中古住宅の購入にかかる諸費用・税金の内訳、必要なタイミングを解説

中古住宅の購入にかかる諸費用・税金の内訳、必要なタイミングを解説

中古住宅の購入を考えるとき、「詳しい費用が分からない」「どのタイミングで何を支払えばいいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。特に、初めて住宅購入をする場合、住宅購入の流れや、住宅ローンを借り入れるときに必要な諸費用の金額など、わからないことだらけです。

中古住宅の購入にかかる諸費用や税金を事前に把握することで、今後のスケジュールも立てやすくなりますし、手続きもスムーズになります。この記事では、中古住宅の購入にかかる諸費用・税金の内訳、必要なタイミングを詳しく解説します

中古住宅の購入にかかる諸費用の一覧とタイミング

そもそも諸費用とは、物件購入額のほかにかかる費用のことで、主に手数料や税金、手付金が含まれます。手続き直前になって「お金が準備できてない!」ということがないように、まずは中古住宅の購入の流れと諸費用の目安金額、支払いのタイミングをチェックしていきましょう。

中古住宅を購入するときの流れをチェック

中古住宅を購入するまでの流れと必要な諸費用を見ていきましょう。

・物件の情報収集/内見
・購入の申し込みをし、購入申込金を支払う
・ローンの事前審査
・重要事項説明を受けた後、売買契約し手付金を払う
・ローンを申し込み、本審査を経て契約(ローン契約にかかる諸費用)
・残代金の決済と同時に物件の引き渡し

上記のように、中古住宅購入の際は「購入申込金」「手付金」「残代金」を始めとする諸費用がかかります。それぞれ支払うタイミングや金額が異なるため、「どのタイミングで何を支払うか」という部分をしっかり把握しておきましょう。

諸費用の目安金額

中古住宅の購入に必要な諸費用の目安は、物件価格の6~9%程度と言われています。例えば、3500万円の中古住宅を購入する場合、210万~315万円程度の諸費用がかかるというわけです。諸費用は住宅ローンに含まず、現金で支払うことが一般的ですので、事前に金額を確認して必要な金額を用意しておきましょう。

中古住宅の購入に必要な諸費用一覧

中古住宅の購入に必要な諸費用を一覧にしました。支払のタイミングも明記していますので、いつどんな費用が必要なのか知っておきましょう。

諸費用諸費用の内訳
売買契約時にかかる諸費用購入申込金
印紙税
手付金
仲介手数料
住宅ローンを借り入れるときに必要な諸費用融資手数料
ローン保証料
火災保険・地震保険
団信(団体信用)保険料
印紙税
引き渡し前にかかる費用残代金
登記費用
引き渡し後にかかる諸費用リフォーム費用
引っ越し代
入居後に必要な諸費用固定資産清算金
不動産取得税

売買契約時に必要な【印紙税】

不動産取引の際に作成される書類に対してかかる税金を印紙税という
不動産取引の際に作成される書類に対してかかる税金を「印紙税」という

ここからは、諸費用のさらに詳しい内訳について解説していきます。費用の計算方法や目安金額も一緒にまとめていくため、予算の計画を立てる際にぜひ参考にしてみてください。

まずは、売買契約時に必要な「印紙税」からご紹介します。印紙税とは、不動産取引の際に作成される書類(契約書)に対してかかる税金です。中古住宅購入の際に、印紙税が必要になる書類は主に「売買契約書」「金銭消費貸借契約書(ローン借入)」の2つです。

売買契約書

「売買契約書」とは、物件が売り手から買い手に受け渡された際に合意した事項をまとめた書類です。租税特別措置法により、2014年4月1日から2022年3月31日までに作成された書類であれば、以下のような印紙税の軽減措置が取られるようになりました。

契約金額本則税率軽減税率
500万~1000万円以下1万円5000円
1000万~5000万円以下2万円1万円
5000万~1億円以下6万円3万円

参考:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

金銭消費貸借契約書(ローン借入)

「金銭消費貸借契約書(ローン借入)」とは、住宅ローンを組む際に金融機関と交わす契約書です。金銭消費貸借契約書も印紙税の対象ですので、契約金額に応じた印紙税額を確認しましょう。印紙税の金額が分からない場合は、国税庁が定めた印紙税額の一覧を参考にしてみてください。

契約金額印紙税
500万~1000万円以下1万円
1000万~5000万円以下2万円
5000万~1億円以下6万円

参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

売買契約時に必要な【手付金】

続いては、売買契約時に必要な「手付金」について解説します。手付金とはどんなものか、手付金の目安金額、そして戻ってくるのかどうかという点をチェックしていきましょう。

手付金とは?

