外壁リフォームを行うタイミングや外壁材の種類・特徴、注意点を解説

外壁リフォームを行うタイミングや外壁材の種類・特徴、注意点を解説

雨や紫外線などから家を守ってくれる外壁。新築や建て替えのときはきれいだった外壁も、時間とともに劣化していきます。10年近くたつと「いつ外壁リフォームするべき?」と気になってくるもの。汚れや劣化が目立つと、外観イメージが損なわれてしまいます。なにより家の構造そのものへの影響が気になります。こちらでは、外壁リフォームをするタイミングの見極め方や、おもな外壁材の特徴、リフォームを始める前に知っておきたい注意点を紹介します。

外壁リフォームの行うタイミングは?

戸建ての場合、一般的な外壁リフォームの目安は、新築時もしくは前回リフォームした10年後。外壁リフォームには、以下のような種類があります。

  • 塗装
  • 張り替え(既存の外壁材を撤去して新しいものに替える)
  • 重ね張り(既存の外壁に新しい外壁材を重ねる)
  • ひび割れなどに対する部分的な補修

どんな外壁材でも表面は塗料の塗膜で守られており、これが劣化すると再塗装が必要になります。10年前後で塗装し、それを2~3回繰り返してから外壁を張り替えるのが一般的な流れ。実際には「前回から何年たったか」だけではなく、外壁の劣化具合をみながらリフォーム内容を決めましょう。リフォームのタイミングを見極めるポイントを紹介します。

素材ごとの耐用年数で検討する

住宅の外壁はどんな種類でも経年劣化して、耐久性や防水性が低下していくもの。そのため、素材ごとに寿命ともいうべき耐用年数が定められています。基本的に外壁素材の耐用年数が経過したら、見た目に問題なくても専門業者に状況を調査してもらうことをおすすめします。

外壁にひび割れや汚れが目立つ

外壁にひび割れ(クラック)や汚れが目立つなら、リフォームを検討しましょう1mmを超えるクラックが見つかったらすぐにでも補修が必要です。内部に水分が浸透して雨漏りの発生や虫の侵入の恐れがあります。なお、0.3mm以下のひび割れ(ヘアークラック)なら、致命的な亀裂ではありません。しばらく様子を見ましょう。ひび割れが複数個所ある、もしくは高い場所にある場合は、足場を組んでの大がかりな補修工事になります。

塗装が膨張したり、剥がれ落ちる場合

塗装が膨張したり、剥がれ落ちる場合

外壁の塗装が膨れていたり、剥がれている状態を塗膜剥離といいます。これは外装塗料の劣化が原因です。塗料は下地(外壁材)と密着しているからこそ、その役割を果たすもの。塗膜剥離を放置しておくと、外壁内部へ雨水が浸入し、ひび割れなどを引き起こします。

また、外壁を触ったとき、壁と同じ色の粉が手についてしまう「チョーキング」と呼ばれる現象にも要注意。紫外線などの影響で塗装が劣化して粉状になっているのです。放っておくと塗膜剥離やクラックの原因になります。

コーキングの破損

外壁材同士の隙間をうめるゴム状の素材が、コーキング(シーリング)です。紫外線の影響などでコーキングに亀裂が入ると、外壁内部まで雨水が侵入するほか、ひび割れが発生することもあります。

サイディング外壁はボードの反り返りに注意

代表的な外壁材であるサイディングの場合、一部の板が反り返っていたら至急補修が必要。反り返りはサイディング表面の防水機能低下が原因です。反り返りがひどくなると雨漏りや虫の侵入を許すほか、壁の張り替えという、大規模修繕工事に発展する恐れがあります。

外壁材の種類|特徴や耐用年数、張り替え時期

外壁材の種類は大きく分けてサイディング、モルタル、タイル、ALCの4種類あります。外壁の一番の目的は、見た目よりも防水性。このほか、耐火性、断熱性、遮音性、耐震性、意匠性(美観)などの機能があります。

機能、デザイン、メンテナンス性など、すべてのニーズを満たす外壁材は、残念ながらありません。外壁材によってメリット・デメリットはもちろん、価格や耐用年数が異なるので、住まいに何を重視するかがポイントになります。外壁材ごとの特徴や、張り替えの目安となる耐用年数を紹介します。

