天井に無垢材を使って板張りリノベーション。メリットや事例を紹介

天井に無垢材を使って板張りリノベーション。メリットや事例を紹介

あたたかみのある室内に仕上げたいなら、天井に木材、とくに無垢材を使ったリノベーションがおすすめです。天井に無垢材を使うことで、やさしさを感じられる、気持ちが落ち着くような空間づくりが可能です。この記事では、無垢材とは何か、天井に無垢材を使うメリット、天井板張りリノベーションにかかる費用といったことを解説します。

無垢材とは?

無垢材とは、天然木から切り出した1枚の板を指す言葉です。薄い板を張り合わせてその上から化粧材を貼った合板とは違い、1枚1枚がそれぞれに異なる表情があり、よりナチュラルな印象を感じます。無垢材は繊維と繊維の間に空気を含んでいて、それが一定の断熱効果を持ち、冷たさを感じにくいというメリットもあります。

無垢材は反りや割れが生じやすく、そこがデメリットとされています。ただ、きちんと乾燥し、含水率が10%を切った無垢材は、集成材よりも高い強度を誇ります。しっかり時間をかけ、丁寧に加工された無垢材は、合板よりも丈夫で長持ちです。

無垢材を使った部屋は体にやさしく快適

無垢材は手触りも見た目にもやさしく、接着剤などのアレルギー物質が少ない特徴がある
無垢材は触り心地がよく、接着剤などの化学物質も少ない

無垢材を使った部屋は、手触りも見た目にもやさしく、あたたかみのあるものです。柱やフローリングだけでなく、天井材にも木材を使うと、それだけでやさしい雰囲気を醸し出すことができます。雰囲気だけでなく、接着剤を多く使う集成材よりもアレルギー物質が少ないため、小さい子どもがいる家庭ではより安心できます。

使用する木材が無垢材なら、集成材を使うよりもより快適な部屋づくりが可能です。1棟の戸建て住宅で使用される木材使用量は、20%程度とされています。20%程度であっても、集成材より無垢材を使えば、よりナチュラルな印象に仕上げられます。木材の使用割合をさらに多くできれば、さらに自然で体にもやさしい部屋づくりができるでしょう。

無垢材の天井にするメリット

では、具体的に天井にも無垢材を使うメリットを見てみましょう。どんな魅力があるのか、どのような印象を演出できるのか……。とくに、これから家を新築、リノベーションしたい方に向けて紹介します。

調湿効果で居心地の良い部屋に

木材には調湿効果があることが知られています。ただ、一般的な集成材の場合、何層にも木材を重ね、それぞれを接着剤でくっつけています。このため、調湿効果はかなり限定的です。一方、無垢材は接着剤を使用していません。比較的薄い天井板であっても、無垢材ならば自然な調湿効果があり、快適な空間を実現。

近年では「シックハウス症候群」が問題になったこともあり、集成材に使用する接着剤にホルムアルデヒドといった原因物質の使用は制限されています。ただ、やはり心地よい空間づくりにとって、無垢材がいいことはいうまでもありません。

調湿効果に加え、家族の健康を守るという点からも、無垢材の使用は大きなメリットがあります。ちなみに、杉の無垢材と合板との調湿効果を比較した実験結果があります。同じ調湿性能を得るためには、無垢材に対し下のように合板の量を増やさなければなりません。

  • 無垢材:53mm×62mm×12mm
  • 合板:120mm×120mm×12mm

調湿効果では、無垢材の方が圧倒的に有利ということがわかっています。この試験は、建材の吸放湿性試験法「JIS A 1470-1:2008」に則って行われたもので、杉の無垢材と杉の合板とを比較したものです。

試験内容のあらましは、「3時間/6時間/12時間でどれだけの吸湿量を示すか」に加え、「吸湿させたあと12時間で約70%の湿度を吐き出すか」です。杉無垢材と杉合板は同じく等級2(調湿建材としての性能評価で、1~3に分けられる)を示しましたが、同じ等級となるためには、上のように合板の方が木材量が必要で、結果として調湿効果の面で劣ることがわかりました。

騒音対策にもおすすめ

無垢材の天井や床は、騒音対策にも役立ちます。無垢材のフローリング/天井板は、空気を多く含んでいます。そのため、2階の足音が1階に響きにくいというメリットがあります。家族の足音なら多少は我慢できても、来客の際に2階からの足音が響くのは心配。その点、無垢材の床材/天井板なら、騒音が気にならず、快適な環境づくりに役立ちます。

無垢材の木の香りでリラックスできる

無垢材は、天然の木材ならではの香りを楽しめます。新築やリノベーションしてから日が浅いうちは、とくにその香りによるリラックス効果を満喫できます。木材はフィトンチッドというリラックス成分を発し、マツやヒノキはその発散量が多いとされています。フィトンチッドはリラックス効果だけでなく、免疫力向上効果があることが発表されています。

あたたかみのある空間になる

明るい色味の無垢材を使いたいなら、パイン材がおすすめ
明るい色味の無垢材を使いたいなら、パイン材がおすすめ

天井にも無垢材を使えば、視覚的なあたたかみを感じられる部屋づくりができます。部屋に足を踏み入れたとき、人は部屋全体を見るものですが、そのとき天井も目に入ります。天井に明るい色を使うのは広さを印象付けるためですが、そこにクロスではなく木材を使用すれば柔らかな広がりを与えられます。

できるだけ明るい色味を天井に使いたいなら、パイン材がおすすめです。パイン材とは、松の木を使った無垢材のこと。一般的には北米産の松をパイン材と呼び、イエローパイン・ホワイトパインといった明るめの色調が特徴です。明るく、なおかつやさしいあたたかみのある天井なら、心理的癒しも得られます。

無垢材天井はDIYできる?

