無垢材フローリングに床暖房は必要?導入する際の注意点と対応策

無垢材フローリングに床暖房は必要?導入する際の注意点と対応策

無垢フローリングはサラサラと手触りがよく、近年人気が高まっています。しかし、床暖房との相性が悪いデメリットがあるため、新築住宅や中古住宅などに安易に取り入れるのは禁物です。

「無垢材フローリングと床暖房のどちらも諦めたくない」という場合は、少し工夫をすることで、実現可能です。今回は無垢材フローリングの部屋全体に床暖房を導入するときの注意点やおすすめの対応策を紹介します。

無垢フローリングに床暖房を導入する方法

無垢フローリングと床暖房の併用は全く不可能というわけではありません。対策次第では同時採用も可能です。

ただし、無垢床のメーカーと床暖房を開発しているメーカーはそれぞれ異なるため、安易に決めてしまうと失敗しやすくなります。ここでは無垢材と床暖房を同時採用する方法と注意すべきポイントを紹介します。

床暖房対応の床材を採用する

床暖房対応の床材を採用する

無垢床であっても、床暖房対応の製品が存在します。床暖房対応の高性能な製品は通常の無垢材よりも高くなりますが、特殊な熱処理を加えているものが多く、収縮が少ない特徴があります。

使用中も隙間があまり目立たないため、通常の無垢フローリングと比べると使い勝手も良好です。

ただ、商品数は限定的で、対応できる床暖房の種類も商品によって異なります。自身が選ぼうとしているフロア材がメーカー指定の床暖房に適合するかを事前に確認し、商品選びには吟味を重ねましょう。

高性能な製品を選ぼうとすると予算オーバーになりがちなので注意が必要。床暖房対応の無垢材の価格はさまざまですが、UVウレタン加工をしたり、ヘリンボーンや植物オイル仕上げなどにすることによって値段が高くなる場合もあります。

高級無垢材を使用すると価格も一気に価格も跳ね上がるので気をつけましょう。

温度変化に強い樹種を選ぶ

樹種によって対応できる温度は異なります。80℃までの熱源に対応しているものもあれば、50℃程度までの熱源にしか対応していないものもあります。床暖房にするなら、なるべく高温に耐えられる無垢材を使いましょう。

床暖房に対応できるのはアジアンチェスナットシベリアンバーチなどです。対応できる熱源が高ければ高いほど便利ですが、価格も上がってしまいます。予算と相談しながらもっとも適した種類を選びましょう。

塗装で床暖房対応となる場合も

無垢材の仕上げ方法や加工方法も床暖房対応に大きく影響します。フローリング材の塗装はウレタン塗装が一般的ですが、表面を塗膜で覆ってしまうので、無垢材本来の質感や手触りからは遠ざかってしまいます。

床暖房におすすめなのは浸透性塗装です。無垢本来の質感や感触を楽しむことができ、床暖房対応品のラインアップも豊富。雨の多いシーズンでもベタつくことなく、さらっとした肌ざわりが得られるため、1年を通して快適に過ごせます。

熱源は温水式を採用する

床暖房には主にガスなどで沸かした温水を熱源として利用する温水式と、熱源に電気ヒーターを利用する電気式の2種類があります。

床暖房の種類によってフローリングに与えるダメージが異なるので注意が必要です。一般的に温水式の床暖房の方が無垢材を傷めにくいとされています。

ガスで温めたお湯を床下で流す「温水式」

ガスで温めたお湯を床下で流す「温水式」

温水式は給湯器などで温めたお湯を床下に流して床を温める方式のことです。ランニングコストが安くて済む、室内全体を均一に温めやすいなどの特徴がありますが、導入費用がかさむという難点があります。

後付するのは困難なので、新築住宅を建てる段階、フルリノベーションする前の段階で検討しておきましょう。

電気式より緩やかな温度変化が可能

温水式は電気式よりも温度変化が緩やかなため、無垢材が急速な影響を受けにくいメリットがあります。温水式の方が光熱費も格段に安く済むので、コスト面でも安心です。床暖房と無垢材の同時採用を考えるなら、温水式の床暖房を選択できるメーカーに依頼しましょう。

なぜ無垢フローリングに床下暖房を設置するのは難しいのか

なぜ無垢フローリングに床下暖房を設置するのは難しいのか

無垢フローリングには天然木ならではの弱点があります。その弱点ゆえに床暖房との相性が悪く、床暖房と無垢材を同時採用するのは、一般的にリスクの高い選択となります。ここでは無垢材と床暖房の併用するときに発生する問題点を確認しておきましょう。

