空き家リノベーションの費用相場は?国や自治体からの補助金、事例を解説

空き家リノベーションの費用相場は?国や自治体からの補助金、事例を解説

誰も住まなくなった空き家をリノベーションしたいと希望する方が増えています。思い出のある空き家を改築することで当時の雰囲気を楽しむ方もいますし、民泊や賃貸物件として貸し出すために空き家をリノベーションする方も。空き家は長期間放置されてしまうと床や屋根が傷み、大規模リフォームが必要になるケースも少なくありません。そこで気になるリフォーム、リノベーションの費用相場、申請できる補助金や具体例を紹介します。

空き家をリノベーションして活用するメリットとデメリット

空き家リフォームのメリットとは?

空き家リフォームのメリットには以下のようなものがあります。

・資産価値があがる
・売却時に高い価格で販売できる/賃貸に出すときは高い家賃が期待できる
・倒壊防止や犯罪抑止になる

空き家はそのまま放置すると室内に湿気がこもり、カビや生えたり柱や床材、天井が傷んでしまいます。放置することで白アリ被害や害虫・害獣被害に遭うリスクが高まり、結果的に建物の資産価値はどんどん下がることに。

「もう古い家に住まないから倒壊してもいい」という家主がいるかもしれませんが、倒壊すると周囲の家に大変な迷惑をかけてしまいますし、空き家を放置することで犯罪の温床になる可能性も。空き家をきちんとリフォーム、またはリノベーションすれば、空き家が老朽化により倒壊し、周囲に迷惑をかけるリスクは軽減されますし、空き家が盗難の被害に遭う、見知らぬ人が勝手に住み犯罪の温床になるなどのトラブル防止になります。

また、一度骨組みレベルまで解体して改修すると「住宅を建て替えた」ことと同じになり、固定資産税を算定するための査定を受けなければなりません。固定資産税がかかるのは金銭的な負担になりますが、裏を返せば「建物の資産的価値が高まる」ことに。空き家をリノベーションすることで、売却しやすくなったり、賃貸物件なら高い家賃がもらえる可能性もアップします。

空き家リフォームのデメリットとは?

では空き家をリフォームすることで生じる、デメリットはあるのでしょうか?

・空き家をフルリノベーションするとかなりの費用がかかる

デメリットはこの1点に尽きます。古い空き家は耐震性が低いケースがかなり多く、リフォームだけではなく耐震補強工事も同時おこなわなければなりません。

大掛かりなリノベーションともなると総工事費が約1000万~1500万円前後かかることもあり、それなりの出費を覚悟する必要があります。地方自治体によっては補助金制度を設置していますし、国も補助金制度をもうけています。各種補助金を活用して少しでも経済的負担を減らしていきましょう。

空き家リノベーションの費用相場は?

空き家のリフォームやリノベーションには一体どれくらいの費用がかかるのでしょうか?具体的な目安のために水回りの設備別、さらに家の部位ごとに必要とされる費用相場・工事日数をまとめています。

設備別のリノベーション費用

トイレ

どのようなグレードの設備を採用するかで違いますが、約30万~40万円前後が相場です。

最近は超節水型トイレや自動掃除機能付きトイレなど、さまざまな機能がついた商品が登場しており、取り換えることで快適さや経済性をしっかり実感できます。ただし、汲み取り式トイレを水洗トイレに取り換える場合は、浄化槽埋め込み工事、または下水道への接続が必要です。

浄化槽埋め込みには約40万~100万円前後の工事費が、下水道接続には約10万~30万円z前後の工事費が別途かかります。トイレのみのリフォームであれば工事期間は1~2日程度ですが、下水道接続や浄化槽埋め込み工事になると1週間前後の日数が必要です。

浴室

お風呂リフォーム
ユニットバスか、在来浴室かで費用が異なる

「ユニットバス全体取り換え」や「在来浴室からユニットバス」「在来浴室から在来浴室」へのリフォームがあります。

ユニットバス全体を取り換えるための費用は約50万~150万円前後で、工期は3~5日。在来浴室からユニットバスへの取り換え費用は約60万~150万円前後、工期は1週間程度。ユニットバスを使っていない従来浴室から従来浴室にリフォームする場合、費用は約50万~200万円前後、工期は約2週間から1か月になります。

キッチン

費用は設備のグレードによるところが多く、約50万~250万円前後と費用にかなりの幅があります。

工期は3~7日が多く、1日だけではリフォームが完了することはありません。高額なキッチン設備(アイランドキッチンなど)を設置したり、専用収納カウンター設置やL形キッチンを対面式にするなど大掛かりになればなるほど、費用が高額になってしまいます。

