大井町パーク・ホームズ 1階|2駅4路線利用可。ウォークインクローゼット付き2SLDK角部屋
大井町パーク・ホームズ- 8,980万円(税込)(税込)
- 70.64m² (2LDK+S)
東京都品川区東大井 4-13-11
リノベーション──一般的には「住まいの改修・改善」のことをこう呼びますが、空間環境だけではなく日常生活全般をもリノベーション(改革・刷新)すると、QOLはよりいっそう向上していくはず。LogRenoveは、日々の何気ない暮らしのなかで、我々が直面するさまざまな悩みの解決策を、斯界の識者とともに探っていきます。さあ、私たちと一緒に「ライフスタイルのリノベ術」を追究していきましょう。
Q.東京都の山手線圏内に在住する者です。『Go Toトラベル』キャンペーンが東京対象外となり、せっかく予約していた家族での沖縄旅行もキャンセル…。予定がポッカリ空いてしまい、かといって、県またぎで遠出する気にも今はなれません。でも、家の中で引きこもっているのもつまらないし…。なにか、近場でも楽しめて、小旅行気分を味わえるスポットはありませんか?(41歳・既婚男性/損保会社勤務)
明治神宮に新宿御苑に浜離宮、さらには葛西臨海公園や井の頭公園や駒沢公園…ほかの大きな公園……etc. 東京都内でも3密を避けながら楽しく遊べる観光名所は数えきれないほどあります。
しかし、「せっかく予約していた家族での沖縄旅行もキャンセルして、予定がポッカリ空いてしまった」のなら、もうちょっぴりマニアックに、あまりガチガチなスケジュールや目的地を設定せず、ご家族で、夫婦で、お一人でふらりと出かけてみてはいかがでしょう。
そこで、今回ぜひおすすめしたいのが、山手線圏内の「お蔵めぐり」。レトロな風情を漂わせつつも無骨でスクエアな顔を持つ、機能性に富んだ「蔵」は、極論すれば、最新のトレンドである“ミニマリズム”のルーツと言っても過言ではありません。都会に残る蔵を発掘&探訪することをライフワークとし、みずから「蔵見ニスト」を名乗りながら、そのディープな趣味が高じて『山手線圏内 蔵めぐり 散歩ガイド』(玄光社)という著書まで出版した清田予紀さんは、蔵の魅力について、こう解説します。
「時代を超えて東京の街に残る蔵は、今や貴重な歴史的文化遺産。『シンプル・イズ・ベスト!』という言葉がありますが、蔵ほど内も外も無駄のない建造物は日本にはありません。外観は、大きな直方体の塊をドンと置いただけのように見えるし、内部には天井板さえない。梁(はり)もむき出しだけど、それがまた太くていい。しかも、壁の厚みは約30センチ! 金庫を彷彿させる重厚な扉や窓も、じつに堅牢なつくりです」(清田さん)
清田さんが、蔵に魅せられた“きっかけ”は次の3つ。
(1)とにかく構造がシンプル。どこにも無駄がない
(2)木造の家屋にはない堅牢さを持ち合わせている
(3)なのに今、街中からその姿を消しつつある
とくに、蔵見ニストにとって、重要なポイントは(3)の「今、街中からその姿を消しつつあること」だと清田さんは、ふと寂しげな表情を浮かべます。
「3つの巨大な波に襲われたのが原因で、近年、東京から蔵が絶滅しかけています。第一波は1923年の関東大震災。第二波は1945年の東京大空襲。そして、三度目は現在も続く都市開発という大波。スクラップ&ビルドを繰り返して成長していく大都市・東京にとっては“宿命”なのかもしれません。だからこそ、蔵見ニストとしては、せめて蔵の記憶と記憶を後世に残しておきたいのです」(清田さん)
そもそも東京は元々が“藏の街”でした。18世紀初頭、すでに人口が100万人を超えていた江戸は世界最大級の消費都市で、日々膨大な量の農作物や魚介類が全国から運ばれてくる──そこで必要とされたのが、これらの物資を保管するための蔵だったのです。当時、物資の最大の集積地は魚河岸があった日本橋。それだけに日本橋にはたくさんの蔵が密集していました。葛飾北斎の浮世絵にも、その風景は描かれています。
