自家用車を所有している方にとって、新築やリフォームなどの際に悩みの種となるのが車を駐車する場所です。単に「車を停められればいい」と考えるのであれば、スペースを確保するだけでかまいません。しかし、大切な愛車を直射日光や雨風にさらしたままにするのは避けたいものです。カーポートの持つ役割やメリット、そして同じく愛車を守ることを目的としたガレージとの違いなどについて紹介します。
カーポートは屋根のある駐車スペースの一種です。なかでも、柱と屋根のみで構成されているものをカーポートと呼びます。
カーポートとよく混同されてしまうのがガレージです。どちらも同様に屋根のある駐車スペースのことを指しますが、呼び方以外にも明確な違いがあります。
カーポートは先ほども紹介した通り、屋根と柱のみで構成されたシンプルな構造のものを指します。これに対してガレージはシャッターや壁、ドアなどで四方を囲んだものです。ガレージのほうが風雨などから車を守りやすいといえます。
カーポートにもいくつかのタイプがあります。もっとも一般的なのは、4本の柱でポリカーボネートなどの屋根を支えるタイプのものです。柱が邪魔になるケースがある一方で、支えが多い分だけ強風などにも強いというメリットがあります。
片側のみに柱のあるタイプもあります。片側のスペースに余裕があるため駐車もしやすく、サイズの大きな車も停めやすいという点がメリットです。一方で、強風などにはやや弱くなってしまいますが、素材や設計の進化によって片側タイプでも風などに強いものも増えています。
このほかにも、車を縦または並列に2台以上停められるタイプのカーポートもあります。駐車スペースの広さや形、車の台数などを考えて選ぶようにしましょう。
カーポートにはさまざまなメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットもあります。
カーポートのもっとも大きなメリットは、屋根があることによって、雨などに濡れずに車の出し入れができるという点です。特に、荷物が多い日は傘を差しながら乗り降りする必要がありません。
車の外装はかなり耐久性が高くなっているものの、長時間にわたって風雨にさらされ続けると外装が痛んでしまいます。ワックスやガラスコーティングなどの劣化も早まる可能性があります。カーポートがあれば、駐車中も雨や直射日光から車をしっかりと守ってくれます。
カーポートの屋根の多くは、UVカット加工が施されています。しっかりと紫外線対策をすることによって夏場などに車内の温度が上がりすぎるのを防止できる点もメリットです。車内の温度が上がりすぎたことが原因で、カーナビなどの精密機器にトラブルが発生するというケースも少なくありません。こういった問題もカーポートがあれば改善できる場合があります。
もちろん、夏のみでなく、冬場にもメリットがあります。冬の朝、車に乗ろうとしたら全体にびっしりと霜が降りていて、すぐには出発できなかった経験をお持ちの方も少なくないでしょう。カーポートの屋根に守られていれば霜によるトラブルのリスクも軽減されます。
最初に挙げられるデメリットは、柱が邪魔になってしまうケースが多いという点です。特に駐車スペースにあまり余裕がない場合は、柱のせいで車が停めにくい、通路スペースを確保できないといったケースもあります。駐車スペースの広さや車のサイズなどをしっかりと確認したうえで、余裕を持ってカーポートを設置できるのかを検討しましょう。
人によっては圧迫感を覚える可能性もあります。特に、元々は屋根も何もない駐車スペースだったところにカーポートを設置すると、急に空が遮られます。このデメリットを解消したい場合は、屋根に透明度の高い素材のものを選ぶのがおすすめです。透明度が高くても紫外線や熱をしっかりカットしてくれる素材のものも増えています。
そして、カーポートは強風などに弱いというデメリットがあります。風が強い土地や毎年台風が上陸することの多い地域の場合、特に注意が必要です。もちろん、カーポートの多くは耐風圧強度がしっかりと設定されているため、基本的には問題ありません。しかし、建ててからある程度の年数が経過すると、しっかりメンテナンスしなければ耐久性が落ちてしまうケースもあります。定期的なメンテナンスは欠かさないようにしましょう。
家の増築やカーポート・ガレージなどを設置する際に注意しなければならないのが建蔽率(けんぺいりつ)です。建蔽率とは、土地の広さに対する建物の面積の割合のことを指します。
