対面キッチンのメリットとデメリット、インテリアレイアウトを紹介

対面キッチンのメリットとデメリット、インテリアレイアウトを紹介

対面キッチンは台所をリフォームする際に多くの家庭で選ばれています。おしゃれな見た目から高い人気を誇りますが、設置したあとに「こうしておけば良かった…」という声も。リフォームで失敗しないためには、対面キッチンの特徴やリフォームの注意点を事前に確認することが大切です。今回は、対面キッチンのメリットやデメリット、おすすめのレイアウトなどを紹介します。

対面キッチンとは?

対面キッチンとは、台所スペースがダイニングやリビングと高い壁で仕切られていないスタイルのキッチンです。対面型のキッチンは、システムキッチンに分類されます。このタイプは、シンク、コンロ、調理台や収納設備がひとつに組み合わさるデザインです。対面型のほかに、壁付けキッチンもシステムキッチンに含まれます。

壁付けキッチンの場合、台所が壁に向かって設置されています。作業中は目の前に壁面が広がり、そのままでは室内の様子が目に入りません。家族の姿やテレビ画面を見るときには、手を止めて後ろを振り返る必要があります。一方で対面型は壁に目線が妨げられないため、調理や食後の後片付けをしながら家族のいるリビングやダイニングを見渡せます。

対面キッチンのメリット

オープンキッチンとも呼ばれる対面キッチンは、開放感があり広々とした空間にしたい人におすすめ
オープンキッチンとも呼ばれる対面キッチンは、開放感があり広々とした空間にしたい人におすすめ

対面キッチンの主なメリットには、コミュニケーションの取りやすさ、料理のしやすさ、来客から手元が見えない安心感の3つが挙げられます。それぞれ詳しく紹介します。

リビング、ダイニングが見渡せるため、コミュニケーションがとりやすい

対面キッチンはリビングやダイニングとの間の仕切りが低い点が特徴です。キッチンに立てば室内を見渡しやすく、家族とコミュニケーションを取りやすいところは大きなメリットとなります。

調理しているときは、家族と目を合わせて話しながら作業を進められます。食後はキッチンとリビングの後片付けを、楽しく会話しながら行えます。育児中であれば、小さなお子さんの様子を見ながらの作業もしやすいでしょう。

前後に収納があるため、料理しやすい

基本的に対面キッチンは、高い仕切り壁に囲まれていません。この点を上手に活かせば、キッチンの前後に収納スペースを設置できます。調理具や食器が手近にあれば、料理しやすくなるでしょう。

壁付けタイプの場合には、キッチン前面の収納場所が作業スペースの上方やシンクの下部になりがちです。壁際に十分な広さがないと、道具類を手元に収納するのは難しくなります。

対面キッチンの多くは前面の仕切りが調理場と大差ない高さに設計されます。仕切りの上面に一定の幅があれば、手頃な位置に収納スペースを設けられるでしょう。よく使う調理具や食器類が手の届きやすいところにあれば、料理もスムーズに進められそうです。

突然の来客でも安心

対面キッチンでは、調理の手元を見られたくないとき手前にある仕切りやカウンターが目隠しになるため安心です。自宅に来客があった際、食事時なら手料理を振る舞うこともあると考えられます。突然の来客になると、通常は客人の前で準備を進めることになります。視線が気になるので、作業中に手元を見られたくないと思う方も多いのではないでしょうか。そんな場合、キッチン前面の仕切りやカウンターは目隠しとして機能します。

対面キッチンのデメリット

自宅の台所に対面キッチンを導入した後、失敗して悔やまないためにはメリットとともにデメリットの把握も不可欠です。

キッチンが小さくなり、収納が減って片付かない

台所に対面キッチンを採用した場合、キッチンの規模は小さくなる傾向があります。このケースでは、道具類を収納できるスペースが減ってきれいに片付かないといった問題が起こります。基本的に対面キッチンは、導線となる通路や背面収納を設置するためのスペースが必要です。十分な広さがないと、キッチン全体が小さくなってしまいます。室内の広さを考慮せずに対面キッチンを設置すると、収納スペースが減ってしまいます。調理具一式に見合うだけの収納場所を確保できなければ、片付け場所に悩まされるかもしれません。

