住宅ローン返済中に契約者が死亡した場合、返済免除になる?ケース別の手続きや相続方法を解説

住宅ローン返済中に契約者が死亡した場合、返済免除になる?ケース別の手続きや相続方法を解説

住宅ローンを借り入れてマイホームを購入したものの、契約者が不慮の事故や病気で死亡してしまうケースは珍しくありません。この場合、団体信用生命保険に加入していれば、住宅ローンの残債が返済免除となる可能性があります。今回は、住宅ローンの返済中に契約者が死亡した場合に残債が返済免除となる条件や、諸手続きの方法などを紹介します。

団体信用生命保険(団信)に加入していることが条件

団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中に契約者が死亡または高度障害状態となった場合、ローン残高が保険金で支払われる生命保険の一種です。つまり、団体信用生命保険に加入していることが、万が一の際にローン残高が返済免除となるための条件です。

住宅ローンは30年や40年といった長期契約となるため、契約者が病気や事故で死亡するリスクが考えられます。そこで、住宅ローンを組む際、多くの金融機関で団体信用生命保険への加入が必須とされています。

死亡保険金を受け取れるのはいつごろか

死亡保険金を受け取るまでには1~2カ月のタイムラグがあるので注意
死亡保険金を受け取るまでには1~2カ月のタイムラグがあるので注意

契約者が死亡し、死亡保険金を受け取るまでには、ある程度のタイムラグがあります。死亡証明書や死亡診断書を提出し、それらの書類をもとに生命保険会社が支払い可否の審査を行うためです。

支払われるまでの期間は保険会社によって異なりますが、1~2カ月かかります。その間に支払った分は後日返還手続きを行えますが、一時的であっても住宅ローンの返済が発生する可能性があるため注意しましょう。

返済免除にならないケースとは?

住宅ローンの契約者が死亡した場合でも、返済免除とならないケースもあります。こちらでは、2つの事例を紹介します。

団体信用生命保険(団信)に加入していない場合

前述の通り、団体信用生命保険に加入していない場合は返済免除となりません。住宅ローンを契約する際は、基本的に団体信用生命保険への加入が必須となっていますが、「フラット35」のように一部任意加入のケースがあります。団体信用生命保険に加入していないと、契約者が死亡しても保険金は支払われないため、ローンの残債も返済し続けることになります。

団体信用生命保険以外の生命保険に加入している場合は、受け取った保険金をローンの返済にあてることもできます。ただ、団体信用生命保険以外の生命保険にも加入していないと、残された家族が住宅ローンを支払う必要があります。住宅ローンは長期契約となる分、一定のリスクは避けられません。万が一のときに住宅ローンの返済が遺族の負担とならないよう、資金計画は入念に立てておくのが大切です。

住宅ローンの返済で延滞があり、契約が失効している場合

住宅ローンの契約時、団体信用生命保険に加入していても、住宅ローンの返済を延滞していると返済が免除されない可能性があります。住宅ローンの返済が滞ると、団体信用生命保険が失効となるケースがあるためです。各金融機関は、住宅ローンの利息で団体信用生命保険の保険料を支払っていることも多く、住宅ローンが返済されないと保険料も支払われません。その結果、団体信用生命保険の契約が失効してしまいます。住宅ローンの返済を延滞しないような資金繰りを行いましょう。

夫婦で住宅ローンを組んでいる場合の免除されるケースとされないケース

マイホームを購入する際、配偶者と一緒に住宅ローンを組むケースもあるでしょう。具体的には以下の3つの方法があります。

・連帯債務
・連帯保証
・ペアローン

どの方法を活用して住宅ローンを組むかで、「団体信用生命保険に加入できる方」や「どちらかが死亡した場合に返済が免除されるか」が変わってきます。こちらでは、ご夫婦で住宅ローンを組んだ場合に返済が免除されるケースとされないケースをご紹介します。

収入合算の場合、団信に加入できるのは夫婦どちらか一方

3つの方法のうち、連帯債務と連帯保証については、夫婦2人の収入を合算した金額を基準として住宅ローンを借り入れます(収入合算)。申告する収入額が増えるため、借入額も多くなる点が最大のメリットです。また、複数の住宅ローンを契約する必要がなくなり、事務手数料や諸費用も抑えられるため、検討する方が増えています。