建築基準法では、敷地面積に対する建築面積の割合が定められています。土地の広さギリギリまで建物を建てることができるわけではありません。
建築基準法上では屋根と柱のある構造物は基本的に建築物扱いになります。そのため、一部の例外を除いて、カーポートは建蔽率に含まれます。そのため、土地の広さに対してカーポートが広すぎると肝心の住宅の面積が制限されてしまう可能性もあるため注意が必要です。
ただ、建蔽率の設定は地域によって異なります。新築の際にカーポートを設置する場合や、新築時にカーポートを建てることを考えているのであれば、事前に自治体などに確認しておきましょう。
上記の通り、基本的にカーポートは建築基準法上の建築物にあたります。しかし、構造によって建蔽率の緩和措置を受けられるケースがあります。
一般的には天井の高さが2.1m以上、柱の間隔が2m以上、外壁のない部分が連続して4m以上、1階建てであること、といった条件を満たすことによって緩和措置を受けられます。
ただし、この緩和条件についても自治体によって異なるケースもあります。こちらも事前の確認を欠かさずに行いましょう。
複数台の自家用車を所有している家庭の場合、カーポートに何台まで置けるのかが気になるところです。カーポートにもさまざまなサイズのものがありますが、一般的な戸建ての場合、最大で4台程度までとなっています。
同じ台数を停めるスペースがあっても並列か縦列なのかによって使い勝手や必要なスペースは異なります。どのようなスタイルで利用したいのかを考えたうえで検討しましょう。
カーポートのタイプやサイズによって使い勝手もかなり違います。敷地の広さや車の大きさなどを考慮し、慎重に選ぶことが大切です。こちらでは、カーポートの選び方や注意点を紹介します。
大きさはカーポート選びにおいてもっとも重要なポイントのひとつです。駐車する車のサイズをしっかりと確認したうえで、ある程度余裕を持って停められるカーポートを選びましょう。近年ではSUVやミニバンなど高さのある車の人気も高まっています。高さには特に注意しましょう。
地域によってもカーポート選びのポイントは異なります。特にポイントとなるのは気候です。九州や沖縄など毎年のようにいくつもの台風が上陸する地域の場合、できるだけ耐風圧の高いものを選ぶことをおすすめします。
耐風圧とは1秒あたり何mの風速の圧力に耐えられるのかを示すものです。強い台風になると猛烈な風(風速30m以上)が長時間にわたって吹き続けることもあります。台風が上陸する可能性が高い地域では、最低でも風速30m/s以上に耐えられるものを基準として選ぶようにしましょう。
豪雪地帯では耐積雪強度も大切です。たかが雪と思われる方も多いかもしれませんが、豪雪地帯では1日で1m以上の雪が積もることもあります。かなりの重さがあるため、雪が降ることの多い地域では耐積雪強度100cm以上のものを選ぶと安心です。
乗用車はかなりの重量があります。軽自動車やコンパクトカーでも1t前後はありますし、ミニバンや大型セダンになると2t近い重量のものもあります。カーポートを建てる場合、床もしっかりと選びましょう。
見た目がいいタイルは人気ですが、種類によっては割れやすく、強度面ではやや不安があります。強度を考えるなら砂利やコンクリートがおすすめです。特にコンクリートは掃除がしやすく、雑草も生えにくいというメリットがあります。
毎日のように車を出し入れすることになるため、カーポートを設置する場合、道路との位置関係もしっかりと考える必要があります。
面する道路にある程度の広さがあれば、出入口の広さがギリギリでも駐車できます。しかし、道路が狭い場合は出入口にある程度の余裕がないとスムーズに駐車できません。できれば柱が入り口側にないものや、片側だけのものを選びましょう。
最後にカーポートの設置費用について紹介します。
カーポート設置費用は「本体価格」と「施工費」に分けられます。本体価格はメーカーやタイプによって異なるものの、1台用で約25万~50万円前後、2台用で約40万~100万円前後が相場です。
施工費は約4万~5万円前後が相場になります。施工費込みで販売されているケースもあるため、見積もりの際に確認してみましょう。
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公開日 2020年8月30日
更新日 2020年10月22日
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