調理スペースが狭くなって使い勝手が悪くなった

実際に対面キッチンを導入した方からは、調理スペースが狭いため使い勝手が悪くなったという声もあります。すべての物件が空間に余裕をもって対面キッチンを設置できるとは限りません。場合によっては、調理スペースが狭くなることもあります。

例えば、何品も料理をつくる際、さまざまな食材を手狭な調理スペースに置くのは厳しくなります。たくさんの調理具や食材が狭いところに雑然と並ぶなかでは、手際よく作業するのも大変でしょう。調理スペースが狭くなれば、作業手順をよく分かっている料理をつくる際にも、使い勝手は悪く感じられます。

臭いの充満や油、水跳ねで汚れやすい

一般的に、対面キッチンでも壁付けキッチンと同じくコンロの上には換気扇が設置されます。それでもリビングやダイビングから明確に区分けされていないため、部屋全体に臭いが充満しやすいといわれています。

また、対面キッチンの場合には仕切りが低いため油や水の跳びはねが予想以上に激しく、掃除に手間がかかることもあります。対面キッチンには上記のようなデメリットがあります。導入して後悔しないよう、マイナス面も認識しておきましょう。

対面キッチンの種類

対面キッチンを見た目のイメージで分類すると、代表的な種類はアイランドキッチンとペニンシュラキッチンの2つです。こちらでは、両者の特徴を紹介します。

四方に壁がないアイランドキッチン

自由度の高いアイランドキッチンは、自分好みのおしゃれなレイアウトにできる
自由度の高いアイランドキッチンは、自分好みのおしゃれなレイアウトにできる

アイランドキッチンは、四方が室内の壁に接しないタイプです。独立した島を思わせる見た目から、アイランド(島)の名がつきました。いずれも壁などに目線を遮られない場合、このスタイルはオープンキッチンとも呼ばれます。

そんな特徴のため、アイランドキッチンはとても開放的です。周りに移動ルートを確保しやすく、ダイニングに料理を運ぶときや後片付けの際もスムーズです。よくある問題は、設置の際に広いスペースを必要とする点です。狭い部屋に設置すると圧迫感が増す可能性もあるため、気をつける必要があります。

省スペースで設置可能なペニンシュラキッチン

壁側にコンロがあるペニンシュラキッチンは、アイランドキッチンと比べて油跳ね汚れの対策がとりやすい
壁側にコンロがあるペニンシュラキッチンは、アイランドキッチンと比べて油跳ね汚れの対策がとりやすい

ベニンシュラキッチンは、一端が壁に接するタイプです。キッチンが壁面から突き出す印象により、ペニンシュラ(半島)と呼ばれました。アイランドキッチンより省スペースで設置可能であり、多くのご家庭で採用されています。

このタイプでは壁がシンクやコンロのすぐ横に位置し、油汚れや水跳ねに強い特徴をもっています。壁に取りつける換気扇はいろいろな種類から選べるため、臭い対策にも効果的です。ただし、キッチンの一部が壁に遮られることもあり、移動ルートはアイランドキッチンよりは制約を受けます。

対面キッチンのレイアウトの種類

対面キッチンをレイアウトで分類すると、主な種類はI型キッチン、セパレート(Ⅱ型)キッチン、L型キッチンの3つです。

一般的なI型キッチン

I型キッチンは、シンクからコンロまで横一直線に配置されます。もっとも一般的なタイプで、ご家庭で採用されているケースが多く見られます。

通常、I型ではキッチンの手前にカウンター(腰壁)がつきます。アイランドキッチンと異なり完全には壁から独立していませんが、周囲を見渡せる意味では大差がなくセミオープンキッチンとも呼ばれます。

このタイプの場合、カウンターの存在により手元を隠しやすいところが大きな特徴です。コンセントが備わっていれば、調理でちょっとした電化製品を使うときにも電源の確保に苦労しません。とはいえ、カウンターの高さに注意しないと開放感を損ねる場合があります。設置サイズは自由に選べるため、事前によく検討しておくとよいでしょう。