天然の木材は温度変化に弱い

一枚の板からできている無垢フローリングは、熱に弱い特徴を持っています。大きな温度変化に非常に弱いため、床板を温める床下暖房との相性は最悪です。

程度の差はありますが、床暖房の熱によって板の間に隙間が空いたり浮き上がったりすることがあります。

無垢材が床暖房の温度に耐え切れず、反りや割れが発生することも

無垢材が床暖房の温度に耐え切れず、反りや割れが発生することも

木は呼吸する素材なので、湿度や温度によって収縮したり膨張したりする特性があります。これが行き過ぎると床材が反ったり割れたりします。

木が生育する環境下においては、40℃~50℃以上になることはまずありません。一般的な床下暖房は70℃近い熱源を当てて床板を温めるので、無垢床は自然界で体感したことのない温度変化に耐えられなくなります。

その結果、水分を急激に失って床材が縮んでしまったり、変形したり割れたりりするのです。

無垢材が縮み、床材の継ぎ目に隙間ができることも

床暖房の熱は木の収縮を促すため、収縮や変形が発生しやすくなってしまい、フローリングの目地に隙間が開きやすくなります。

とくに湿度が少なく乾燥している冬場に床暖房をつけて床材を温めると、いつもより多くの水分を空気中に吐き出すことに。水分の抜けた床材は縮んでしまい、隙間の原因になります。

耐用年数より早い交換を迫られるケースもある

無垢床は経年変化によるヴィンテージ感を楽しめるのが魅力です。しかし、床暖房によって無垢床に加わるダメージが大きくなると、建築後の早い段階で交換を余儀なくされることもあります。経年変化による見た目の美しさを楽しめなくなるのは、大きなマイナスポイントです。

どうしても無垢材フローリングに床暖房をとりいれたい方は、リノベーション会社へまずはご相談ください。

暖かく快適な無垢材フローリング

そもそも暖かく快適な無垢材フローリング

もともと無垢材フローリングには天然木としての調湿作用があります。それにより、冬場は暖かく、夏は涼しく暮らしやすい空間ができあがります。

無垢材はミクロな繊維が集まってできています。自然の木材の中の繊維の一本一本は空洞が空いたストローのようになっており、水や養分を吸い上げる役割を持ちます。

この小さな空洞が空気を含むことで断熱効果が発揮され、冬には暖かく感じ、夏場に陽が当たっても暑さを和らげてくれるのです。

無垢材そのものに足元を温めてくれる特徴があるので、床暖房を導入すべきかどうかは慎重に判断したいところです。

無垢フローリングと複合フローリングとの違い

無垢材とは、ひとつの木から切り出した板のことで、100%自然素材でできています。構成層が天然木のみの単一なので、単層フローリングとも呼ばれます。

複合フローリングは合板や木材繊維でできた基材の上に、天然木を薄くスライスして貼り合わせて作ります。木のクセを消し、伸縮の少ない安定した品質が特徴です。

無垢フローリングと一般的なフローリングには、それぞれ異なるメリット・デメリットがあり、どちらがいいと断言することはできません。何を重視するかによって選ぶべきフローリングが異なります。

無垢材フローリングのメリット

素材そのものの質感にこだわりたい方には、天然木の良さを存分に味わえる無垢フローリングがおすすめです。無垢フローリングは木がもつダイナミックさや、木目の風合いを楽しめる魅力があります。

天然木なのでメンテナンスに手間がかかりますが、足触りも良く、調湿作用があるため、快適で暮らしやすい空間が実現します。

無垢フローリングには接着剤などが含まれていないので、シックハウス症候群など化学物質による健康被害の心配もありません。小さな子どものいる家庭でも安心して取り入れることができます。

無垢フローリングのデメリット

天然の木材は自然ならではの風合いが人気ですが、十分な乾燥や養生をしないと反り・ねじれ・曲りなどを引き起こすことも。

定期的な手入れが必要なため、掃除の手間を減らしたい方には不向きでしょう。

自然素材のデメリットを克服するために生み出された複合フローリング

お手入れや価格を重視する方には複合フローリングがおすすめです。

複合フローリングは、自然素材のデメリットを克服するために生み出さた工場加工品。別名「複層フローリング」とも呼ばれます。

商品の精度が均一で、仕上がりに差が出にくいので、大工さんの施工の手間や施工後のトラブルを避けられます。掃除やメンテナンスが簡単で、無垢材より安く手に入るメリットもあります。床暖房にも対応可能ですが、目地が少し安っぽく感じてしまうのがデメリットです。

無垢材と床暖房の併用はメーカーと相談して決めることが大事

床暖房と無垢フローリングの併用は困難ですが、事前に対策を取ることでリスクを減らすことができます。

ただ、そのためにはメーカーの協力が必要不可欠です。床暖房に無垢材を希望することを嫌がるメーカーはたくさんいます。失敗を避けるためにも、無垢床と床暖房との同時採用の実績があるメーカーを探しましょう。

最近は無垢材の弱点を克服する新商品もどんどん開発されています。協力的なメーカーとよく相談して、快適なマイホームを実現させましょう。

公開日 2021年1月7日
更新日 2023年3月6日

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