リノベーションの流れ。中古住宅のリノベーションで依頼主がすべきこと

リノベーションの流れ。中古住宅のリノベーションで依頼主がすべきこと

中古住宅のリノベーションは、どのような流れで進んでいくのでしょうか。業者に相談、依頼した後、任せきりにするわけにはいきません。本人が動いたほうがスムーズに手続きが進むこともあります。ここでは、中古住宅リノベーションの流れや依頼主がすべきことのポイントについて解説します。

リノベーションの流れは大きく分けて4ステップ

物件に手を加えるリノベーション期間は数カ月かかり、すべての行程が終わるまでその物件に住むことはできません。行程を4つの段階に分けて考え、一つひとつのタスクを完了させながら進めるのがおすすめです。長いステップを経て初めて、大きく改善されたリノベーション物件を手にすることができます。

ひと言でリノベーションといっても、対象によってスタート地点は異なります。代表的なのは、すでに所有している物件をリノベーションするケースと、中古物件を改めて見つけてリノベーションを実施するケースです。後者のケースが、より多くの段階を踏む必要があります。

中古物件を購入してリノベーションする場合、まずは物件選びから始めます。必要なリノベーションの規模やコスト、仕上がりは元の物件の状態によって決まるため、慎重な判断が必要です。続いて、物件を購入します。物件は大きな買い物であり、通常の買い物とは異なるさまざまな手続きが必要です。たいていはローンを組むため、資金計画や審査といった準備も行います。

次に、リノベーションに関するプランニングを行います。理想と予算のバランスを考えながら設計することが重要です。最終的に工事が行われます。この間も施主が行うべきことはあります。このように、団地・中古住宅のリノベーションは「物件選び」「物件の購入」「リノベーション設計」「リノベーション工事」という4つのステップに沿って進められます。以下では、それぞれのステップについて詳しく解説します。

①物件選び(内見⇒事前審査⇒売買契約)

不動産会社選びは、物件選びと同じくらい重要。信頼できる不動産会社を見つけることが、リノベーション成功のカギ
不動産会社選びは、物件選びと同じくらい重要。信頼できる不動産会社を見つけることが、リノベーション成功のカギ

リノベーションするためには、対象となる物件が必要です。その後のリノベーション結果を左右するため、物件選びには慎重さが求められます。また、その後長い付き合いとなる不動産会社も、信頼性を吟味して選ばなければなりません。目安ではありますが、物件が決まってから不動暖売買契約の締結までには、1~2週間の期間がかかります。

まずは信頼できる不動産仲介会社選びを

中古物件のリノベーションは、不動産仲介会社選びから始まります。「物件選びは不動産仲介会社選びである」と言えるほど重要です。物件調査や予算管理について気軽に相談でき、責任を持って担当してくれる不動産会社が理想です。リノベーションを急ぐ場合、焦って不動産仲介会社を決めてしまいがちですが、慎重に決めましょう。

頻繁に見受けられるのが、物件検索サイトで魅力的な物件を見つけ、そのページ内で紹介されている不動産仲介会社にそのまま依頼してしまうケースです。その不動産仲介会社が優良な業者とは限りません。相談すること自体には問題はありませんが、ほかの業者も含めて判断することをおすすめします。

物件は不動産仲介会社によって独占されているわけではありません。ひとつの物件に関して、仲介してくれる業者は複数存在します。まずは、信頼できる不動産仲介会社を見つけることを優先しましょう。その後、気に入った物件の情報を伝えれば、仲介してもらえます。

不動産仲介の機能も抱える「ワンストップ・リノベーション会社」

不動産仲介会社の役割は、物件を紹介し、購入をサポートすることです。さらに近年は中古物件の購入後にリノベーションを行うケースも増えています。そのため不動産の仲介から担当するリノベーション会社も一般的になりました。こうした「ワンストップ・リノベーション会社」に依頼することには、以下のようなメリットがあります。

1.物件購入→リノベーションの移行がスムーズ
2.物件を安く買えることが多い
3.窓口がひとつで、手続きが簡単
4.仲介される物件は基本的にリノベーション可能
(物件を見つけてからリノベーション可能か確認する必要がない)

中古物件を購入するだけであれば、通常の不動産仲介会社でも問題ありません。将来的にリノベーションを考えているのであれば、ワンストップ・リノベーション会社に依頼しましょう。

住宅の予算設計は「安心して暮らせること」を優先

予算設計も重要なタスクのひとつです。通常は住宅ローンを利用して物件を購入しますが、「借りられる額」を基準に予算を設計するのは避けましょう。住宅ローンは融資であり、利息付きでの返済となります。返済に困窮してしまうことも少なくありません。融資限度額近くで住宅ローンを申し込むと、返済によって生活が圧迫されることになります。