「手付金」とは、売買契約締結の際に先払いする代金で、主に3種類あります。

・解約手付:一度結んだ契約を解除する際の手付金
・違約手付:債務不履行が発生した場合の手付金
・証約手付:売買契約が成立したことを証明する手付金

契約してから物件が引き渡されるまでは少なくとも1カ月以上かかってしまいます。その間に売り手側が「売るのをやめたい」と申し出た場合、違約金として手付金と同額のお金が返ってくるという仕組みです。

また、買い手側が「購入をキャンセルしたい」という場合は、解約手付として手付金が没収されます。ただ、契約書に「ローンの特約」を付け加えた場合、ローンの審査に落ちたときの手付金は返還されます。

手付金の目安は5~10%

手付金の目安金額は物件価格の5~10%と言われています。手付金を支払う際は、金額だけでなく「手付解除期日」も把握しておくことが大切です。手付解除期日とは、手付金を放棄すれば違約金を支払わずに住宅購入の契約を解約できる期間のこと。

手付解除期日は業者によって異なりますが、一般的に契約後1カ月程度だと言われています。解約することになったときのことも考えて、契約時にしっかりと確認しておきましょう。

売買契約時に必要な【仲介手数料】

不動産会社に支払う「仲介手数料」は、主に「売買契約時と物件の引き渡しの際に半額ずつ支払う」もしくは「物件の引き渡しの際にまとめて払う」のどちらかの形式で支払います。

支払方法は現金のほか、クレジットカードや分割払いなどさまざま。ただ、仲介手数料の上限は物件の価格によって変動するため、予算を組む際は事前に把握しておく必要があります。ここでは、仲介手数料の上限の決まりと計算方法と、仲介手数料が不要な場合について見ていきましょう。

仲介手数料の上限の決まりと計算方法

宅地建物取引業法により、仲介手数料には上限が設けられています。仲介手数料の上限額は、取引額によって異なりますが、あくまで「上限」です。一般的に、仲介手数料は上限額よりも低い価格に設定されることが多いため、参考として把握しておきましょう。国土交通省では上限額を以下のように定めています。

取引額上限額(税抜き)
200万円以下の部分5%以内
200万~4000万円以下の部分4%以内
400万円超の部分3%以内

取引額を上記の3つに分け、それぞれの仲介手数料率をかけ合わせることで、明確な上限額が算出できます。次に速算法を解説しますが、より正確な上限額を知りたい場合は、上記の参考にしてみてください。

400万円超えの物件を購入する場合は、「売買価格×3%+6万円+消費税」で計算すれば仲介手数料の上限額が速算できます。例えば、2000万円の中古物件を購入する場合は、上限額は以下の通りです。

【仲介手数料上限額の計算の一例】
2000万円×3%+6万円+消費税(10%)=66万円+6万6000円=72万6000円

2000万円の物件なら、66万円に消費税を上乗せした金額が仲介手数料の上限額です。

仲介手数料が不要な場合

不動産会社によっては、仲介手数料が無料で済むケースもあります。仲介手数料が不要なのは、主に「売主が仲介手数料を負担している」もしくは「不動産会社の仲介がない個人間売買」です。

住宅ローンを借り入れるときに必要な諸費用

住宅ローンを借り入れるときに必要な諸費用をまとめてみました。

諸費用内容目安金額
融資手数料金融機関から住宅ローンを借り入れる際に必要な手数料3万~5万円程度
ローン保証料保証会社に保証人になってもらう際に発生する費用借入額の0.5〜2%程度
火災保険・地震保険災害時の保険火災保険:2万~20万円程度

地震保険:火災保険金額の30~50%程度

※補償内容により異なる
団信(団体信用)保険料住宅ローンの契約者がローンを返済できなくなった(死亡・病気など)場合に肩代わりしてくれる生命保険に支払う費用約30万円程度