もしもDIYで天井を無垢材に変えたいときは、「無垢パネリング」という製品を使いましょう。無垢パネリングは、板同士を組み合わせるための加工が施されたもので、DIYに慣れた方なら比較的取り扱いやすいものです。

板の左右に「本実(ほんざね)」もしくは「相決り(あいじゃくり)」といった加工がされていて、板同士を突き合わせて接着剤を塗布、必要部分に化粧釘を打てば天井を無垢材で覆うことが可能です。

ただ、1本のパネルでは長さが足りないので「継ぎ手(結合部)」をうまく工夫し、見た目にも美しく映るようデザインしなければならないという点、一般的な天井下地では釘でのパネル固定が難しいというところが難点。DIYは不可能ではないものの、できれば建築業者やリフォーム業者に依頼するのが安心です。

無垢材天井の実例

どこの天井を無垢材にするか、どういった貼り方をするかなどの参考に、無垢材天井を使った部屋の実例を紹介します。

材料・材質の色味を統一してリラックスできる部屋に

天井に無垢材を使い場合は床やドア、壁などとのバランスが重要
天井に無垢材を使い場合は床やドア、壁などとのバランスが重要

部屋全体の印象をまとめ、落ち着いた雰囲気に近づけたいのなら、床や壁と天井に使う材質をまとめることが大きなポイントです。樹種を合わせる/色合いのバランスをとるなど材質同士の相性は重要で、ちぐはぐなイメージにならないように検討します。とくに床も天井にも木材を使うのなら、一体感を覚えるよう色味を合わせるのが基本です。

部分使いで開放感を残す

LDKのキッチン部分のみ無垢材天井にした例。圧迫感が軽減される
LDKのキッチン部分のみ無垢材天井にした例。圧迫感が軽減される

日本の住宅は天井高があまり高くなく、天井に無垢材を使用すると、厚みがあることもあり圧迫感を感じる場合があります。圧迫感が気になる場合は、リビングダイニングキッチンの中のキッチンの部分のみ施工するのもおすすめ。空間の仕切りにもなり、部分使いすることにより費用も抑えられます。

こちらの実例は、フローリングをヘリンボーン状に組むことで、天井や壁の無垢材とメリハリをつけています。無垢材を多く使うと重厚感がでて重く感じることもあります。組み方を変えることで部屋に広がりをあたえますし、組み方を変えるだけでおしゃれに仕上がります。

天井を無垢材にリノベーションする際の費用

天井を無垢材にリノベーションするときには、どのくらいの費用がかかるか気になる人も多いはず。「天井をクロスではなく、木材で仕上げたい」と考える方は、必要費用を確認してください。

天井の板張りリフォームの費用相場

まず、天井板張りリフォームの費用を、使用する素材ごとに比較します。ここでは「プリント合板(木目模様をプリントした集成材)」、「天然木化粧合板(表面に天然木を貼り付けた集成材)」、「無垢材」を比較します。

プリント合板天然木化粧合板無垢材
6畳8万~24万円程度10万~35万円程度17万~51万円程度
8畳9万~30万円程度12万~45万円程度21万~67万円程度
10畳10万~36万円程度13万~55万円程度25万~84万円程度
12畳10万~41万円程度14万~63万円程度28万~96万円程度

1㎡当たりの価格で比較すると、次のとおりです。

  • プリント合板:1000~1万円ほど
  • 天然木化粧合板:2800~2万5000円ほど
  • 無垢材:8900~4万円ほど

この単価の差は、単純に材料自体の値段が高い/安いというだけではなく、それぞれの素材に合った下地強度(耐荷重)の確保や、天井材をきれいに組み合わせデザインする手間暇といった施工にも影響されます。

天井に無垢材を使用した場合のメンテナンス方法

無垢材を天井に使う場合、フローリング同様にメンテナンスが必要です。ただし、フローリングよりもメンテナンスに手間暇がかかります。天井は、手の届かない高いところにあるので、何かのトラブルを発見しても専門家の手を借りないと手入れできません。

もしも反りや歪みが生じたときは、カンナで削ります。何かしらの理由で水がかかってしまったら、できるだけ早く乾かし、素材に適した塗装(オイル塗装/自然塗料塗装)をして、木材を腐食する菌増殖を予防してください。

長い期間を経るうちに黒っぽくなってしまったときは、「灰汁洗い(あくあらい)」をすることで元々の色合いに戻すことができますが、専用の薬剤(医薬用外劇物)を使わなければならず、外壁塗装業者のなかでも木造住宅の手入れに長けたところに依頼します。

思い切って色合いを変えたいときは、木材に合った塗料(オイル/蜜蝋/ウレタンなど)で塗装しましょう。いずれにせよ、高所のメンテナンスなので、とても危険です。建築業者や塗装業者に依頼し、使用した無垢材に合った方法で適切な手入れをしてください。

公開日 2020年11月11日
更新日 2023年3月22日

#無垢材

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