家の購入が最終目標ではありません。安心して生活していけることが重要です。リノベーションを踏まえると、物件の予算はさらに抑えて設定する必要があります。無理のない予算設定には、客観的な意見が求められます。まずは自分で入念なシミュレーションを行い、その後ファイナンシャルプランナーなど第三者の意見を求めることをおすすめします。

また、気に入った物件が見つかった場合は不動産買付証明書を提出することも忘れずに。これにより詳細な物件情報が共有されます。印鑑の押印が求められるため、認印などを用意しておいてください。

「不動産売買契約」を締結(契約書の確認と手付金の準備)

不動産売買契約を結んだら、売主と対面する機会は基本的になくなる。物件に対して疑問がある場合は、積極的に質問を
不動産売買契約を結んだら、売主と対面する機会は基本的になくなる。物件に対して疑問がある場合は、積極的に質問を

内見の末、購入する物件が決まったら不動産売買契約を締結します。この契約は、その物件に対して購入代金を支払う「約束」のようなものです。契約は、買主、売主、それぞれの不動産仲介会社が集まったうえで結ばれます。これ以降、売主と対面することは基本的にありません。お互いにとって情報を交換する良い機会のため、物件に関して質問があれば積極的に質問してください。

契約書の確認と手付金の準備

不動産売買契約は契約書によって書面で締結されます。契約書は、売主側の不動産仲介会社によって発行されるケースが一般的です。買主側の不動産仲介会社によって確認が行われますが、買主本人も目を通しておきましょう。この時点で手付金の支払いも必要です。支払った手付金は、後に物件の支払額として充当されます。手付金の相場は、物件金額の5~10%です。

②物件の購入(本審査⇒ローン契約⇒物件決済)

続いて、物件の購入・決済のステップです。このステップではローンの申し込みと審査、ローン契約、決済というフェーズに分かれています。ローン契約が完了し、物件の所有権が移転するまでの期間は1カ月前後が目安です。

住宅ローンの本審査

住宅ローンを契約するためには、本審査を通過する必要があります。金融機関とのやり取りでは、事実を正確に伝えましょう。虚偽があれば間違いなく発覚し、審査に落ちてしまいます。前の段階ですでに事前審査には申し込んでいますが、本審査ではさらに入念な申込者の調査が行われます。多くの書類提出が求められますが、通常は不動産仲介会社がサポートするため心配は不要です。審査結果の通達までには1~2週間かかります。

「団体信用生命保険」に加入する

ほとんど場合、住宅ローンを契約する際には団体信用生命保険への加入が求められます。健康状態が悪い申込者は、金融機関にとっても保険会社にとってもリスキーです。そのため、健康状態を理由に住宅ローン利用が難しくなります。団体信用生命保険は、住宅ローンで借り入れを行う人が加入する保険です。住宅ローンの返済中に死亡した場合、もしくは高度障害状態になった場合に、保険金によって残債を返済できます。

金融機関と住宅ローン契約を結ぶ(諸費用の準備)

本審査に通過すれば、住宅ローンの契約が可能になります。契約の際に金利や返済期間が確定し、後日決済と引き渡しが行われます。なお、住宅ローンの利用や物件の決済・引き渡し時には諸費用が発生するため、あらかじめ準備しましょう。代表的な費用は登録免許税、司法書士報酬、固定資産税、不動産取得税、融資手数料、保証料、火災保険料、仲介手数料です。目安として、物件価格の8~10%が発生します。

③リノベーション設計(ヒアリング・現地調査⇒プラン提案⇒見積もり)

ここからは、いよいよ具体的なリノベーション計画が始まります。リフォーム会社への要望提出、現地調査の後、リフォーム会社からリノベーションプランが提案されるのが基本です。必要に応じてプランが改修された後、見積もりが提示されます。リノベーションの設計が完成するまでの期間は2.5~5カ月が目安です。

現在の住まいや家族構成のヒアリングで、希望の住まいを実現

ライフスタイルや家族構成を、リフォーム会社とヒアリング。新たな住まいをイメージする楽しみ、リノベーションならでは
ライフスタイルや家族構成を、リフォーム会社とヒアリング。新たな住まいをイメージする楽しみ、リノベーションならでは

リフォーム会社を交えたヒアリングの機会には、自分の希望を積極的に伝えましょう。明確な希望がない場合も、家族構成や現在の住まいの状況を伝えれば、リフォーム会社から最適な間取りなどが案内されます。少しずつ新たな住まいのイメージを明確にしてください。

その後、リフォーム会社による現地調査が行われ、希望のリノベーションが実現可能か確認が行われます。元となる物件の間取りや状態によっては、妥協せざるを得ない部分が出てくることもあります。今後の生活に関わることなので、可能な限り理想を実現できるように、入念な打ち合わせを行ってください。

イメージ写真で設計士に「視覚的な」共有を

「イメージ」とは、言葉で明確に伝えづらいもの。SNSなどで理想としている写真や画像があれば、設計士に共有を
「イメージ」とは、言葉で明確に伝えづらいもの。SNSなどで理想としている写真や画像があれば、設計士に共有を

