住宅ローンの本審査に落ちる原因|通らない確率や審査にかかる期間を知って不安を解消

住宅ローンの本審査に落ちる原因|通らない確率や審査にかかる期間を知って不安を解消

住宅ローンは他のローンと比べると額が大きく長期間にわたって返済するものなので、本審査が厳しい傾向にあります。経済面や勤続年数など、住宅ローンを提供する金融機関の条件を満たしていないと、審査に受かりません。この記事では、住宅ローンの本審査に落ちる原因や、通らない確率、審査にかかる期間などについて紹介します。

住宅ローンの本審査が不安……。落ちる確率はどれくらい?

住宅ローンを利用するためには本審査を通過する必要があります。「本審査に落ちないか不安」という方は多いでしょう。しかし、住宅ローンの本審査に落ちる確率は意外にも低く、全体の5%です。

そのうえ、5%のうちの2~3%は本審査を行う際に、嘘の内容を申告したり、申告内容に間違いがあった方です。つまり、金融機関の設ける年収や勤続年数、借金の額などの条件を満たせず、本審査に落ちる確率はわずか2~3%程度とされています。

住宅ローンの本審査は、審査基準が厳しいので「受からないことの方が多いのでは」と考えがち。しかし、本審査は思っているよりも「通過できている方」のほうが多いのです。とはいえ、必ずしも自分が本審査に通過できるとは限りません。

金融機関が設ける条件を満たしていないものがひとつでもあると、本審査で落ちてしまうリスクがあります。心配しすぎることはありませんが、油断のしすぎも禁物です。

本審査に必要な期間と審査基準

 事前審査後の本審査に必要な期間は約1~2週間。金融機関によって審査期間は多少異なる
事前審査後の本審査に必要な期間は約1~2週間。金融機関によって審査期間は多少異なる

住宅ローンの本審査は申し込み当日に結果が分かるわけではありません。住宅ローンを利用する金融機関によって日数が異なりますが、合否が分かるまでに時間がかかります。
また、住宅ローンの本審査には、様々な審査項目・審査基準が設けられていますので、あらかじめ把握しておく必要があるでしょう。ここからは、本審査に必要な期間と審査基準について解説します。

審査期間はトータルで約1~3週間程度

住宅ローンの審査にかかる期間はおよそ1~3週間程度です。まず、住宅ローンの本審査を申し込む前に、「事前審査」と呼ばれるものがあります。事前審査は簡易的な審査のひとつで、「年収がどれくらいあるのか」「1年間に返済する住宅ローンが年収のどれくらいの割合を占めるのか」などを金融機関がチェックします。

事前審査は、本審査とは異なりローン申し込み者の細かな情報を調べません。事前審査にかかる期間は3~4日ほどです。事前調査を通過したら、本審査へと進みます。本審査を申し込んでから結果が分かるまでは1~2週間です。

本審査では金融機関に以下の項目を審査されます。

・ローン申し込み者の勤続年数
・申し込み内容に嘘がないか
・借金(他のローンも含む)はどれくらいあるのか

一般的な金融機関は、事前審査と本審査の2つを行うので審査には1~3週間もの期間を要します。

審査は申込者の属性を中心にチェック

本審査では、申込者の属性を中心に細かくチェックしていきます。審査項目は以下のようなものがあります。

・年収
・勤続年数
・借金の有無、借金の額
・正社員/公務員/フリーター
・国籍

上記の審査項目は、住宅ローン申込者の「返済能力」を確認するうえで必要なポイントです。特に、年収や勤続年数、借金などは信用情報なども確認しながら調査が進められます。

もし年収が高くても、他の借金の額が大きければ住宅ローンの本審査には落ちてしまいます。逆に、フリーターやパートといった非正規社員であっても、勤続年数が長かったり、収入が高ければ本審査に受かる確率は高くなるとされています。

必ずしも「年収が高ければ受かる」「借金がなければ受かる」「フリーターだから落ちる」とは言い切れません。ちなみに、住宅ローンの多くは「日本国籍」もしくは、永住許可のある方しか利用できません。また、日本国籍に変わったばかりの方も、住宅ローンの本審査を通過できないことがありますので注意してください。

