無垢材フローリングの種類と選び方のポイントとは?

無垢材フローリングの種類と選び方のポイントとは?

リフォームで床材を張り替える場合、フローリングやクッションフロア、カーペット、畳などさまざまな選択肢があります。定番であるフローリングを選ぶ場合でも、無垢材にするか複合材にするか、あるいはウォールナットやオーク、メープルなどの種類をどうするか迷うケースも珍しくありません。

今回は無垢材と合板フローリングの違いや無垢材を使用するメリット、よく使用される種類などを紹介します。

無垢材とは

フローリングを選ぶ際に耳にすることの多い無垢材。そもそも無垢材とは、特定の木材を指す言葉ではありません。無垢材とは、丸太から切り出した自然な状態のままの木材を指します。丸太を切り出しただけの天然素材のため、品質にはばらつきがあるものの、木がもつ本来の温かみや表情を感じ取れるのが特徴です。

無垢材はフローリングというイメージが強いですが、壁や床階段の踏み板、キッチンカウンターの天板などさまざまな場所に使用されています。ただ、重量があり湿度や温度の影響を受けやすいため、扉などの建具にはあまり使用されていません。一方、薄くした木板を張り合わせたブロック状の木材を集成材と呼びます。人工的に作られた木材で、品質が安定しているのが特徴です。

無垢と合板フローリングの違い

床材には、無垢フローリングと合板フローリングのどちらかを使用するのが一般的です。無垢フローリングは無垢材を使用した床材で、合板フローリングは集成材など人工的に作られた基材の表面に化粧材を張り合わせた床材です。

無垢フローリングは質感や肌触り、調湿作用に優れていて、合板フローリングは施工のしやすさや丈夫さに定評があります。集合住宅用や防音用、床暖房用など設置場所に合わせてタイプを選べるため、一般的な住宅には合板フローリングが使用される傾向にあります。

無垢材を使うメリット

独特な風合いが人気を集めている無垢材フローリングですが、天然素材の木材を使用しているため、メリットもデメリットも兼ね備えています。こちらでは、無垢材を使用するメリットを5つ紹介します。

木材本来の質感が味わえる

フローリングに無垢材を選ぶ理由として多いのが、木材本来の質感を味わいたいというものです。無垢材は天然素材の丸太から切り出しているため、合板にはない手触りや肌触りを感じられます。また、無垢材はすべて木目や色合いが微妙に異なっていて、1枚として同じものはありません。床材に使用することで、無垢材にしか演出できない独特な雰囲気のフローリングに仕上がります。

経年変化を楽しめる

天然素材である無垢材は、時間の経過によって香りや木目、色合いなど表情を変えます。リフォームしたばかりの床は、どんな素材でもきれいに感じますが、長い年月が経過した後も変化していく色やツヤを楽しめるのは無垢材ならではです。ただの床材として考えるのではなく、家族とともに家の歴史を作っていくフローリングにしたいのであれば、無垢材を選ぶのがおすすめです。

調湿作用によって快適空間に

天然木から作られた無垢材には、調湿作用があります。調湿作用とは、無垢材が水分を吸収・放出することで部屋の湿度を調整する作用のことです。ジメジメする夏場には無垢材が湿気を吸収し、湿度の上昇を抑えます。一方、乾燥する冬場には無垢材から水分が放出され、部屋の湿度を一定以上に保ってくれます。どちらも湿度の高低による不快感を軽減してくれるため、快適な部屋が実現可能です。在宅勤務やテレワークが増えている昨今、部屋の快適性をアップさせるのは重要なメリットです。

冬場の冷えを防ぐ

合板フローリングの弱点のひとつが、冬場の冷えです。暖かい空気は上に、冷たい空気は下に移動する性質があるため、どうしてもフローリングは冷たくなってしまいます。この点、無垢材は木の内部に含まれる空気が断熱の役割を果たし、低熱伝導率を実現しているため、床材として使用すると冬場の冷たさが軽減されます。年中素足で過ごしていても快適なフローリングが実現可能です。

木の香りで安らぐ

無垢材をフローリングに使用する最後のメリットが、天然木ならではの木の香りを感じられる点です。木材がもつ独特な香りを楽しめるのは、合板フローリングにはない特徴です。木の香りにはアロマテラピー効果があるともいわれており、自宅でありながら癒しの空間を実現できます。

無垢材を使うデメリット

味わい深い香りや質感、年月を経るごとに生じる独特な風合いなど魅力の多い無垢材ですが、一般的な集成材とは異なる注意点もあります。こちらでは、フローリングに無垢材を使用するデメリットを紹介します。

膨張と収縮を引き起こす

無垢材は、調湿作用によって水分を吸収・放出するため、そのたびに膨張と収縮を繰り返しています。膨張や収縮によって無垢材が変形すると、フローリングにすき間や反りが生じたり、床鳴りが発生したりします。具体的には、無垢材の含水率が30%を下回ると膨張や収縮が発生しやすく、18%以下になると強度が高まるため、施工前に対策を施すことが大切です。実際に使用する際は、無垢材をしばらく放置し含水率を安定させておくのが一般的です。