洗面所

洗面所もキッチンと同じく、設備のグレードにより費用に差がついてしまいます。一面鏡つきの開き戸タイプの洗面台であれば、本体と設置工事などで約10万~15万円前後、三面鏡で引き出しタイプの洗面台であれば本体に工事費を加えて、約18万~20万円前後が目安です。

洗面台の幅は約750mmが標準的ですが、それよりも大型の洗面台を設置すると作業員が増えてしまうため、施工費がアップしてしまいますので注意してください。工期は約1~4日前後ですが、水が使えない時間は約1~2時間なのでそれほど不便には感じません。

家の部位ごとにみるリノベーション費用

天井

天井
天井リフォームには「クロス貼り換え」「板張り」「塗装」などがある

天井リフォームには「天井のクロス貼り換え」「板張りリフォーム」「塗装リフォーム」などがありますが、クロス貼り換えと塗装リフォームの場合、約13畳分のクロス貼り換えで約3万~5万円前後、天井の板を張り替えると約5万~10万円前後の予算が必要です。

天井を抜いて吹き抜けにすると工事費は約15万~40万円前後かかりますが、吹き抜けにすると断熱性が大幅に低下してしまうので、断熱工事を別途施工してもらう方が快適に過ごせます。

断熱工事は約20万~50万円前後になりますが、施工する家の規模や施工面積などにより変動します。天井の貼り換えは、広さにもよりますが約1~2日と短時間で終了するのが一般的です。

壁(内装)

壁のリフォームは壁の素材により費用が変動します。約6畳分のリフォームなら壁紙で約8万~12万円前後、珪藻土で約8万~12万円前後、部屋をわけるために間仕切り壁を設置する場合は約8万~15万円前後、壁撤去は約3万~5万円前後、壁にあいた穴の補修は約3万~5万円前後が目安です。壁(内装)リフォームの工期は、施工する部屋の広さにもよりますが、約1~2日あれば十分です。

フローリング貼り換えの場合、4畳で約6万~15万円、クッションフロアであれば4畳で約4万~8万円前後が相場。床リフォームにかかる工期は広さと作業内容によりますが、約2~4日前後かかります。

外壁

外壁にヒビが入ったりシーリング部分が劣化すると、そこから雨水が染みこみ家が劣化するため定期的な補修が必要です。外壁のシーリングやひび割れ補修は約30万~50万円前後、さらに外壁の塗装工事は約50万~150万円前後(塗装面積による)、さらにリノベーションで必要な外壁の新装工事は約150万~300万円前後が目安となります。

外壁リフォームは補修であれば1週間程度ですが、塗装の塗り替えや新装となると10~14日前後はかかります。外壁の塗装を下地から3回塗る塗装会社もいますので、乾くまでそれなりの時間をおかなければなりません。

屋根・雨漏りリフォーム

屋根
アスベスト対策が必要な場合、別途作業費がかかるので注意

新しい屋根材で屋根をリフォームする場合、約6畳の広さでだいたいセメント瓦は約5万~10万円前後、日本瓦は約8万~15万円前後、スレートは約5万~7万円前後、ガルバリウム鋼板は約7万~8万円前後が相場です。古いスレート屋根を撤去するときはアスベスト対策が必要となり、別途作業費がかかるので注意しましょう。

雨漏り補修は応急処置程度で良い場合は数万円ですみますが、雨漏り個所が広く本格的な補修が必要なケースになると約5万~20万円前後の費用がかかります。屋根のリフォームにかかる日数は1週間前後が目安です。

耐震リフォーム

耐震リフォームは空き家を柱や梁だけの骨格状態にしたうえで、柱や梁に補強のための耐震金具を入れる、筋交いを入れる工事になります。耐震リフォームでも足場を組んで作業するケースでは、費用が約80万~120万円前後かかることも。耐震リフォームの内容によりますが、約50万~200万円前後が相場になります。

工期は部分的な補強であれば1週間程度で終わりますが、リノベーションになると2~3週間みておきましょう。

断熱リフォーム

断熱は床下や壁、天井に施工され、1年を通して快適に住むためには必要な工事です。

床下の断熱工事は約20万~30万円前後ですが、床材を取り換えるとさらに費用がかかります。壁の断熱工事は約80万~300万円前後が相場といわれていますが、施工面積や家の内側から施工するのか、それとも外側から施工するかにより費用が大きく変わるので注意してください。天井の断熱工事は約15万~50万円前後になり、家全体をスッポリ断熱してもらおうと思うとかなり費用がかかります。

工期は床の断熱で約1~2日、天井は約2~4日、壁の断熱工事は約2~30日と施工方法や施工面積により大きく変動します。

空き家リノベーション、リフォームに使える補助金制度は?