サイディング素材

サイディング素材

外壁素材のなかで大きなシェアを占めるのが、サイディング(siding)。直訳すると「壁板」もしくは「羽目板」です。セメントや金属などを原料にして工場で成型した板(サイディング材)を壁に合わせてカットし、外壁に張りつけます。板と板の継ぎ目はコーキング(シーリング)材で固定するのが一般的です。

サイディングは耐火性や耐水性に優れるだけでなく軽量で、耐用年数が20~40年と長いのも魅力的。工業製品のため、均一な品質や仕上がりが期待でき、工期も短いというコスパ最強の外壁材です。以下では、4種類あるサイディング材の特徴を説明します。

窯業系サイディング

日本の住宅で約70%もの普及率を占めるが窯業系(ようぎょうけい)サイディング。セメントに繊維を配合して窯(かま)の中で高熱処理されるため、窯業系と呼ばれています。デザインや色のバリエーションが豊富で、石積み調・タイル調・木目調・レンガ調など、さまざまな質感を表現できるのが魅力。サイディング材の中でも価格が安いこともあり、人気があります。

熱を吸収しやすい点がデメリットですが、防火性に優れています。サイディングの継ぎ目に使用するコーキング材の劣化には要注意。サイディングの塗膜が痛んでいなくても、コーキングが劣化してきたら、メンテナンスが必要です。

耐用年数:20~40年
メンテナンス周期:7~15年

金属系サイディング

窯業系に次いで普及率の高い金属サイディング。原料はスチール・アルミニウム・ステンレス・ガルバリウムなど。断熱材を使った裏打ち材と組み合わせて加工されているため、断熱性や防音性に優れています。窯業系の約4分の1の軽さで、既存の外壁に重ね張りするリフォーム材としても人気です。価格は窯業系よりやや高めですが、窯業系と比べると施工後のメンテナンスに手間がかかりません。ただ、コーキングの劣化には注意しましょう。

耐用年数:20~40年
メンテナンス周期:10~15年

木質系サイディング

木質系サイディングは、天然木に塗装が施されている外壁材。天然ならではの木の温もりや美しい質感があり、デザイン性や断熱性に優れています。こだわりある外観に仕上がるのが最大の魅力。

天然木の性質上、防火性や防水性が低いのですが、木材に不燃処理を施した製品も増えています。天然木は水分を含んだ状態で長時間経過すると、腐食や変色につながるため定期的な再塗装、塗膜の劣化が起こる前のメンテナンスが重要です。そのため、他の外壁材に比べメンテナンス周期は非常に短くなります。取扱い業者が少ないというデメリットも。

耐用年数:15~40年
メンテナンス周期:3~10年

樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは、北米で考案された耐久性重視の樹脂製外壁材。日本では北海道や東北地方などの寒冷地域を中心に、徐々に広まっています。塩害や冷害だけでなく色褪せや変色にも強いのがメリット。コーキングも不要なので補修の手間がかかりません。窯業系サイディングの約10分の1の重さしかないため、重ね張りにも適しています。ただ、普及率が非常に低いため、対応可能な業者が少ないのがデメリット。

耐用年数:20~50年
メンテナンス周期:10~30年

モルタル素材

モルタル素材

モルタルとは、砂・セメント・水を混ぜ合わせた外壁材。コテなどを使って左官職人が手作業で塗りつけていきます。強い防火性が特徴で、ひと昔前は外壁材の主流でした。曲面など、どんな形状の外壁にも対応できる自由度があります。なにより工業製品にはない独特の質感や風合いがあり、さまざまな表情を演出できるのが強み。

モルタル自体は他の外壁材より安価ですが、職人の手作業による施工になるため、コストや工期が多めにかかります。職人の技量に仕上がりが大きく左右されるので、業者の選定は慎重に。モルタル壁は、安価な材料を使わず適切な施工や塗装をした場合、30年以上の耐用年数があるとされています。継ぎ目がないのでコーキング補修の必要はありませんが、ひび割れが起こりやすいのがデメリット。チョーキングや剥がれなども劣化のサインです。

耐用年数:30年
メンテナンス周期:5~10年

タイル素材

タイル素材

粘土や石材を細かく砕き、焼き固めてつくる外壁材。耐久性・対候性に優れているのが最大のメリット。紫外線による変色などの経年劣化がほとんどありません。デザインも豊富で見た目の高級感もあります。サイディングなどに比べて価格は高めですが、塗り直しは基本的に不要。ただ下地のコーキング材や継ぎ目部分の劣化が原因でタイルの剥離が起こることもあるので、定期的な点検は必要です。