蔵は川沿いだけではなく、街中でも増殖しました。火事が頻発する江戸には耐火性の強い蔵が欠かせないものだったからです。
「蔵の建設ラッシュは明治になっても続き、レンガ造り・鉄筋コンクリート…と、工法を変えながら、大震災や空襲を乗り越え、しぶとく生き残ってきました。なかでも鉄筋コンクリート製の蔵は、太平洋戦争中でも防空壕代わりになったり、焼け野原と化して家を失った人たちの“仮住まいの場”として重宝されたと聞きます。しかし戦後、経済が立ち直りはじめると、設置が簡単で軽量かつ丈夫なプレハブ倉庫が登場し、蔵の存在価値は薄れてしまったのです」(清田さん)
こうした経緯で消滅の危機へと到る都心の蔵を、清田さんが「存在しているうちに探しまわってみよう」と思い立ったのが2000年ごろ。2003年に奥さまを亡くしたことで「その想いにいっそう拍車がかかった」と清田さんは告白します。
「蔵はその家や家族の想い出(記憶)が詰まった宝箱のようなもの。蔵が消えるということはその想い出も消えるということを、“妻”という記憶の宝箱を亡くして実感したのです」(清田さん)
では、そこまでの磁力に満ちた蔵を楽しくめぐるには、どうすればよいのか? “蔵見初心者”にもわかりやすい、見所のポイントを、清田さんに教えていただきました。
「こんな都会のど真ん中に、こんな蔵があったなんて!」
そんな“小さくも新鮮な発見の喜び”こそが「蔵めぐりの醍醐味!」だと清田さん。ここで「蔵とは一体どんな建物なのか?」について、おさらいをしてみましょう。
「蔵は本来、倉庫や保管庫としての利用を想定して建てられたもの。なので、人が住む住居とは建物の造り自体がかなり異なってきます。大切な物を保管するために防火、防湿、防盗構造を重視しているからです。火事が多かった江戸の町では、より防火構造が大切とされていたため、他の地域の蔵と比べ、壁は厚く、折釘という特殊な金具が外壁に付くようになりました」(清田さん)
蔵ならではの“パーツ”についても、簡単な説明をしておきます。
①鬼瓦:屋根の中心である大棟(おおむね)の先端にある装飾瓦。商家の蔵では家紋や屋号がデザインされていることが多い。
②鉢巻:軒下と壁の空間を埋めるために張り出させた部分。命名の由来は、蔵がまるで鉢巻をしているように見えるから。
③折釘:蔵の壁に打ち込まれた、頭部を直角に折り曲げた釘。ハシゴや縄など、いろいろな物を掛けるのに使用する。
④蔵戸前:土蔵の入口のこと。重厚な観音開きの開き戸。
⑤腰巻:蔵の土台部分の厚く土を塗った部分(石やレンガの場合もある)。末広がりにすることで安定度も高まる。
蔵の名刺代わりとして屋根の中央にある「鬼瓦」、それに「折れ釘」や、蔵戸前にかかっている「蔵鍵」などは、一見だと素っ気ない、シンプルな造りの蔵にとっての数少ない“装身具”なので、その個性を蔵ごとに楽しんでみるのも一興かもしれません。
最近、新型コロナショックによる3密防止の影響で、通勤や買い物用に自転車が売れていると聞きます。また、清田さん曰く「自転車は蔵散歩にも最適な乗り物」とのこと。
「徒歩では狭い範囲の蔵しか探せません。かといって、車ではスピードが速すぎて見逃してしまうし、見つけても駐車の問題がある。その点、自転車はある程度広範囲をカバーできて、適度なスピードなので、スルーの可能性も低いのです。小回りも利きますしね」(清田さん)
しかも、都心はレンタル自転車が充実しているため、現地でレンタル自転車を借りればお手軽に蔵探しに専念でき、どこでも駐車しやすいので、蔵探しの合間に見つけたお店でお茶や食事もできます。そういう意味でも、蔵めぐりはウィズコロナ時代と相性がとても良いのではないでしょうか。ちなみに、清田さんがイチ押しする山手線圏内の蔵は、以下の3つ!