国がおこなう補助金制度

国がおこなう補助金制度には「省エネリフォーム」「耐震改修」「バリアフリーリフォーム」などがあります。省エネリフォームに関しては以下のような補助制度が設置されています。

高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業(断熱リノベ)

一般社団法人 環境共創イニシアチブが取りまとめている支援事業で、断熱性を高める断熱材やペアガラス・高断熱サッシへの入れ替えにより、15%以上の省エネ効果があると認められた場合に補助金が支給されます。補助率は対象経費(建材の購入費用と工事費の合計)の1/3で、上限額が決まっているので注意してください。

次世代省エネ建材支援事業(次世代建材)

こちらの事業も断熱リフォームに対して補助金が支給される事業ですが「断熱材を組み込んだパネル・潜熱蓄熱建材を使うリフォーム」のみが対象になります。

ただ断熱材だけではなく、同時に玄関扉やペアガラス(高性能窓)も一緒に取り換えると補助の対象になり、補助対象経費が合計40万円以上になることが条件です。補助率は補助対象経費の1/2ですが、こちらも補助額に上限があり、戸建200万円・集合住宅125万円となっています。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

既存住宅の性能向上や長寿命を目的にリフォームされた住宅に対して補助金を支給する事業で、リフォームやリノベーションの前に専門家による「住宅診断」を受け、リフォーム後に定められた基準を満たさなければなりません。

断熱や耐震工事はもちろん、省エネルギー性、維持管理、三世代同居対応、子育て世帯向け改修の基準を一つ以上満たす必要があります。補助金額はどのようなリフォームやリノベーションを施したかで変動しますが、評価基準型で最大100万円など上限額が決まっていますので注意が必要です。

バリアフリーリフォームは、介護保険制度から補助金がおります。要支援や要介護状態になった方が住む自宅をリフォームした場合、リフォーム費用の9割の額が補助される仕組みです。リフォーム内容は手すり設置、段差解消、和式トイレを洋式に変更などリフォーム内容に決まりがあるため注意してください。

地方自治体による補助金制度

国がおこなう補助金制度のほかに、各地方自治体で独自に実施しているリフォーム支援もあります。たとえば移住先として全国的に人気の高い大分県・豊後高田市の場合、空き家改修工事の補助金として改修工事の二分の一、上限30万円の支援を実施中。

不要物撤去にも上限10万円で補助金が支給され、改修工事と不要物撤去で最大35万円補助金がもらえる仕組みです。ほかにも多くの地方自治体で補助金制度を設定していますので、お住まいの市役所や区役所にお問合せください。

税金も節税できる

耐震工事や断熱工事、バリアフリー工事をおこなうと、リフォーム減税の対象になります。リフォーム減税は一定要件を満たした省エネリフォーム、耐震リフォーム、バリアフリーリフォームに対して適用され、税金の節税になるほか、ローンを組んで費用を支払っている方はローン減税の対象になりお得です。

リフォーム費用1000万円未満で、2020年4月7日~2020年8月31日の間に工事契約を行えば「次世代住宅ポイント」の対象になり、付与されたポイントと商品を交換可能。ただし、スケルトン(骨組み)状態まで解体してリノベーションした場合、建物を建て直したと解釈され、市役所や区役所担当者から固定資産税の再評価を受けなければなりません。フルリノベーションで建物価値が上がると建物の固定資産税もアップするため、工事費用だけではなく毎年支払う固定資産税についても考えてく必要があります。

費用イメージ
補助金制度、減税制度をうまく利用しよう

空き家リノベーションの事例を紹介

150万円でキッチンをリノベーションした事例

古くなったキッチンを、キッチンの位置を変えずにそのまま入れかえてリフォームすると、一般的には予算150万円で十分可能です。キッチンのグレードにより工事費が変わってきますが、最近のキッチンは長期間換気扇ファンの掃除不要、浅型排水溝で生ごみを捨てやすくなっているなど、最新キッチンは高性能。