明確なイメージは言葉だけでは伝わりづらいものです。受け取り方の違いから、図面設計がなかなか進まない場合があります。ヒアリングの際にはリフォーム会社に写真や画像を提示しておくと設計がスムーズです。

設計が自分のイメージとかけ離れてしまうリスクを防げます。イメージ写真を元に実現可能なリノベーションかどうかを、設計士と一緒に検討します。少しずつ理想のビジョンが構築されていく様子は、リノベーションの醍醐味のひとつです。

見積もりを出す

イメージのヒアリング、現地調査、その後複数回の打ち合わせを経て、リフォーム会社から見積もりが提示されます。予算は限られているため、見積額によっては理想をすべて実現できない場合もあります。妥協や代替案の採用により、少しずつ見積もりが予算内に収まるように調整します。

実現させたいことに「優先順位」を付けると予算内に収まる

理想を詰め込みすぎて支払いに困窮するよりも、実現したいことに「優先順位」をつけて、可能な限り理想に近づける努力を

リフォーム会社から提示された見積もりを、どの程度受け入れるかは人によって違います。高額な見積もりを受け入れるのもひとつの選択肢ですが、リノベーションによって、快適な暮らしを犠牲にしては本末転倒です。あらかじめ決めた予算内に収まるように見積もりを調整することをおすすめします。

実現したいことに優先順位を設け、優先順位が低い要素から妥協して予算内に収めましょう。無理をして理想を詰め込み、支払いに困窮するよりも、「予算内で可能な限り理想に近い住まいを実現する」という意思が重要です。

④リノベーション工事(工事契約&準備⇒工事開始⇒検査・引き渡し)

続いては工事のステップです。いきなり工事を始められるわけではありません。まずは契約を締結してから、検査や許可が必要になります。この工程がスムーズに進むと、新しい住まいへの入居も早くなるため、あらかじめチェックしておきましょう。リノベーション工事期間は 2.5~3カ月が目安です。

工事契約~工事準備

リノベーションのための工事請負契約をリフォーム会社との間で締結します。集合住宅の場合、実際の工事作業に移るためには管理組合への申請が必要です。

施工会社が管理組合に工事申請の提出

管理組合への工事申請は、一般的にリフォーム会社が行います。その場合、施主が行うことは特にありません。状況によっては施主自身が申請を行わなければならないケースがあります。管理組合にとってリフォーム会社はあくまで「業者」です。そのため、管理組合によっては取り合ってくれないこともあります。

一方で、施主である物件の所有者が出向くと、積極的な対応が期待できます。同様の理由で、通常はリフォーム会社が行う近隣の方への挨拶も、施主本人が出向いたほうがスムーズです。工事の開始が遅れているようであれば、自ら申請や挨拶を行うことを検討してください。

工事期間中は、チェック項目に沿って「施主検査」を行う

工事が始まってからも、施主の仕事はあります。実際に現場で工事が始まると、イメージや設計通りに進まないこともあります。工事中の施主検査にて、想定と違う部分がないか細かく確認しましょう。気になる部分があれば迅速にリフォーム会社や職人へ相談することが大切です。

職人の「対応力」が理想の住まいづくりのポイント

予定の施工が難しい場合は、代替プランに変更。それが当初よりも優れたプランに実現することも。職人の経験と腕の見せ所
予定の施工が難しい場合は、代替プランに変更。それが当初よりも優れたプランに実現することも。職人の経験と腕の見せ所

設計どおりに施工するのが難しい場合、設計士や職人と代替プランを探すことになります。当初の予定からは変わるため、残念に感じる方も多いかもしれませんが、職人の対応力により元の設計よりも優れたプランを実現できることもあります。意見を率直に伝え、職人と素敵な施工を目指しましょう。

リノベーション完成後、アフターサービスで失敗しないために

工事が完了すれば、新しい住まいに移住できます。住んでいくなかで、工事直後は見抜けなかった問題に気づくかもしれません。そのため、リフォーム会社のアフターサービスにも注目しておく必要があります。

最低2年間の保証を確保

工事完了から数年経過して、リフォームの欠陥が判明する例もあります。そのため、工事後、最低2年間の保証が設けられていると安心です。保証対応については、リフォーム会社によって異なります。工事後のトラブルをなくすために、リフォーム会社の保証対応を確認しておきましょう。

R1住宅の適合基準を満たしている物件を選ぶ

リノベーションの品質安定化・向上のためのリノベーション住宅推進協議会は、リノベーション住宅の品質基準として「R1住宅」を定めています。給水管、排水管、給湯管など住宅のインフラに検査基準を設けているほか、上述した2年以上の保証も標準で付帯しているため、R1住宅の基準を満たした施工内容を選ぶと安心です。

公開日 2020年10月28日
更新日 2023年3月22日

販売中のおすすめリノベ物件