新規借入よりも借り換えのほうが審査基準が甘い

住宅ローンは、新規借入よりも、借り換えのほうが審査基準が甘いと言われています。住宅ローンを利用するにあたり、方法は「新規借入」と「借り換え」の2つがあります。

新規借入は、不動産を購入するために金融機関へ融資を受けることであり、これから物件を購入する方の選択肢です。借り換えは、すでに契約している住宅ローンを別の金融機関の住宅ローンを借り直すことを指します。現在支払っている住宅ローンよりも金利が低いものに変更したいときや、魅力的なオプションがあるローンに変えたいときなどは、借り換えがベストです。

借り換えを選ぶ場合、審査項目は新規借入同様に「年収」「勤続年数」などの他、以前契約していた住宅ローンの返済で遅れがなかったか、などもチェックします。借り換えの場合、これまでにすでに住宅ローンの借入を何割か返している状態での申し込みですので、結果的に少ない金額の融資を依頼することになります。

借りる金額が少なくなる分、審査に通りやすくなるのです。ただし、新規借入よりも借り換えのほうが審査基準が甘いとはいえ、以前の住宅ローンの返済状況などによっては、本審査に落ちる可能性があることを頭に入れておきましょう。

事前審査に通ったが、本審査で落ちるケースと理由

金融機関の融資を受けるためには、事前審査だけではなく本審査にも受からなければなりません。ここからは、事前審査は通ったのに、本審査で落ちるケースを紹介します。

信用情報に傷がついている

事前審査に通ったにも関わらず、本審査で落ちるケースとして、まず挙げられるのが「信用情報に傷がついていること(ブラックリスト)」です。過去に自己破産したことがあったり、任意整理をしたことがあったりなど、何らかの債務整理や金銭トラブルがあると個人信用情報機関にその事実が登録されてしまいます。

また、クレジットカードの審査に落ちたり、消費者金融で借りたお金の返済を滞納したりしても「ブラックリスト入り」の原因になります。万が一、信用情報機関にそれらの事実が登録されてしまった場合、掲載期間中は住宅ローンをはじめ、あらゆるローンが利用できなくなるのです。

事前審査では、信用情報までは調査をしません。仮に信用情報に問題があったとしても、事前審査には通る場合があります。しかし、本審査では信用情報機関のデータをしっかりと確認されます。

ちなみに、信用情報機関に自分の情報が登録される期間は5~10年です。もし、心当たりがある場合は信用情報機関に「情報開示」を申し込んでみましょう。1000円程度の手数料で信用情報をチェックできます。

本審査で提出した書類と事前審査の情報が異なる

事前審査は通ったのに本審査で落ちる原因は、「事前調査の情報と本審査で提出した書類が異なること」です。例えば、事前審査の際に申告した年収と、本審査で申告した年収が異なる、などが挙げられるでしょう。

また、事前審査の後に別のローンを組んだり、支払い中のローンを繰り上げ返済で完済して本審査の書類を作成してしまうと、「借金」の審査項目で事前審査と本審査とで違いが生じてしまいます。

意図的に事前審査や本審査で嘘の申告をしていないとしても、思わぬ部分で住宅ローンに落ちるリスクがあります。審査期間中は、書類に大きな変化が伴うような行動は避けるよう、気を付けてください。

そもそも必要な書類が提出できなかった場合

当然ですが、住宅ローンの事前審査に通っても、必要な書類が提出できていないと本審査で落ちてしまいます。事前審査と本審査とでは、揃えなければならない書類の数が全く異なります。

例えば、事前審査は本人確認書類や、年収が分かる書類(源泉用集票など)、ローン事前調査申込書が必要です。一方、本審査は本人確認書類や年収が分かる書類に加え、住民票や印鑑証明書、勤続年数を確認できる書類、物件に関する書類など、提出書類の数が多いのです。

住宅ローンの審査を受ける場合、書類が一つでも不足していたら落ちてしまいますので、確認しながら書類を揃えてください。また、必要書類を揃えても、書類の記載内容に不備があると本審査に落ちてしまいます。必要書類に記入する際には、誤りがないように慎重に書いていきましょう。

