自宅を和風の玄関にリノベーションするには?ドア・照明・アプローチのポイントを解説

自宅を和風の玄関にリノベーションするには?ドア・照明・アプローチのポイントを解説

石畳と玉砂利を敷いた玄関アプローチに、木の香りがする格子戸。漆喰の壁と重厚な土間をしつらえた内玄関――洋風住宅が主流になる一方で、住まいの顔ともいえる玄関を和風にしたいというニーズが増えています。

自宅玄関を日本風に染めるとしたら、玄関扉はどんな素材が良いのか、庭はどんな趣向を凝らすべきなのか。今回は玄関の和風リノベーションのポイントについて、さまざまな角度から解説します。

玄関に和風を取り入れる際のポイント【内玄関編】

内装の方向性を考える際、内玄関も大きな要素です。和の雰囲気に包まれた内玄関にリノベーションする際のポイントを解説します。

自然素材を使った扉や壁

和のテイストを重視するなら、自然素材を取り入れるアプローチがおすすめです。代表的なものが、木材や石材、珪藻土、漆喰などです。

温もりを感じる木材

自然素材の代表格といえば無垢材です。木材は古来から馴染み深い住宅素材のひとつです。内玄関に取り入れるなら、下駄箱やクロークボックスなどがおすすめです。壁には漆喰、床にはタイルというように、木材と調和する素材を用いることで、和の趣がさらに高まります。

壁材に使われる「珪藻土」には消臭効果や調湿機能も

傘や靴が並ぶ内玄関は、水気や臭いがこもりやすい場所です。そのため、玄関の壁には珪藻土(けいそうど)と呼ばれる、消臭効果や調湿機能が高い自然素材が使用されます。自然の温もりを演出しながら湿度もほどよく調整されるため、和風を好む方の間でも人気の素材です。

内玄関に「土間」スペースを

昔ながらの古民家に見られる「土間」スペース。広々とした空間は、収納や作業空間とさまざまな実用性が
昔ながらの古民家に見られる「土間」スペース。広々とした空間は、収納や作業空間とさまざまな実用性が

古民家に入るとよく目にするのが、広々とした土間のある玄関です。土間は日本の建築文化に根付いたつくりといえます。石材の土間は多少汚れても掃除しやすいため、自転車やベビーカーなどの収納場所としても最適です。古風な趣に加え、実用性も兼ね備えています。

靴を脱ぐスペース「上がり框」

玄関や土間には、「上がり框」と呼ばれる靴を脱ぐためのスペースが設けられます。床とたたき(土間)の境界線となる、段差に取り付けられた横木のことです。玄関で靴を脱ぐ習慣がある日本では、地面で靴を脱いでから室内に入ることになります。土間と上がり框のある内玄関は、そんな日本ならではのつくりといえます。

やわらかな光の照明

内玄関に取り付ける照明も、「和」にこだわりたいところです。和紙と竹細工を使ったペンダントライトは、やわらかく光を通して温かみのある空間を演出できます。和モダンに演出したいときにぴったりのアイテムです。

市松模様や縦格子を取り入れる

市松模様が配された壁は、和モダン重視の玄関にぴったりの演出です。玄関の雰囲気に合う壁紙を上手く活用しましょう。また、縦格子は、生け花などの横に飾り立ておくと雰囲気が出ます。高級旅館さながらの落ち着きと重厚感を演出できます。

目隠しにもなる、和のアイテム。粋な「のれん」を選ぶポイント

時代劇にも登場する、粋な「のれん」は、インテリアとしてだけでなく目隠しや調光機能の役割もある
時代劇にも登場する、粋な「のれん」は、インテリアとしてだけでなく目隠しや調光機能の役割もある

のれんといえば寿司屋や小料理屋をイメージしがちですが、日本家屋の玄関でも用いられます。粋なインテリアになるだけでなく、目隠しの役割も果たします。ここでは便利でおしゃれなのれんを選ぶポイントを紹介します。

設置する場所の幅

のれんと設置する場所の幅は、ぴったりジャストサイズにしましょう。長すぎても短すぎてもよくありません。目隠しや調光・通気機能を十分に生かすためにも、のれんの幅は入口に合わせるのが基本です。

隠したい場所に応じた透け感

目隠し目的で使う場合は、布の厚みが重要です。厚みが足りないと透け感があるため、不安を感じやすくなります。「厚みはじゅうぶんあるか」「遮光性は高いか」が、目隠し用のれんを選ぶときのポイントです。