コンロとシンクが異なる台に設置されたセパレート(Ⅱ型)キッチン

セパレート(Ⅱ型)キッチンは、シンクとコンロが別々に配置されるタイプです。設置場所が2カ所に分かれるため、横一直線に並ぶⅠ型に対してⅡ型の別名がつきました。通常のセパレートキッチンは、コンロが壁についてシンクは対面キッチンになるパターンです。この構造のため、油汚れや水跳ねには強さを発揮します。

コンロの横に余裕があれば、収納スペースを設けられます。シンクの上にいろいろなものを置けば雑然として見えることもありますが、壁に背面収納があると片付けに便利です。また、シンクでは数人が同時に並んで作業できるため、家族や友人と一緒に料理するのにも適しています。

収納、作業スペースが広いL型キッチン

L型キッチンは、シンクやコンロを含めたキッチン全体の配列がL字状になったタイプです。広いスペースを占めるため、全体的に存在感があります。

多くの場合、L型キッチンもセパレート型と同じくコンロ部分は壁付けになり、収納スペースを設けられます。シンクの横には広い作業スペースも確保できるため、調理は効率的に進められます。

少し向きを変えればコンロにすぐ手を伸ばせるため、使い勝手の良さを感じられるでしょう。これらの特徴から、とくに料理好きの方からは多くの好評を得ています。なお、設置の際にはある程度の広さが必要です。導入時には、室内にどれくらい余裕があるか確認しましょう。

対面キッチンへのリフォームで失敗しないための注意点

事前にしっかりと計画することが後悔しないためのコツ
事前にしっかりと計画することが後悔しないためのコツ

台所を対面キッチンにリフォームする場合、失敗しないための注意点としては通路幅の確保、臭い対策や目隠し対策の工夫、収納面の事前確認や掃除・お手入れのしやすさへの配慮が挙げられます。こちらでは、対面キッチンのリフォーム時に気をつけたいポイントを紹介します。

通路幅は必ず確保する

対面キッチンでは、どのタイプを選ぶとしても通路幅の確保が必須です。作業スペースやカウンター幅を広げたくても、通路幅が狭いと料理の持ち運びや後片付けが不便になります。

理想的といわれる通路幅は、主に1人で使うなら80~90cm、複数人で料理する機会が多ければ100~125cmです。キッチンの周りには、収納スペースや冷蔵庫を置く場所も忘れてはいけません。対面キッチンを導入しても、作業中に動きにくければ、リフォームした価値は下がるかもしれません。導入時には、目安のサイズを参考にして通路幅にも余裕をもたせましょう。

臭い対策は素材を一工夫して

部屋と一体感のある対面キッチンで臭い対策するには、壁の素材を工夫してみましょう。キッチンの作業スペースから部屋に臭いが広がるのを防ぐ場合、高めのカウンターや吊戸棚で仕切る方法は比較的有効です。ただ、キッチン周りの開放感が損なわれる可能性は否定できません。

キッチンの開放感を保ちつつ臭いの充満も避けるには、壁の素材選びが大切です。消臭および脱臭の効果を見込める素材としては、珪藻土や漆喰などが挙げられます。

リフォームの時点で目隠し対策を行う

調理中の手元に周りの視線が集まるのを避けたい場合や、散らかった状態を隠せるようにしたいなら、目隠し対策を行いましょう。リフォーム時に行うなら、カウンターに工夫を施すほかにロールスクリーンを活用する方法もあります。

カウンター部分は、立ち上がりカウンターや腰壁を設置すると目隠しとして機能します。さらにカウンターの奥行きを増せば、道具類の整理や油・水の飛び散り予防にも役立つでしょう。ロールスクリーンは、必要に応じて自由に開閉できるアイテムです。来客時だけ下ろし、いつもは巻き上げておけば普段から目線が妨げられる心配はありません。

収納が少なくなるため、事前に確認する

これまで壁付けキッチンであった場合、対面キッチンに変更すると収納が少なくなる事態が予想されます。リフォーム時には、そんなケースに備えて収納範囲がどれくらい狭まるか事前に確認しておくことが望まれます。

