中古マンション購入時に耐震基準は重視すべき? リノベーションと耐震性の関係性

リノベーション前提で中古マンションを購入する場合、気になるのは物件の耐震基準。やはり「新耐震基準」のマンションを選ぶべきなのでしょうか?
「新耐震基準」と「旧耐震基準」とは

物件の耐震基準は建築基準法で定められており、1981年(昭和56年)6月以降に建設した物件が「新耐震基準」、それ以前は「旧耐震基準」といわれています。新耐震基準では、1978年に発生した宮城県沖地震の被害を教訓とし、構造計算の見直しが行われ、耐えうる想定地震の震度6以上として基準を引き上げました。
・旧耐震基準:震度5程度の地震で倒壊は免れる
・新耐震基準:震度6~7程度の地震でほとんど損傷しない
想定する震度の大きさと、倒壊だけではなく損傷を防ぐという点が大きく変わりました。熊本地震では震度6以上の地震が何度も起きていることを考えると、倒壊しないだけでは安全とは言えないことがわかるでしょう。
「旧耐震基準」の物件は選ばないほうがいい?

では、1981年以前に建てられた築40年以上の古い物件は避けたほうがいいのでしょうか。
実は、「旧耐震基準」の物件でも、耐震改修工事を実施して耐震性を高めた物件もあります。とくに、富裕層向けのマンション、いわゆるヴィンテージマンションと呼ばれる物件は、とても頑丈につくられています。梁や柱もかなり太いため、古くても十分な強度があります。
1981年(昭和56年)前後に建築された物件を自分で探す場合は、不動産会社に詳しく調べてもらうよう依頼するのがベストです。
旧耐震物件ならば、耐震補強を含めた大規模修繕がいつ行われたかをチェックするのも大切です。修繕記録や竣工図の梁の太さなどを見ながら、説明してもらいましょう。
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「耐震」「制震」「免震」の違い
新耐震物件ならば、「耐震」「制震」「免震」──どの建築構造を施しているのかも重要なポイントになってきます。
- 耐震=地震に耐えるだけの頑丈な造りのもの
- 制震=ダンパーなど特殊な部材が揺れを吸収する造りのもの
- 免震=床下にゴムのような素材を挟んで、それが揺れを響かないようにする造りのもの
ちなみに、「制震」や「免震」は「耐震」より総じてコストは高めになります。なかでも「免震」はタワーマンションなどに多い最新の技術です。
耐震性を示す「耐震等級」とは

耐震等級は、地震に対する建物の強度を表す指標です。耐震等級は1〜3までに分かれていて、数字が大きいほど耐震性能が高く、地震に対する構造躯体の倒壊や崩壊の可能性を軽減できるとされています。
耐震等級1|新耐震基準を満たす最低限レベル
耐震等級1は、建築基準法で定められている新耐震基準を満たすレベルとされています。
数百年に1回しか発生しない程度の震度6〜7程度(阪神・淡路大震災、熊本地震クラスの揺れ)に対しても倒壊・崩壊しない、また数十年に1度程度発生する震度5程度の地震では住宅が損傷しない程度の耐震性があるとされています。
建築基準法で必ず満たさなければならないと定められている「最低限」の基準です。
耐震等級2|耐震等級1の1.25倍の耐震強度
耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる強度があるとされています。学校など災害発生時の避難場所となる公共施設については、耐震等級2以上であることと規定されています。
耐震等級3|耐震等級1の1.5倍の耐震強度
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震強度があるとされています。現在の耐震等級のうちもっとも高いレベルで、災害発生時の復興拠点となる消防署や警察署の多くは耐震等級3で建てられています。
物件の築年数以外にチェックしておくべきポイント

中古マンションを購入する際には、築年数や耐震改修工事の有無を確認することが大切です。しかし、基準を満たしていても物件の状況や構造によっても耐震性は異なります。ここからは、築年数以外で確認しておくべきポイントを解説します。
管理やメンテナンスがされているか
マンションの場合、共用部分が定期的にメンテナンスされているか、計画的な修繕計画があるかなど、管理体制を確認しておくのが重要です。
不動産会社を通じて、修繕の履歴や修繕積立金の管理を見せてもらうことが可能です。管理やメンテナンスの詳細は耐震性能を知る上では重要なポイントです。
基礎や外壁にひび割れや傾きがないか
実際に、物件の基礎や外壁にひび割れや傾き、塗装の剥がれなどがないか確認する方法もあります。外観だけでは確実に判断することはできませんが、耐震性を判断するひとつの材料となるでしょう。
「中古物件購入+リノベーション」という選択肢も視野に入れて

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公開日 2020年3月15日
更新日 2021年1月15日
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