のれんの長さと風通しの良さ

のれんの長さは、風通しの良し悪しを分けます。風通しを確保したい場合は、丈が短めのものを選びましょう。短いのれんほど、出入りがスムーズになります。

和風の玄関をおしゃれに演出する「飾り」と「インテリア」

家の「顔」となる玄関を、和風らしいモダンなアイテムで演出。アンティークな花瓶や小物を少しずつ取り入れて
家の「顔」となる玄関を、和風らしいモダンなアイテムで演出。アンティークな花瓶や小物を少しずつ取り入れて

ワンポイントデザインや和風らしいインテリアもおすすめです。アンティーク花瓶やデザイン性の高い障子などを取り入れて、和風の玄関をおしゃれに演出しましょう。

アンティークの花瓶をオブジェに

風雅な趣あるアンティークの花瓶は和モダンインテリアにふさわしいアイテムです。靴箱に添えればオブジェにもなります。ささやかな飾り付けとなる一輪挿しが、落ち着いた雰囲気を醸し出してくれます。

美しいデザインの障子

和紙には家屋の通気性や採光性を程よく保つ機能が。伝統技法の組子細工を用いた障子は、機能性に加えてモダンな美しさがある
和紙には家屋の通気性や採光性を程よく保つ機能が。伝統技法の組子細工を用いた障子は、機能性に加えてモダンな美しさがある

障子と日本家屋に欠かせない建具のひとつです。和紙からはやわらかな光が差し込み、室内を程よく温めます。同時に採光性や通気性、調湿効果もあります。この機能性を備えた障子に、日本の伝統技術である「組子」を合わせれば、美と用を兼ねた建具の誕生です。和モダンな雰囲気を一層高めてくれます。

手ぬぐいを壁に掛けてインテリアに

玄関の壁に手ぬぐいやタペストリーを掛けるインテリアも人気です。和の趣にこだわりながら、絵柄も「日本らしい」もの、花鳥風月、七福神、季節の縁起物など、好みに合ったデザインを取り入れましょう。

玄関に和風を取り入れる際のポイント【扉編】

和風の玄関扉といえば、格子の引き戸。一般的な開き戸とは違った特徴があるので、理解したうえでベストなものを選んで
和風の玄関扉といえば、格子の引き戸。一般的な開き戸とは違った特徴があるので、理解したうえでベストなものを選んで

和風の玄関扉は、日本家屋らしい格子引き戸が人気ですが、設置にあたってはメリットだけでなくデメリットもあります。種類や材質の特徴を理解したうえで、ベストな扉を選んでください。

和風の玄関ドア「木材」は耐久性の弱さがデメリット

木には独特の温もりがあり、断熱効果にもすぐれています。その一方で、湿度に弱く腐食しやすい弱点があります。耐久性も金属製より劣るのは明らかです。メンテナンスも難しく、梅雨シーズンはとくに掃除や防水管理などに気を配る必要があります。

表面を木目調のデザインにすることで、耐久性や断熱性を保つ

メンテナンスの難しい木材をあきらめて、金属製のドアを木目調デザインに仕上げるという方法もあります。中身は金属でも、外側の印象は木材と変わりません。同時に金属製ならではの丈夫さと断熱性能も確保されます。

和風の玄関タイプといえば「引き戸」タイプ

昔ながらの日本家屋の多くには引き戸が採用されていることからも、引き戸は和の玄関にに合う扉だということがわかります。引き戸の特徴を理解したうえで、選ぶ際はデメリットや注意点も加味してください。

引き戸タイプのメリット

引き戸仕様の玄関は、開口部が開き戸のおよそ2枚分広くなるのが特徴です。より開放感が得やすいスペースとなります。車イスやベビーカーの移動、あるいは手に荷物を抱えた状態での通過もスムーズです。「玄関を大きく見せられる」のも、引き戸ならではのメリットです。ほかにも、次のような利点があります。

・バリアフリー住宅に使える
・採光性が高い
・開き戸と異なり、強風にあおられた扉でケガをするリスクが小さい
・洋風住宅での使用も問題なし

引き戸タイプのデメリット

引き戸タイプの主なデメリットは、「セキュリティが弱い」と「気密性が低い」の2点がです。まずセキュリティ面ですが、引き戸は開き戸ほど複雑なつくりではありません。施錠も鍵穴に鍵を差し込むシンプルなタイプのため、ピッキング被害のリスクも高くなります。製品によっては電子ロック導入のタイプもあるため、設置の際は検討しましょう。

また、気密性の低い引き戸は隙間風が侵入しやすくなります。冬場などはとくに冷気が入り、室内が冷えやすくなります。対策としては、断熱材を使用した引き戸タイプを選ぶことです。このタイプであれば、寒さ問題はいくぶん解消されます。