耐用年数:30~40年
メンテナンス周期:10~15年

ALC

ALC

ALCとは、軽量気泡コンクリートパネルのこと。水に浮くほど軽いので建物にストレスを与えません。内部に無数の気泡があるため、断熱性・耐衝撃性に優れています。防水性はほとんどないため、防水性、耐久性の高い塗料を仕上げに使うのがマスト。パネルの継ぎ目に使うコーキングが劣化すると雨漏りの原因になるので、塗膜と合わせて定期的なチェックが必要です。

耐用年数:50~60年
メンテナンス周期:10~15年

外壁リフォームをする前に知っておきたいポイント

外壁リフォームには時間もコストもかかります。滞りなく進めるために、事前にチェックしておきたいポイントをまとめました。

張り替えリフォームは確認申請が必要なことも

確認申請とは、予定している工事が建築基準法や消防法、自治体の条例に合うかを公的な機関に審査してもらうこと。新築時にはすべての建物が確認申請を行う必要があります。平屋や木造2階建てなどの4号建築物の場合、外壁リフォームをする際の確認申請は必要ありません。外壁以外の大規模の修繕・リフォームの場合でも同様です。

鉄骨2階建てや木造3階建てといった4号建築物以外の住宅なら、「大規模の修繕・模様替え(リフォーム)」をする際に、確認申請が必要です。外壁リフォームの場合、半分以上を張り替えるケースは、原則として申請対象となります。ただし、塗装を塗り替えるだけなら申請不要なケースも。申請が必要かは個人で判断せず、業者や自治体の担当窓口に確認を取りましょう。

外壁の塗装は最適な時期に行うこと

外壁塗装に適した季節は、春(3~5月)と秋(9~11月)。これは塗装の条件が「気温5℃以上、湿度85%以下」となっているからです。湿度が高い雨の日や冬の寒い日などは、塗装工事はできません。無理に行うと、塗料に雨水が混ざって仕上がりが悪くなってしまいます。また、乾きが不十分なのに重ね塗りをすると塗膜剥離の原因となることも。

3~5月や9~11月の時期なら、空気が乾燥しているため塗料の乾きが早く工期も短く済みます。とはいっても、この時期ならすべて晴天とは限りません。繁忙期でもあるので、費用が高いほか希望の日程がとりにくいデメリットもあります。そのため、コスト面を重視して、費用が安くなる繁忙期以外にあえて施工するのも選択肢のひとつ。

積雪量が少ない地域なら、乾燥している冬に施工する方法も。実績のある業者を選択すれば、どの季節でも質の高い仕事が期待できます。いずれにしても地域の特徴やコストを考慮しつつ、計画的にリフォームを進めることが必要です。

自治体によってはリフォーム補助金制度を利用できる

自治体によってはリフォーム補助金制度を利用できる

自治体によっては、外壁リフォームで補助金(助成金)制度を利用できる場合があります。制度内容は自治体によって異なりますが、金額の目安は10~20万円程度。条件は、自治体内にある業者を利用する、断熱素材を利用するなどさまざま。予算が決まっているので満額に達すると受付が締め切られてしまいますので、外壁リフォームの検討を始めたら、まず住んでいる自治体のホームページで確認してみましょう。

外壁リフォーム補助金の概要
例1:東京都品川区「住宅改善工事助成事業(エコ&バリアフリー住宅改修)」
自宅の屋根、外壁について10万円以上(税抜き)の遮熱性塗装に10%(上限20万円)を補助する。

例2:大阪府摂津市「多世代同居・近居支援事業住宅リフォーム補助金」
多世代同居・近居支援として、外壁の修繕、塗装等の外装工事に上限25万円(住宅リフォームに要した経費の2分の1まで)を補助する。

屋根リフォームをあわせて検討すると費用をおさえることも可能

屋根と外壁、どちらのリフォームにも「足場」が必要です。足場の組立自体にも時間とコストがかかるので、同時にリフォーム工事を行えば非常に合理的。別々に行うより時間も費用も抑えられます。あわせて雨桶(あまどい)の取り換えも行うと、さらに効率的。屋根・外壁・雨樋の三カ所を同時リフォームしたら、外観イメージも大きく変わります。

 

公開日 2020年12月6日
更新日 2023年2月14日

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