収入合算を行った場合、団体信用生命保険に加入できるのは夫婦のどちらか一方です。たとえば、夫を主たる債務者として住宅ローンを組むと、妻は連帯債務者や連帯保証人という立場になり、基本的に団体信用生命保険には加入できません。ただし、連帯債務においてフラット35を活用して住宅ローンを組むと、夫婦ともに団体信用生命保険に加入できます。

連帯責務のケース

連帯債務で夫を主たる債務者、妻を連帯債務者としたケースについて、団体信用生命保険に夫のみ加入した場合(A)とフラット35を活用して夫婦ともに加入した場合(B)に分けて考えます。

A・Bどちらの場合も、夫は団体信用生命保険に加入しているため、夫が死亡したら住宅ローンの残債は返済が免除されます。ただし、妻が死亡した場合、妻が団体信用生命保険に加入していないAのパターンでは返済が免除されません。

連帯債務
契約上の立場夫:主たる債務者
妻:連帯債務者
団体信用生命保険A:基本的には主たる債務者である夫のみ加入できる。
B:フラット35であれば、夫婦ともに加入できる。
夫が死亡した場合A、Bともに返済が免除される。
妻が死亡した場合A:返済は免除されない。
B:返済が免除される。

連帯保証のケース

連帯保証で主債務者を夫、連帯保証人を妻とした場合、団体信用生命保険に加入できるのは主債務者である夫のみです。そのため、夫が死亡した場合は住宅ローンの残債の返済が免除されますが、妻が死亡した場合は免除されません。

連帯保証
契約上の立場夫:主債務者
妻:連帯保証人
団体信用生命保険主債務者である夫のみ加入できる。
夫が死亡した場合返済は免除される。
妻が死亡した場合返済は免除されない。

ペアローンの場合、夫婦両方団信に加入可能

マイホームを購入するためにより多額の住宅ローンを組む場合、ペアローンという方法もあります。ペアローンとは、夫と妻がそれぞれ住宅ローンの契約者となる方法です。たとえば、4000万円の住宅ローンを組む際、夫が2000万円を借り入れ、妻が残りの2000万円を借り入れるといった形で活用されます。

ペアローンでは、夫婦ともに住宅ローンの債務者となるため、団体信用生命保険も双方加入できます。ただし、債務が独立しているため、夫が死亡した場合は夫名義の住宅ローンのみ返済が免除され、妻名義の住宅ローンは免除されません。妻が死亡した場合も同様です。

ペアローン
契約上の立場夫:債務者
妻:債務者
団体信用生命保険夫婦ともに加入できる。
夫が死亡した場合夫名義の住宅ローンのみ返済が免除される。
妻が死亡した場合妻名義の住宅ローンのみ返済が免除される。

ペアローンは、それぞれが住宅ローンの契約者となるため、ひとりの場合と比較して多額のローンを組める、夫婦ともに住宅ローン控除を受けられるなどのメリットがあります。ただし、契約に必要な印紙代や事務手数料も2人分となるため注意しましょう。

親子リレーローンの返済免除されるケースとされないケース

一般的に、住宅ローンは80歳までに完済するという条件が設けられています。そのため、高齢者は長期の住宅ローンを組むことができません。親が高齢で長期の住宅ローンが組みにくい、収入が少なく単独で住宅ローンを組むのが難しい、2世帯住宅を建てるといったケースで活用されているのが「親子リレーローン」です。

最初は親がローンを返済し、定年退職した時点で子が返済を引き継ぎます。住宅を購入するタイミングだけでなく、リフォームや住み替えにも活用できる便利な制度です。こちらでは、親子リレーローンの場合の返済免除について紹介します。

子が団信に加入している

親子リレーローンの場合、団体信用生命保険に加入できるのは子のみとしている金融機関がほとんどです。住宅ローンを最後まで支払うのは子であり、子が最終的な責任を負うべきと考えられているためでしょう。親が返済を終えずに死亡したとしても、住宅ローンの残債は返済免除となりません。基本的に、親は団体信用生命保険に加入していないためです。反対に、団体信用生命保険に加入している子が死亡した場合、住宅ローンの残債は保険金で帳消しになります。