※機構団体信用生命保険の場合で、借入金1000万円のとき(返済期間15年設定の総支払額)
印紙税金銭消費貸借契約書にかかる税金500万~1000万円以下:1万円

1000万~5000万円以下:2万円

5000万~1億円以下:6万円

不動産会社に住宅ローン手続きを代行してもらった場合は、上記の諸費用に加えて、「融資斡旋手数料(住宅ローン代行手数料)」がかかるケースもあります。事務手数料などは金融機関によって異なるため、利用する金融機関に問い合わせてみましょう。住宅ローンの手続きが完了したら、引き渡しの際に必要な「残代金」や、抵当権設定登記を始めとする「登記費用」を用意します。

引き渡しの前に支払う【残代金】

「残代金」とは、売買契約時に支払った申込金や手付金、内金を物件購入金額から差し引いたものです。主に物件の引き渡しの際に支払います。

・残代金=物件購入金額-(申込金+手付金+内金ほか)

住宅ローンの手続きが当日までに完了している場合、残代金はそのまま融資実行されたお金で支払います。引き渡しまでに住宅ローンが未実行だった場合、金融機関からつなぎ融資を受けられます。

引き渡しの前に必要な【登記費用】

「登記費用」とは「不動産や土地の所有権が誰のものか」を登記するために必要な費用です。登記費用に含まれるものとしては、「登録免許税」「司法書士依頼料」が挙げられます。それでは、登録免許税の計算方法や司法書士依頼料の目安金額について解説していきます。

登録免許税

「登録免許税」とは法務局に備え付けられている「登記簿」という帳簿に、不動産や敷地の所有権を記録してもらう際に徴収される税金です。登録免許税は現金で納付して、その領収証書を申請書に貼って提出するのが一般的です。ただし、税額が3万円以下の場合は収入印紙を台紙に貼って、不動産の所在地を管轄する法務局登記所へ提出しましょう。

司法書士依頼料

登記の手続きを司法書士に依頼した場合は、登録免許税に加えて司法書士依頼料がかかります。司法書士依頼料の相場は5万~10万円程度ですが、依頼料は司法書士によって違いますので、複数の司法書士を比較しサービス内容を確認した上で依頼しましょう。

所有権移転登記の税率と軽減措置の要件

所有権移転登記に伴う登録免許税の計算方法は、「固定資産税評価額×税率」です。ただ、登録免許税の税率は、登記の種類によって異ります。まず、登記の種類を見ていきましょう。

・所有権保存登記…不動産所有権が誰にあるかを示す登記(下の抵当権設定登記に必要な登記)
・所有権移転登記…不動産所有権が売り手から買い手に移ったことを証明する登記
・抵当権設定登記…買い手がローンを返済できなくなった際に、売り手が強制的に不動産を売り、代金を回収する権利に関する登記

それぞれの税率を見る前に、2019年の税制改正により登録免許税の税率の軽減措置の適用期間が2021年3月31日まで延長されたことを念頭に置いておきましょう。適用期間内で中古物件の購入を検討している人は、軽減後の税率をチェックしてください。

登記の種類本来の税率軽減後の税率
所有権保存登記0.40%0.15%
所有権移転登記2.00%0.3%
0.1%(※特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記の場合)
抵当権設定登記0.40%0.10%

固定資産税評価額は納税通知書とともに市町村から送られてくる「課税明細書」に記載されているため、確認してみましょう。

引き渡し後にかかる【入居費用】

引き渡し後にかかる「入居費用」には、主に「リフォーム費用」と「引っ越し代」が挙げられます。それぞれの内容や、目安金額を見ていきましょう。

リフォームを検討している場合のリフォーム費用

リフォームが必要かどうかを確認して予算を立てる
リフォームが必要かどうかを事前に確認して予算を立てる

中古住宅の場合、物件の築年数が経っているとリフォームが必要です。中古住宅(一戸建て)のリフォーム代の相場は、以下の通りです。

・築15年…約150万~200万円程度
・築20年…約250万~350万円程度
・築25年…約350万~450万円程度

宅建業法の改正により、不動産会社は重要事項説明の際、事前にホームインスペクションを受けた場合買い手にその事実を伝えること、まだ受けていない場合買い手が希望すれば対応することが義務付けられました。

