということが起きるかもしれません。そのようなときは、どんなところに注目し、対処すればよいのでしょうか。

保険の見直し

個人でかける生命保険や医療保険を見直すのも、返済がきつくなったときの対処法のひとつです。既に加入している保険があれば、契約内容を見直してください。複数の保険に加入している場合、一部の補償がダブっていることもあります。

保険商品によっては、加入から年を経るごとに月々の掛け金が割高になっているものもあるでしょう。補償内容を総合的に見て、削れるところは削ることを心がければ、保険料を節約することができます。しっかり貯蓄をしているなら、「解約返戻金なし」の掛け金が安い保険商品に切り替えることを検討してみてはどうでしょう。

金利の見直し

次は、住宅ローンの金利も見直してみましょう。不動産業者に紹介された金融機関で住宅ローンを組んだ場合、もしかすると少し金利が高いかもしれません。金融機関に「金利を見直してもらえないか」と相談してみることも大切です。具体的には、他の金融機関で現在よりも金利の安い住宅ローンに申し込み、「仮審査」が通るかどうか確認します。

ただ、これはあくまで参考のため、もしくは現在の金融機関が金利の見直しに応じてくれなかったとき借り換えを検討するための「事前情報」です。仮審査に通ったら、今契約中の金融機関へ出向き、「できることならこのまま借り続けたいのですが、借り換えも検討したいと思っています」と伝えてください。

あの銀行なら金利がいくらだった、と闇雲に伝えることはNGです。もしも金利引き下げの相談が決裂したら、先に仮審査を受けた金融機関へ「借り換えしたい」と伝え、本審査を進めてもらいましょう。仮審査には資料を揃える時間や手間が必要ですが、「現在のあなたは金利いくらで住宅ローンを組めるのか」の目安がわかること、いざというとき本当に借り換えに進めるという点で無駄にはなりません。

家を売却して住み替える

もし、いよいよ住宅ローンを支払えなくなるかも、というケースに直面したら、「思い切って家を売却する」「住み替える」ことも検討してください。住宅ローン支払い中の家であっても、金融機関に承諾してもらえれば売却できます。ただ、残っている住宅ローンを一括返済しなければなりません。売却額が住宅ローン残債と同額、もしくは上回れば手続きはとてもラクです。

ですが、もしも残債が売却額を上回る「オーバーローン」の場合、少し手続きが増えます。次に住む家もまた自分で買いたいときは、「住み替えローン」が組めるか、金融機関に相談してください。住み替えローンとは、「ローン残債+次の家の購入価格」で組むローンのことです。

住み替えローンには注意点があります。次に購入する家の担保価値以上のローンを背負ってしまうというところです。このことから、住み替えローンの審査は厳しく行われます。言いにくいことですが、「借りすぎを前提にしたローン」ですので、慎重に検討しなければなりません。

融資を受けている金融機関に交渉

もしも「来月の支払いが難しい」という緊急事態に陥っているなら、今すぐ金融機関に行って交渉してください。滞納する前に相談をしなければ、後にどんどん大変なことが起きます。たとえば、督促状が届く、一括返済を求められる、保証会社が代位弁済(あなたのかわりに一括返済)する、信用情報にキズがつき家が競売にかけられる……といった具合です。このような大問題に発展する前、つまり滞納する前に金融機関に相談してください。

ただ、長い返済期間中には、思わぬことに遭遇してしまうものです。
・勤め先の倒産
・勤め先の業績不振による給与カット

上のような状態は、あなた自身に問題があるわけではありません。そのため、金融機関も相談に乗ってくれます。たとえば、返済期間の延長や、元金据え置き期間の設定(一時的に利息のみの支払いに応じる)といった対応をしてくれるかもしれません。間違っても、他に借金を作り、住宅ローン返済に充てるといった行動は避けましょう。より生活が苦しくなってしまいますので、住宅ローン滞納が決定的となってしまいます。

公開日 2020年7月28日
更新日 2023年2月14日

#ローン

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