親がフラット35で団信に加入している

フラット35で住宅ローンを借り入れた場合、条件はあるものの親も団体信用生命保険に加入できます。親が団体信用生命保険に加入した状態で返済を終えずに死亡した場合、遺族は住宅ローンの返済を免除されます。

主債務者が死亡した場合に取る手続きと必要書類

団体信用生命保険の加入状況によって手続きが変わる
団体信用生命保険の加入状況によって手続きが変わる

住宅ローンを返済している途中で主債務者が死亡した場合、団体信用生命保険に加入していたかどうかでその後の手続きが変化します。こちらでは、主債務者が死亡した場合に取る手続きと必要書類について、団体信用生命保険に加入していたケースと未加入のケースに分けて紹介します。

団信に加入していた場合の手続きの流れと必要書類

死亡した主債務者が団体信用生命保険に加入していた場合、住宅ローンの契約先である金融機関へ連絡を取り、保険金の請求手続きを行います。必要書類は以下の3つです。

・団信弁済届
・死亡証明書または死亡診断書、死体検案書
・死亡事実記載のある住民票

提出された書類をもとに保険会社が支払いの可否を判断します。上記書類だけでは判断できないケースでは、追加で書類の提出や遺族への照会などが求められるようです。団体信用生命保険は、死亡以外にも契約者が高度障害状態となった場合にも保険金が支払われます。高度障害状態の場合は提出する書類が異なるため注意しましょう。また、団体信用生命保険による保険金の請求には3年の時効が設けられています。この期間を過ぎると保険金の請求ができなくなるため、なるべく早く行動しましょう。

団信に未加入だった場合の手続きの流れと必要書類

死亡した主債務者が団体信用生命保険に加入していなかった場合、住宅ローンの残債は返済免除となりません。そのため、相続人が住宅ローンの返済を引き継ぐ場合は、さまざまな手続きが必要です。代表的なものは以下の2つです。

・被相続人から相続人への所有権移転登記
・抵当権の変更登記

ともに金融機関で申請用紙と相続届を受け取り、必要事項を記載のうえ、添付書類とあわせて提出することになります。戸籍謄本の写しや登記事項証明書などの提出を求められることもあるため、不明点は住宅ローンの契約先の金融機関に確認するのがおすすめです。

住宅ローンが返済免除にならなかった場合は相続方法を選ぶ

団体信用生命保険に加入していないケースのように、住宅ローンの契約者が死亡しても返済義務が免除されないことがあります。その場合、残された家族は住宅ローンを相続するか判断しなければなりません。こちらでは、住宅ローンが返済免除とならなかった場合の相続方法について、相続放棄・限定承認・単純承認の3パターンを紹介します。

相続放棄

住宅ローンを相続しない場合、相続放棄の手続きを行う必要があります。相続放棄を行うと、被相続人のすべての債権や債務を放棄することになり、住宅ローンの返済義務はなくなります。ただし、被相続人の「住宅ローンを返済する代わりにマイホームに住む権利」も放棄するため、その住宅に住み続けることはできません。相続放棄は、相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内と、スピーディな対応が必要です。

限定承認

限定承認は、被相続人のプラスの財産の範囲でマイナスの財産を相続する方法です。たとえば、被相続人にプラスの財産が500万円、住宅ローンの残債が1000万円あった場合、500万円を上限に住宅ローンを相続します。相続した財産の範囲で住宅ローンの残債を返済するため、マイホームに住み続けられます。限定承認は、被相続人の債務がどの程度あるかわからない場合に有効な方法です。こちらも相続の開始を知ったとき3カ月以内に手続きを行う必要があります。

単純承認

プラスの財産もマイナスの財産も、被相続人の財産をすべて相続するのが単純承認です。住宅ローンの残債は相続人へ引き継がれるため、マイホームを失うことはありません。相続放棄や限定承認が可能な3カ月を過ぎると、単純承認したとみなされるため、特別な手続きは不要です。3カ月を経過していなくても、住宅のリフォームや売却など、法律で定められた処分行為をすると単純承認をしたものとみなされます。それぞれのケースに合わせ、適切な方法を検討しましょう。

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公開日 2020年9月5日
更新日 2020年10月22日

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