傷がつきやすい

天然木である無垢材は、加工されて強度が増した集成材と比較すると、柔らかく傷がつきやすい傾向にあります。固い物を落とすと凹む可能性もあり、ペットがいる住宅では犬や猫のひっかき傷も残りやすくなります。

ただ、上記のような細かな数も経年変化のひとつとして楽しめるのが無垢材の魅力です。素材によって傷のつきやすさも変わってくるため、事前に好みの種類をリサーチしておきましょう。また、無垢材は集成材と異なり、水分を含むと膨張する仕組みを利用して凹みを直すこともできます。

水に弱い

無垢材をフローリングに使用する場合は、水に弱い点に注意が必要です。無垢材のなかには表面に塗装を施しているものもありますが、合板フローリングと比較すると決して水に強いとはいえません。無垢材フローリングを濡れたまま放置していると、膨張して反りが生じたり、シミや菌が繁殖したりするため、すぐに水を拭き取ることが大切です。

床暖房は難しい?

無垢材をフローリングに使用する場合、以前は床暖房を設置するのが難しい、とされていました。無垢材が温度変化に弱く、70度近い熱源を当てる床暖房に耐えられないためです。この点、近年は床暖房対応の無垢材フローリングも多く普及していて、さまざまな製品のなかから好みのものを選べます。ただ、合板フローリングと比較すると材料費や工事費が高くなる点には注意が必要です。

木の種類と価格

虎斑(とらふ)と呼ばれる模様が味のあるオーク

フローリングや家具に使用される木材にはさまざまな種類があります。それぞれ価格帯や硬さ、色合いなどが異なるため、使用用途に応じて選ぶのが重要です。こちらでは、代表的な木材の種類や価格の目安を紹介します。価格については、25×250×1000㎜のサイズで表記しています。

ウォールナット(クルミ)

日本語でクルミを指すウォールナットは、世界三大銘木のひとつに数えられていて、チョコレートのような濃い色合いが特徴的な木材です。高級感があり、ヴィンテージやレトロ調のインテリアを好む方に人気があります。耐衝撃性や加工性、接着性に優れた使い勝手の良さも魅力です。価格は少し高めに設定されていて、7000~1万円です。

オーク(ナラ)

耐久性に優れていて、大型の家具を作成する際に使用することの多いオーク。厳密には、北米で採れる木をオーク、日本や中国、ロシアなど採れる木をナラと呼びます。オークの木目には、虎の毛並みに似た虎斑(とらふ)と呼ばれる模様があり、ほかの木材にはない独特な雰囲気を演出できます。耐水性にも優れているため、水まわりに置くアイテムに用いられることも多い木材です。価格帯は、5000~7000円が目安です。

メープル(カエデ)

木材のなかでもとくに硬度が高く、摩擦や衝撃に強いのがカエデ科のメープルです。比較的明るい色合いが特徴的で、木目も滑らかなため、広い範囲に配置することで優しい印象の部屋になります。カナダや北米では、生活に密着した家具や床材などに使用されてきました。メープルのなかでも、「バードアイ」と呼ばれる独特な木目をもつものもあり、一般的な木材より高値で取り引きされます。品質により価格にはばらつきがありますが、6000~7000円が目安です。

チェストナット(クリ)

日本名でクリと呼ばれるブナ科のチェストナットは、はっきりとした木目が特徴的です。硬さや強さも兼ね備えており、フローリング材としても人気があります。木材のなかでもとくに湿度に強い性質をもっているため、キッチンや洗面所など水まわりに配置される家具にも使用されることが多い木材です。昔は家づくりの土台や枕木としても使用されていました。国産のチェストナットは比較的価格が高めに設定されていて、7000円前後が目安です。

タモ(アッシュ)

日本や中国、ロシアが主な原産国であるモクセイ科のタモは、オークに似た印象の木材ですが、はっきりとした美しい木目が現れています。また、ほかの木材と比較すると反発力が強く、力が加わるとたわむのが特徴的です。この特性を活かして、家具だけでなく野球のバットやボートのオールなど、さまざまな製品に使用されています。さらに、塗装との相性もよく、着色した際に木目がより美しく浮かび上がります。価格は6000~7000円が目安です。

ブラックチェリー

きめ細かく滑らかな質感が特徴のブラックチェリーは、家具や建材などに使用されることが多い北米原産の木材です。高級木材としても知られていて、価格は8000円前後が目安です。ブラックチェリーは、数ある木材のなかでも、とくに経年変化を楽しめるとして人気を集めています。新しいものは鮮やかな琥珀色をしていますが、数年が経過するころには濃く深いレッドブラウンへと姿を変えます。より重厚感や高級感が増すため、生涯使い続ける家具や建材には最適な木材です。