ホームインスペクションとは、専門家に家の状態を確認してもらい、欠陥がないか、あるとすればどの程度かを調べるものです。ホームインスペクションの利用料の相場は5万~10万円です。リフォームを検討する場合は、ホームインスペクション代とリフォーム代の両方の予算があると安心です。

引っ越し代と新調する家具の費用

前の住居から新居へ引っ越す際は、引っ越し代(引っ越し業者への人件費+交通費)や、新しい家具・家電を買うための費用もかかります。引っ越し代の相場は、2人世帯の場合6万~7万円程度、3人世帯の場合10万円前後です。ただ、家族の人数や引っ越しの時期によって金額は変わります。

入居後に必要な【固定資産税清算金】

住宅を購入したら必ず「固定資産税清算金」を支払わなければなりません。固定資産清算金とはその年の固定資産税を日割りして、売り手と買い手が分担する金額です。固定資産税とは、その年1月1日現在の所有者に課税するものですので、売買のタイミングによっては売り手が負担していることがあります。これを精算するのが「固定資産税清算金」です。

【例】固定資産税10万円の場合
※売り手100日所有・買い手265日所有(合計365日)
10万円×(100/365日)=2万7397円
10万×(265/365日)=7万2603円

また、住宅を購入する際は、上記の固定資産清算金に加えて「都市計画税」が徴収されるケースもあります。都市計画税は、主に道路や下水道の整備などの都市計画事業・土地区間整理事業に使われる税金です。都市計画税の有無や料金は地域によって異なるため、正確な金額が知りたい方は、引っ越し先の自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

入居後に必要な【不動産取得税】

「不動産取得税」とは、不動産と土地を取得した際に支払う税金のことです。毎年課税される固定資産税や都市計画税とは違い、不動産取得税は不動産と土地を購入するときだけに課税されます。

市町村の税事務所・支庁から届く「納税通知書」に書かれた期限内に収めましょう。不動産取得税の計算方法は原則「土地・建物の税額=固定資産税評価額×4%」です。ただ、新耐震基準や、そのほか一定の条件を満たした物件の場合、軽減措置が受けられます。

控除額は自治体により異なりますが、東京都では1997年4月1日以降に建てられた物件なら1200万円控除されます。
※1954年7月1日以降から控除額の設定がありますが、金額が異なります。

参考:Q13 居住用の中古住宅を取得したときに不動産取得税の軽減制度はありますか。│東京都主税局

諸費用もローンで借りられる?

中古物件を購入する際、中には「諸費用が支払当日までに用意できない」「住宅ローンと支払いをまとめたい」という人もいるでしょう。最近は、住宅ローンと諸費用をまとめて借りられる金融機関もあります。

しかし、中古物件の場合建物の価値が低いため、実施している金融機関は少ない傾向です。ただ、中には諸費用専用のローン、通称「諸費用ローン」を取り入れている金融機関もあります。返済期間を短く設定すれば金利が低く済むため、計画的に借り入れましょう。

シミュレーションして諸費用の目安金額を調べよう

物件購入にかかる経費を事前にシミュレーションする
物件購入にかかる経費を事前にシミュレーションする

中古物件の購入にかかる諸費用は、物件の金額や資産価値によって異なります。ただ、計算が苦手な人は、不動産会社が運営するサイトにアクセスするのがおすすめです。諸費用の目安金額が無料で診断できるサイトもありますので、ぜひチェックしてみてください。

不動産会社に依頼するのもひとつの手

中古住宅の購入に必要な諸費用は、一般的に物件価格の6~9%程度と言われています。しかし、固定資産税や不動産取得税、都市計画税の金額はケースによって異なります。正確な諸費用が知りたい場合は、不動産会社に見積もりを依頼するのも一つの選択肢です。印紙税や登録免許税、不動産取得税は一定の条件を満たせば、軽減措置が適用されます。事前に市町村や不動産会社へ相談して、確認しておきましょう。

公開日 2020年8月3日
更新日 2023年3月22日

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