引き戸を取り付ける際は「開く向き」に注意

引き戸には、右利きの人が大半なため大抵が右前の設計だが、開閉方向の利便さには家庭によりさまざまなケースが考えられる
引き戸には、右利きの人が大半なため大抵が右前の設計だが、開閉方向の利便さには家庭によりさまざまなケースが考えられる

引き戸設置の注意点に「開く向き」があります。多くの住宅では引き戸が「右前」になるよう設置されます。これは右利きの方が多いという事情によるものですが、左利きの方にとっては開けづらい向きとなります。そのほかにも、置き物の関係で左前でなければ不便といったケースもあります。開閉方向については、リフォーム業者と十分に打ち合わせすることが大切です。

外玄関に「庇」(ひさし)を設置する

「庇(ひさし)」とは玄関や窓の上に取り付けた小屋根のことです。こちらでは、外玄関に庇を取り付けるメリットやポイントについて説明します。

庇のメリット

庇(ひさし)とは、玄関上に設置された屋根のこと。日よけ・雨よけの役割だけでなく、直射日光を避けることから省エネ効果にも
庇(ひさし)とは、玄関上に設置された屋根のこと。日よけ・雨よけの役割だけでなく、直射日光を避けることから省エネ効果にも

庇の大きな役割は「雨よけ」です。庇付きの玄関であれば、雨の日に玄関前で傘を畳むことができます。また、外壁は雨に濡れる頻度が高いほどダメージを受け、汚れや損傷も激しくなります。庇付きの玄関はこうした外壁の著しい劣化を防ぐうえで有効です。

庇は遮光の役割も果たします。夏の厳しい直射日光を庇がカットし、玄関内の急な温度上昇を防ぐことから、省エネ効果にもつながります。さらに、紫外線による木材へのダメージも緩和します。

庇に必要な長さ・奥行き

雨や直射日光から玄関を守るには、それを可能とするだけの庇の長さ・奥行きの確保が求められます。一般的には、横幅1200mm・奥行き900mmのサイズ感だと雨よけ・日よけに十分とされます。ただし、ベストな横幅・奥行きは玄関ドアのサイズや用途で異なるため、あくまで目安に留めてください。

庇に使われる材質

庇に使われる材質には以下のような種類があります。和風玄関でこだわりたいのは、やはり木材です。弱点である耐久性の欠如は、板金加工処理で補えるため、詳しくは施工業者に相談しましょう。

・木製
ヒバなど腐食しにくい木材が主流。耐久性の弱さを補うために板金を張り付けたものが多い。

・アルミ
現在、もっともポピュラーな素材。耐久性・耐食性に優れ、デザイン性の高さも特徴

・ガルバリウム
サビにくく熱に強いのが特徴。個性的なデザインは賛否がわかれる。

・ガラス
耐風性や耐水性に優れている。透明感がありスタイリッシュなデザインが好みの方におすすめ。

玄関に和風を取り入れる際のポイント【門扉・門柱編】

門柱は、住宅に重厚感を与えると同時に、目隠しによるプライバシーの面でのメリットも
門柱は、住宅に重厚感を与えると同時に、目隠しによるプライバシーの面でのメリットも

玄関に和風を取り入れるなら、門扉も和モダンなデザインのタイプを選びましょう。こちらでは、門扉設置のメリットやリフォーム時の注意点を説明します。

門扉を設置するメリット

門扉設置のメリットは大きくふたつ。「セキュリティ性の向上」と「飛び出し事故防止」です。

セキュリティ性が高まる

門扉を構えることで住まいのセキュリティ性は高まります。侵入者の心理を考えた場合、門扉のある家とない家、どちらが侵入しにくいかといえば前者です。門扉の設置は大きな犯罪抑止効果が期待できます。

子どもやペットの道路への飛び出し防止になる

門扉があれば、お庭で小さなお子さんが遊んでも飛び出し防止になるため安心です。ペットを飼っているご家庭ではペットの飛び出し防止にもなります。

門扉・門柱を設置リフォームする際の注意点

門扉・門柱設置では、以下の点に注意しましょう。

基礎工事をしっかりと行う

基礎工事がしっかりなされてこそ、安全安心の門扉・門柱となります。これはリフォーム業者の選定にかかってきます。玄関リフォーム専門業者の中でも、門扉・門柱の施工に実績があるプロへの依頼が望まれます。地元で信頼できる業者はどこか、費用面と合わせ技術力や実績をチェックしてください。

必要に応じて「住居表示」の届け出を

住居表示が必要な地区では、改築リフォームなどで敷地への出入り口が変更となった場合、住所が変わることがあります。「住居表示」の届け出が必要となるケースも想定して、地元の土地家屋調査士に相談することをおすすめします。