チーク

チーク材は、東南アジアの熱帯気候の地域が主な原産国で、古くから宮殿や寺院を建てる際に使用されてきました。強度があり害虫にも強く、天然の油分が含まれていて耐水性もあるため、船舶の甲板などにも使われています。経年変化によって木肌が美しいあめ色に変化するのも魅力のひとつです。ただ、伐採したばかりのものは水分が多く、家具や建材として使用する場合は乾燥に多くの時間がかかります。価格も高い傾向にあり、1万3000円前後が目安です。

バーチ・カバ

日本語でカバ(樺)とも呼ばれるバーチは、北米家具に使用されることが多い木材です。ほんのりとピンク色をしていることから、カバザクラと呼ばれることもあります。木目が薄く主張が強くないため、空間に統一感をもたせたい場合によく使用されます。また、比較的強度があり、メンテナンスや加工がしやすいのも特徴のひとつです。価格は、国産のものと海外産のもので多少違いはありますが、おおむね6000円前後が目安です。

パイン

欧州や北米が産地のパイン材は、マツの木から切り出された木材です。フローリング材として使用すると、所々に入った節がアクセントとなり、ナチュラルな風合いを演出できます。数ある木材のなかでもとくに柔らかく、加工しやすいのが特徴です。また、力が加わるとよくしなり、熱や衝撃を吸収する性質をもっているため、建材として広く普及しています。価格は色味の強さによって多少変化しますが、3000~5000円が目安です。

ヒノキ

ヒノキは水気や湿気に強く、日本では古くから浴槽や風呂桶などに使用されてきました。近年はヒノキの熱伝導率の低さに注目が集まっていて、火災にも強い優れた木材として人気です。ヒノキのもつ独特な香りや美しい木目は、人々をリラックスさせる効果が期待できます。価格は6000円前後が目安です。

スギ

スギは国産材のなかでも代表的な木材で、年輪がはっきりしているのが特徴です。スギの木は本州や四国、九州を中心に広く分布しています。価格は木材のなかでも比較的安価で、3000~4000円が目安です。

おしゃれなフローリングの張り方

ヘリンボーン張りは上品で芸術的で、ヴィンテージインテリアなどと相性抜群

フローリングは、寄木張りと呼ばれる木材のピースを組み合わせて模様を作る張り方が一般的です。そして、完成する模様に応じてさらに細かく分類されます。こちらでは、とくに人気のあるヘリンボーン張りと市松張りついて解説します。

ヘリンボーン張り

魚のニシン(英語でヘリン)の骨(ボーン)に似た形の木材を山型に張っていくのが、ヘリンボーン張りと呼ばれる張り方です。フランスのベルサイユ宮殿にも使用されていた手法で、空間を上品でおしゃれな雰囲気に演出できます。独特の模様は色との相性も楽しめ、特にヴィンテージやインダストリアルインテリアと合い、非常に人気が高いです。

市松張り

正方形に成形した木材を、90度ずつ方向を変えながら張っていくのが、市松張りと呼ばれる張り方です。日本では、明治・大正時代に建てられた洋館や小学校の床に用いられていました。レトロで高級感のある雰囲気を演出したいときに役立ちます。

無垢材の手入れ方法

天然木から作られる無垢材は、扱い方を間違えるとすぐに劣化してしまいます。こちらでは、無垢材のメンテナンス方法を紹介します。

掃除は掃除機か乾拭きで

無垢材は水に弱いため、日々のメンテナンスは掃除機と乾拭きが基本です。こまめに手入れを続けると、きれいな状態を長く保つことができます。また、ウレタン塗装をした無垢材の場合は、しっかりと絞った雑巾で拭くのが効果的です。一度水が染み込むと変色や膨張する可能性があるため、飲み物をこぼしたときはすぐに拭き取るようにしましょう。

がんこな汚れは中性洗剤を使う

日ごろの手入れは掃除機と乾拭きで十分ですが、半年から1年に1回程度は中性洗剤を使用してメンテナンスを行うのがおすすめです。汚れのひどい部分には中性洗剤をふりかけ、しっかりと絞った雑巾で拭き取りましょう。その後、乾拭きしたら完了です。酸性やアルカリ性の洗剤を使用すると、無垢材が変色する可能性があるため注意しましょう。また、専用のクリーナーを使用するのも効果的です。

再塗装する

塗装が傷んできた、撥水性が落ちたと感じたら、最初に選んだ塗料を再塗装するのがおすすめです。塗装前には、掃除機や雑巾などでほこりを取り除くようにしましょう。年に1回程度再塗装するのが理想です。3年ほど続けると、木とオイルが馴染んできてより深い風合いの木材に仕上がります。

再塗装は難しいイメージがありますが、プロに依頼しないでも自分で簡単にできます。こだわって選んだ無垢材であれば、一度自分でチャレンジしてみましょう。

公開日 2020年10月31日
更新日 2023年3月22日

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