キッチンだけではなく床材や壁材も一緒にリフォームしてもらえるので、生まれ変わったような美しいキッチンに変貌。工期は約1週間程度になります。

150万円で屋根・外壁塗装をおこなった事例

家は経年劣化で外壁や屋根が傷み、そこから雨水などが入りこむことで、断熱材の性能が低下、柱や天井部分にカビが生えるなど好ましくない事態へと発展してしまいます。

屋根と外壁の塗装工事(補修工事も兼ねる)をすれば雨漏りの心配も減り、安心して暮らせます。2階建て(約40坪)の屋根、外壁塗装の相場は約100万~140万円で、家が小さくなればなるほど費用は安くなります。ただし2階建ての場合は足場を組む必要があり、大幅なディスカウントは望めません。

外壁や屋根の塗装には塗料が必要ですが、フッ素配合塗料は家屋を長持ちさせてくれますし、省エネ効果が期待できる遮熱塗料や断熱塗料を施工すれば、お住まいの自治体によっては補助金が支給される可能性もあります。

200万円で断熱リフォームした事例

家全体を包む断熱リフォームは200万円以上の工事費がかかるためむずかしいのですが、ヒートショックが心配な部屋だけ(キッチンや廊下、トイレ、浴室、脱衣所)部分的にリフォームするのであれば一般的には200万円以内で収まります。

天井裏や浴室から断熱材を入れる方法や、壁やキッチンを取り外して工事をおこなうため、工期が2週間以上と長くなってしまいますが「家が寒い」と感じる方、高齢の方におすすめのリフォームです。工事費用は15坪で約200万円前後となりますが、もし家全体をすっぽり包み込む内断熱リフォームや外断熱リフォームを希望されるのであれば、工事費は約300万~500万円前後かかります。

300万円で水回りリノベーションをした事例

300万円の予算があれば、一般的には脱衣室と洗面室を一気にリノベーションできますし、トイレも一新できます。浴室をユニットバスにすることで暖房換気乾燥機や床暖房機能を持つ製品を取り付けることも可能で、ヒートショックのリスクもダウン。製品によっては酸素を含むミクロバブルが発生するもの、浴槽をライトアップさせる機能付き、テレビ機能付属などさまざま。

洗面所と脱衣所も一緒にリノベーションできるため、壁紙で浴室と洗面所のカラーを統一したり、個性的なクロスや床材で非日常的な感覚を楽しむこともできます。脱衣所の上部に脱衣室暖房乾燥機を設置すれば、寒い冬も寒暖差によるヒートショックが緩和されます。

予算300万円ならトイレも一緒にリフォームできますので、最新型の超節水型トイレや自動お掃除機能のついた製品を取り付ければお財布にも優しく、お掃除もグッと楽に。水回りリノベーションをすることで気分も一新され、水道代の節約やお掃除回数の低減などでお得になります。水回りリフォームは浴室や脱衣所が使えなくなる期間が3~7日程度発生しますが、取り換え後の激変ぶりに「変えて良かった」とおっしゃる方は少なくありません。

500万円で吹き抜けロフトにリノベ、水回りリフォームした事例

リビングの天井を取り外し、勾配天井をつくりリビングが広々見える開放的な空間に大変身。さらに北側の屋根にトップライト(天窓)とロフトをつけ、断熱工事や内装(クロス)の張り替え、床材の張り替え、キッチンとトイレのリフォームもお願いして合計およそ500万円。キッチンはとくにどのくらいのグレードの設備を入れるかで予算内におさまるかどうかが決まってきます。

既存天井を解体して開放感を出すなど、大掛かりな工事になると工期は約2週間~1か月前後かかるため、事前にどのような工程で作業してもらうのか、その間家族はどのように過ごすのかなど、十分検討しておきましょう。築50年以上経過した古民家の場合は耐震性が現在の基準にあっていないため、耐震工事をおこなう必要があります。

500万円の予算があれば耐震工事ができると思えますが、家全体が古く柱や梁、基礎などの骨組みまで解体してフルリノベーションする場合は500万円の予算では足りないといわれています。500万円の予算なら、内装や水回りのリフォーム、断熱リフォーム、屋根や外壁の塗装(補修)などの工事ができますが、フルリノベーションにはさらに多くの費用がかかってしまいます。

優先順位をつけるのがポイント

空き家リノベーションをおこなうと資産価値が高まり、賃貸物件として貸し出す、売却するなどする際に有利ですし、実際に住むとなっても気持ちよく快適に過ごせるのが大きな魅力です。ただ費用がかかるのがネックなので、予算に限りがある場合は優先させたいリフォーム個所とそうでない箇所とを分け、優先順位をつけて施工してもらうのが無難です。

公開日 2020年6月22日
更新日 2020年10月22日

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