玄関に和風を取り入れる際のポイント【アプローチ編】

玄関周りもまた、和モダンな雰囲気を整えるうえで大切なポイントです。玄関に和風を取り入れる最後のポイントとして、アプローチに合う観葉植物やアイテム、ライトアップの方法を紹介します。

和風の玄関アプローチに合う観葉植物を取り入れる

ガーデニングがトレンドになり、観葉植物がさまざまな店舗で販売されるように。和風の玄関にも合う植物を是非取り入れて
ガーデニングがトレンドになり、観葉植物がさまざまな店舗で販売されるように。和風の玄関にも合う植物を是非取り入れて

玄関アプローチの定番アイテムといえば鉢植えや観葉植物です。和風玄関におすすめの観葉植物3種類を紹介します。

オリヅルラン
葉っぱが細長く緑色をした中サイズの観葉植物です。手のかからない植物のためビギナーの方にもおすすめ。

セラギネラ
イワヒバ科のシダ植物。成長すると丸みを帯びて大きく広がります。サイズが小ぶりで手入れも簡単。日が当たりにくい場所でも育てられるため、内玄関に置いても大丈夫です。

ラセンイ
盆栽にも使われるイグサ科の植物です。棒状の茎で、らせん状に伸びる独特な育ち方をします。ユニークな形状をしていることもあり、鑑賞用として海外でも人気です。

和風の玄関アプローチに「竹垣」を取り入れる

竹垣は和風の玄関アプローチに合うアイテムの定番です。日本家屋が主流だった時代は、庭に竹垣のある家も多くありました。門扉を開けて竹垣の衝立に迎えられると、涼し気な雰囲気を感じます。石畳と植栽と合わせれば一層雅な雰囲気になります。

日本庭園をイメージした玄関アプローチ

石畳のアプローチに砂利をしつらえ、アジサイやシャクナゲなどの植物を配するだけで、純和風仕立て空間が完成します。手造りのミニ日本庭園で贅沢な気分を味わえます。

和風の玄関アプローチをライトアップする

ライトアップも、和風玄関で導入したい演出です。その際、光の加減や色の選び方、当て方には注意しましょう。

光の色味は抑えめに、高さは低めに

和の玄関においても「落ち着く」という要素は重要。照明は低めの位置から、温かみのあるライティングを
和の玄関においても「落ち着く」という要素は重要。照明は低めの位置から、温かみのあるライティングを

「落ち着き」は、和の趣において大切な要素です。光が強すぎたり、色味が明るすぎたりすると、雰囲気も損なわれてしまいます。温かみのある暖色系の光をやや抑え気味に当てることを意識してください。光の加減や色、照明器具の数に注意して、和モダンを感じさせるライトアップを目指しましょう。また、光は「低め」の位置から当てるのがポイントです。より落ち着いた雰囲気になるため、和風玄関ではこの演出を取り入れています。

光と影のコントラストを使ったライティング

帰宅。しっとり濡れた感じは、雰囲気良く撮れます。
masanorimochizuki さんのインスタグラムより

和モダンの雰囲気を高めるために、光と影のコントラストを上手に使いましょう。影が強すぎると和の雰囲気もしぼむため、くっきり映し出さないようにするのがポイントです。一方で、存在を際立たせたい対象物がある場合は、影を強くするようなライティングを心がけてください。これにより光に包まれた対象物がより鮮明に浮かび上がります。

《参考》狭い空間でもできる「坪庭」や「中庭」

「坪庭」や「中庭」といった狭いスペースは、ライトアップ効果や飾り付けのアイテム、配置の工夫次第で際立つ存在となります。坪庭は室内にしつらえた小さな囲いの庭で、竹垣や植栽を飾りに和の趣を演出。中庭は坪庭より大きく、歩いたり休憩したりできる程度のスペースがあります。

窓から眺めて開放感も得られ、洋風の空間も作れる

坪庭は窓からの眺望を楽しめるのも魅力。洋風の住宅に合わせたアレンジも可能なので、自由な庭づくりを楽しめる
坪庭は窓からの眺望を楽しめるのも魅力。洋風の住宅に合わせたアレンジも可能なので、自由な庭づくりを楽しめる

中庭には家を広く見せる効果があり、開放感ある窓からの眺めも堪能できます。坪庭も中庭も純和風がスタンダードですが、洋風テイストに仕上げることも可能です。とくに定義があるわけではないため、基本的に家主の好みに合わせたアレンジを楽しめます。

この場所も、ライトアップのテクニックを駆使することで飾りのオブジェや植物などの存在感を際立たせられます。ぜひ坪庭や中庭の良さを生かしながら、極上の和の空間を完成させてください。

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公開日 2020年9月20日
更新日 2020年10月22日

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