湯島の路地裏にある、まさに隠れ家的なバー。明治中期に建てられたレンガ造りの蔵を改装したもの。蔵独特の重い引き戸を開けると、タイムスリップしたかのようなノスタルジーな世界へと引き寄せられます。
住所:台東区上野1-3-3
大正期に建てられたモダンな造りの蔵。「東京さぬき倶楽部」というホテルの敷地内にひっそりと。前身は香川県生協の宿泊施設でしたが、現在は誰でも宿泊できて、讃岐料理に舌鼓が打てるホテルとして人気を博しています。
住所:港区三田1-11-9
第二次世界大戦後まもなくして建てられた蔵。母屋だったスペースは駐車場になっており、蔵だけがポツンと残っています。地味ながらも、こういう“掘り出しモノ”の発見が、蔵見ニストとしての最大の至福!
住所:新宿区西新宿3-18付近
残念なことに、前出した3つの蔵は、都市再開発計画のあおりや大家さんの事情などで、近い将来に消えゆく運命にあります。この時期を逃すと、永久に肉眼で見ることは叶わなくなってしまうので、ぜひ一度足を運んでみてください。
なんと! 清田さん自身、1990年代はじめから、昭和初期に建てられた蔵に住んでいるのだそう。
「もちろん、蔵を住居用にリノベーションしたのですが、拙著にも掲載されている蔵のなかには、ギャラリーや食事処としてフルリノベを施している蔵も多々あります」(清田さん)
たとえば、池尻大橋駅から徒歩10分ほどの場所にある「Gallery徳の蔵」は、東京から250㎞以上離れた長野県飯山市にあった、明治初期に建てられた蔵を解体・移築したもの。
現地で慎重に解体し、使われている木材などをトラックで東京へ運んで、解体に携わった職人さんたちが再び組み立て。そこに今の時代に適合する装いを施したのち、2015年にギャラリーとして生まれ変わりました。元の蔵はタダで譲り受けたので、輸送代と再建費を合わせても、同じ規模の建物を建てるのと費用はほぼ同じくらいだったようです。
じゃあ、自分も蔵をリノベして住んじゃおうかな……なんて風に夢がふくらんだりはしませんか? そんなあなたのために、清田さんから“先輩”としてのアドバイスをいただきました。
「蔵の解体・再建は“その道のプロ”じゃないとできないので、『Gallery徳の蔵』の場合は、専門の職人さんたちに長野から東京に同行してもらい、一週間ホテル住まいをしてもらいながら蔵の構造体を組み立ててもらったそうです。もちろん、人件費は余分にかかるし、こうした信頼できる“プロ”を探すことが、なによりも重要なポイントになってきます」(清田さん)
「Gallery徳の蔵」オーナーの小林夫妻は、「日本民家再生協会」の会員でもあります。同協会は、古民家の再生に熱心に取り組んでいるNPO法人。蔵のフルリノベの知識も豊富なので、蔵住まいに俄然興味を抱いたあなたは、ぜひ一度お問い合わせてみてはいかがでしょう?
日本民家再生協会(JMRA)
〒102-0085東京都千代田区六番町1-1
Tel:03-5216-3541
取材・文:山田g事務所
清田 予紀(きよた・よき)
自称「蔵見ニスト」の心理カウンセラー。カウンセリングを通じて、主に若者の心理をモニタリングし、その研究成果を講座や講演、著作に活かしている。『時間を忘れるほど面白い人間心理のふしぎがわかる本』(三笠書房)、『ネコロジー』(主婦と生活社)、『山手線圏内 蔵めぐり 散歩ガイド』(玄光社)ほか著書多数。ネットでは『プラス1秒でヒトの心はつかめる!』を好評連載中。
公開日 2020年7月27日
更新日 2023年2月14日
大井町パーク・ホームズ 1階|2駅4路線利用可。ウォークインクローゼット付き2SLDK角部屋
大井町パーク・ホームズ- 8,980万円(税込)(税込)
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