すでに述べた通り、収納スペースの減少は対面キッチンへのリフォームに伴いよく起きる問題です。何も把握しないまま工事を始めると、作業が終わってから予期せぬ結果に戸惑いを感じるかもしれません。きちんと収納できず改めて工事するとなれば、大変な手間とコストがかかります。面倒を避けるには、事前の確認作業が不可欠です。

掃除、手入れのしやすさにも気を配る

対面キッチンの場合、コンロは壁付けでも仕切りの低いシンク周りには油・水跳ねが予想より増える傾向にあります。リフォーム時には、掃除やお手入れのしやすさにも気を配りたいところです。

調理中や後片付けのときにシンクやコンロから飛び散る油・水が気になるなら、対処法として油跳ねガードが役立ちます。大まかに分けると圧迫感の少ない低めタイプとしっかりガードする高めタイプがあり、オプションで取り付けることが可能です。また、市販品を購入して後付けすることもできます。

ただ、便利なガードを設置しても、キッチン内や周りの床は汚れることがあります。掃除・お手入れしやすいよう、リフォーム前のデザインの検討も大切といえます。

対面キッチンにリフォームする時の費用の相場は?

壁付けキッチンから対面キッチンにリフォームするとき、目安となる費用の相場は55万~200万円です。

ただ、キッチンの種類や改築方法によってはリフォーム費用が相場価格より大幅に上がってしまうことがあります。グレードの高いタイプやオーダーメイドになれば、200万~350万円は必要といわれています。

レイアウトのパターンや追加するオプションの数も、リフォーム費用に影響を及ぼす要素です。また、工事に配管移動が伴うと、費用は高くなりやすいといわれています。リフォームするときには、どれくらい費用がかかるか事前に見積もりをとって確認しておきましょう。

対面キッチンをおしゃれに彩るレイアウト

せっかく対面キッチンにリフォームしたなら、見た目の印象にもこだわりたいという方が多いのでは。こちらでは、よく知られるインテリアのアイデアをいくつか紹介します。

対面カウンターの一部をテーブル、残った箇所を収納にする

キッチンにカウンターがつくタイプなら、場所によって用途をテーブルと収納に分ける方法があります。このレイアウトにすると、テーブル部分では家族が食事できます。料理をカウンター越しに手渡せれば、配膳の面倒がありません。キッチンで調理しながら、食卓との間を慌ただしく往来しなくて済みます。

調理場の目の前に収納スペースがあると、調理具の整理にも役立ちます。よく使うものを入れておけば、いろいろと料理をつくっているとき少し手を伸ばすだけで簡単に道具を取り出せます。

対面キッチンの腰壁にソファやベンチを設置する

対面キッチンの腰壁に、ソファやベンチを設置するパターンも知られます。食後には、家族みんなで腰かけて会話やテレビを楽しめるでしょう。一般的なリビングとは違ったくつろぎ空間を、おしゃれに演出できるかもしれません。

目隠しに棚を活用する

目隠しに棚を活用する
uchi_no_ieさんのインスタグラムより

キッチンの腰壁の上に棚を置くと、目隠しになるうえに収納が増やせます。棚はデザインが多彩です。シンプルなつくりから凝った装飾を施されたものまで、いろいろ選べます。好みのものをDIYしてもいいでしょう。デザイン次第で、キッチンスペースはおしゃれに演出できるはずです。お気に入りの棚をおしゃれにレイアウトしたキッチンなら、楽しい気分で調理できるかもしれません。

対面キッチンにして後悔する前にしっかり検討しよう

台所を対面キッチンにリフォームして後悔しないためには、メリット・デメリットや費用相場などをしっかり事前に検討しておくことが重要です。

どのタイプを選ぶか決めるときには、調理スペースの使い勝手や収納できる容量とともに設置場所の広さも確認しておくことが望まれます。移動しやすさや臭い対策のうち、どの要素を優先するかによっても選択する種類は変わってくるでしょう。

それぞれのタイプの特徴やリフォーム後に懸念される問題点にも目を向けて、どういったキッチンを採用するか決めましょう。

公開日 2020年9月18日
更新日 2023年3月22日

#キッチン

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