団体信用生命保険に加入できなかった

団体信用生命保険に加入できないと、本審査を通過できません。住宅ローンを契約するためには、団体信用生命保険に加入することが条件です。もしも、ローンを返済する方が死亡した場合、その保険金で金融機関が融資額を補填するからです。

例えば、健康状態に問題があると団体信用生命保険に加入できません。団体信用生命保険に加入するためには、保険会社が設けている基準を満たしている必要があります。例えば「持病を持っていない方」「血糖値に問題がない方」などが保険会社の設けている審査基準です。住宅ローン申し込み者の健康状態が、本審査の合否を分けるといっても過言ではありません。

年収のわりに借入額が多すぎる

住宅ローンの事前審査に通っても、年収のわりに借入額が多すぎると本審査に落ちることがあります。住宅ローンは、年収に対して年間の返済額が多すぎないかをチェックし、無理のない返済が可能かを見極めます。

年収に対して返済額が多すぎると、「返済が難しい」と判断されてしまい、本審査に落ちるのです。「いくらの年収に対し、いくらの借入額なら本審査に通るのか」は、住宅ローンを取り扱う金融機関によって異なりますので一概にはいえません。

一般的には借入上限額は、年収の3割程度として基準を設けている金融機関が多いです。年間の返済額が年収の3割を超えていると、本審査に通らない可能性が高いでしょう。

本審査に落ちないためにできる対策

事前審査後に新たな借り入れをしないのも本審査に落ちないための対策のひとつ
事前審査後に新たな借り入れをしないのも本審査に落ちないための対策のひとつ

住宅ローンの本審査に落ちないためには、事前に「対策」を把握しておく必要があります。本審査は「自分のステータスが合否を左右する」と考えがちですが、対策次第で審査に通りやすくなるものです。本審査に落ちないためにできる対策を解説します。

書類の記入ミスや不備は第三者の確認を通して防ぐ

住宅ローンの本審査を申し込む書類の準備には、第三者に協力してもらい、複数人でチェックしましょう。住宅ローンの本審査に落ちないためにも、書類の記入ミスや不備は防がなければなりません。書類の記入ミスや不備が減るだけでも、住宅ローンの本審査に落ちるリスクは少なくなります。

また、「虚偽の申告」は絶対にNGです。意図的に虚偽の申告をしたつもりがなくても、事実と異なることを記入すると本審査に落ちてしまいます。

持病がある場合は詳細を把握して正直に伝える

住宅ローンの本審査に落ちないためにも、持病がある場合は正直に伝えておきましょう。
住宅ローンの本審査で不利になりたくないがために、持病を隠している方も少なくありません。しかし、持病の有無は本審査で分かってしまうことです。

持病があるならむしろ、先に正直に伝えておくことをおすすめします。あらかじめ持病の件を話しておけば、担当者が一緒に対応策を考えてくれます。「持病がある=絶対に本審査に落ちる」というわけではありません。持病を持っていることが分かっているなら、事前審査前に打ち明けておくことをおすすめします。

借入金額を少なくする

住宅ローンの本審査で落ちないために、申し込みをする前に借入希望金額を少なくすることをおすすめします。住宅ローンは、年収に対する年間の返済額の割合が大きいと、「返済が難しいだろう」と判断されてしまい、本審査で落ちやすくなります。

年収における年間返済額の具体的な割合は、住宅ローンを提供する金融機関によって異なるものの、年収に対して30~35%が上限目安です。年収に対する年間返済額の割合をきちんと知り、できることなら今ある借入金額を減らしておくといいでしょう。

本審査に落ちても別の金融機関で住宅ローンが組める場合も

ローンの本審査に落ちるのは、その金融機関の審査基準を満たしていないことが理由です。本審査の審査基準は金融機関によって異なるため、住宅ローンの本審査に落ちても別の金融機関で住宅ローンを組める場合があります。

一つの金融機関で本審査が通らなかったからといって、すべての金融機関で住宅ローンを契約できないわけではありません。住宅ローンの本審査に落ちたら、別の金融機関の住宅ローンに申し込んでみましょう。審査基準の違いから、もしかしたら本審査に通るかもしれません。

ただし、本審査に落ちた理由によっては、別の金融機関の住宅ローンに申し込んでも再度落ちる場合があります。例えば、借金の額が高いことが理由で住宅ローンの本審査に落ちた場合、別の金融機関の住宅ローンに申し込んでも落ちる可能性が高いでしょう。

「本審査に落ちた理由が借金かもしれない」と考えられるなら、借金を全て返済してから別の金融機関に申し込むことをおすすめします。なお、借金以外にも本審査に落ちる理由は様々ですので、心当たりがある原因を探し、解決できそうなことは解決してから、別の金融機関の住宅ローンへ申し込んでください。

住宅ローンの本審査の際に必要な書類

住宅ローンの本審査に必要な書類は多いので、あらかじめ把握しておくことが大切です。住宅ローンの本審査に必要な書類は以下の通りです。

・ローン本審査申込書
・本人確認書類(免許証など)
・住民票
・印鑑証明書(印鑑も持参)
・年収が分かる書類
・勤続年数を確認できる書類
・物件に関する書類(売買契約書など)

ローン本審査申込書は、住宅ローンの利用を検討している金融機関で入手できます。住民票や印鑑証明書は市区町村役場で入手してください。物件の売買契約書や不動産の登記簿謄本など、物件に関する書類は、契約する不動産会社からもらえます。ちなみに、勤続年数はお持ちの健康保険証で分かります。

本審査を通過した後の流れは?

本審査を通過したら、その後住宅ローンの契約と借入へと進みます。住宅ローンの契約から融資実行までは1カ月ほどの期間を要します。本審査に通過したからといって、すぐに物件が引き渡しになるわけではありません。借入のタイミングは物件の引き渡しのときと決まっています。

住宅ローンの借入後、契約内容通りに月々の返済を滞りなく済ませましょう。本審査が終わるとひと段落したような感覚に陥ってしまいますが、実際は融資実行されてからがスタートです。滞ることなく返済を続けていきましょう。

手付金が返ってこない場合も。契約書は要確認

契約書の手付金に関する項目を確認して、トラブルを防ごう
契約書の手付金に関する項目を確認して、トラブルを防ごう

住宅ローンを利用するにあたり、支払った「手付金」が返ってこない場合がありますので注意してください。手付金とは、住宅ローン審査の合否が分かる前の段階で、不動産購入費用の一部を売主へ支払うものです。

手付金の金額は不動産費用の5~10%ですので、比較的高いお金を売主に渡すこととなります。その後住宅ローンの審査が通らず、不動産を購入できないということになれば、通常は手付金は返金されます。

しかし、手付金が返ってこない場合があります。契約書に「買主側の事情によって売買契約を解約する場合は手付金を返還しない」という要旨が記載されていた場合です。住宅ローンの審査が通らなかったことが理由で、売買契約を解約する場合は「買主側の事情」に該当します。

もしかしたら、売主から手付金を返してもらえないかもしれません。もしくは、返してもらえたとしても支払った手付金の一部でしょう。手付金はトラブルに陥る可能性がありますので、売買契約を交わす前に契約書の内容をしっかりと確認しておきましょう。

審査結果を早く知りたい場合は仮審査がない金融機関がおすすめ

住宅ローンの利用可否を早く知りたいときには、仮審査(事前審査)がない金融機関をおすすめします。一般的に、住宅ローンを提供する金融機関は「仮審査」を設けていますが、仮審査をせず最初から本審査をする金融機関もあります。

仮審査がない分、住宅ローンが利用できるのかどうかが比較的短い期間で分かります。急ぎの方や、面倒な手続きを減らしたい方にはメリットとなるでしょう。ただし、仮審査がないからといって、本審査が甘くなるということはありません。仮審査がなくても、本審査は基準を満たしていなければ通過できないので注意してください。

公開日 2020年9月5日
更新日 2023年3月22日

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