ふるさと納税は住宅ローン控除(減税)と併用可能なのか?

ふるさと納税は住宅ローン控除(減税)と併用可能なのか?

ふるさと納税と住宅ローン控除は、どちらも所得税と住民税として納める税金を控除できる制度ですが、このふたつを併用することはできるのでしょうか。ふるさと納税をした年は住宅ローン控除になにか影響があるか、詳しくみていきます。

ふるさと納税とは?

ふるさと納税には、「納税」という言葉がついていますが、実際には「寄付」という形で自治体を応援できる制度です。「ふるさと」納税ではありますが、もちろん自分の出身地である必要はなく、好きな自治体を自由に選ぶことができます。

寄付金の使い道を自分で選ぶことができるうえ、地域に貢献できるだけでなく、寄付をすることで返礼品として地域の特産品などがもらえることで人気となっています。

ふるさと納税の最大のメリットは、寄附額のうち2000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除されること。「実質自己負担2000円で返礼品がもらえる」といわれているのはこのためです。

寄付する自治体と返礼品を選び、申し込みと支払いが完了したら、自治体から「返礼品」と「寄附金受領証明書」が届きます。必要な手続きをすれば、控除を受けることができる仕組みです。

手続き方法は2つ

控除を受けるための手続きは2つの方法があります。

ひとつは「ワンストップ特例制度」を利用する方法。確定申告が必要ない給与所得者で、納税先が1年間に5自治体以内であれば確定申告をしなくてもよいことになっています。

ワンストップ特例制度の申請書に必要事項を記入し、本人確認書類を添付して自治体に送付します。寄付をするとその都度、申請が必要になります。申請書のフォーマットや郵送の仕方などは自治体によって異なりますので、寄付ごとに確認しましょう。

もうひとつは確定申告をする方法です。対象となるのは、個人事業主や不動産収入がある人、給与が2000万円以上ある人、給与所得が2つ以上の会社からある人など。ワンストップ特例制度の申請の期日に間に合わなかった場合、6か所以上の自治体に寄付したい人も確定申告が必要です。1月から12月までの所得を確定させ、毎年2月16日〜3月15日の申告期間に忘れずに手続きをしましょう。

控除の上限額は所得や家族構成で異なりますが、ワンストップ特例制度を利用した場合は、控除額の全額が翌年度の住民税から控除されます。確定申告をした場合、その年の所得税と翌年度の住民税から控除される仕組みになっています。詳細や最新情報は、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」で確認してみてください。

住宅ローン控除(減税)とは?

ふるさと納税のためだけでなく、住宅を取得したときも確定申告をすることで「住宅ローン控除」を受けることができます。住宅ローン控除とは、「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる減税制度の通称。住宅を購入するためにローンを組んだ人が受けられる控除です。

ローン残高に応じた金額が所得税から差し引かれ、年末のローンの残額1%に相当する税金が還付される仕組み。ローン残高が減るにしたがって、控除額も減っていくことになります。控除期間は10年間でしたが、消費税が10%になったことで、13年間に延長されました。

ローン残高の上限は4000万円で、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅に限り5000万円。1年間で最大40万円(50万円)の控除が受けられます。所得税で控除しきれなかった場合は、翌年の住民税から差し引かれることもあります。

たとえば1年目から10年目までは、「年末のローン残高の1%」(最大40万円まで)なので、たとえば、ローン残高3000万円とすると「3000万円×1%=30万円」が戻ってくる計算になります。

ふるさと納税の住宅ローン控除への影響

確定申告
ふるさと納税と住宅ローン控除は、併用できるのか?

ふるさと納税と住宅ローン控除は、どちらも所得税と住民税として納める税金を控除できる制度ですが、このふたつを併用することはできるのでしょうか。ふるさと納税をした年は住宅ローン控除になにか影響があるか詳しくみていきます。

ワンストップ特例制度を利用すれば控除額は減らない

ふるさと納税で控除を受けるためには確定申告かワンストップ特例制度を利用しますが、ワンストップ特例制度を利用する場合は、ふるさと納税と住宅ローン控除とを併用しても、控除額が減ることはありません。

ワンストップ特例制度を利用する場合、ふるさと納税の分は全て住民税から控除されます。住宅ローン控除は原則として所得税から還付され、住民税からの控除額には上限があります。

ふるさと納税分は残りの住民税で全額控除することができるので併用による影響はないわけです。ただし、住宅ローン控除額が所得税額を超える場合は、ふるさと納税の控除限度額が変わる可能性がありますのでご注意を。

確定申告をすると住宅ローン控除額が減るケースもある

一方、ふるさと納税の控除申請の際に確定申告を利用する場合は、所得税と住民税の両方から控除が行われるため、住宅ローン控除額が一部少なくなることがあります。

住宅ローン控除の1年目はワンストップ特例制度利用不可

住宅ローン控除を受けるためには、最初の1回は給与所得者であっても確定申告をする必要があります。そのため、ふるさと納税の控除申請にもワンストップ特例制度を利用することはできません。2年目からは、給与所得者は住宅ローン控除については年末調整だけ済み、ふるさと納税の控除申請にもワンストップ特例制度を利用できます。

控除の限度額を超えた金額の寄付は自己負担になるので注意

全額控除されるふるさと納税の額は、年間で上限が設けられています。収入や家族構成、配偶者の就労状況などによって条件が異なりますので、詳しくは総務省の公式サイトで確認することをおすすめします。

給与収入と家族構成、寄附金額を入力して、寄附金控除額を計算することもできるので、気になる人はシミュレーションしてみるとよいでしょう。寄付の上限を超えてしまうと控除の対象外となり、うっかり損をしてしまうことになるので要注意です。

医療費控除を受ける場合の注意点

医療費控除とは、年間(1月1日~12月31日)の医療費が一定額以上になった場合に税金の控除が受けられる制度のこと。医療費が年間で10万円(所得が200万円未満の場合は所得額の5%)を超えた場合に利用できます。

生計をともにしている家族全員分が対象で、病院での治療代だけでなく出産一時金なども含まれ、確定申告をすれば所得税と住民税が控除の対象になります。

医療費控除は年末調整では受け付けていないので、給与所得者であっても確定申告を行うことになり、ワンストップ特例制度が利用できません。医療費控除を受けることで課税所得が少なくなるので、それにともなってふるさと納税の上限額も減少することになります。こちらも気になる方は、ふるさと納税の上限額がいくらになるのかシミュレーションをしてみるといいでしょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用している場合の注意点

iDeCoは個人年金の一部で、老後の資金準備が目的で設立された確定拠出年金。職業に応じて掛金の上限が決まっていますが、毎月の拠出額がすべて控除対象になるので節税効果が大きいと人気です。

iDeCoも医療費控除と同様、利用することで課税所得が少なくなります。ふるさと納税の上限にも影響しますが、それ以上にiDeCoによる節税効果は大きいと考えてよいでしょう。

併用することは可能だが…

ご紹介してきたように、住宅ローン控除や医療費控除、iDeCoとふるさと納税を併用することは可能です。ただし、所得や家族構成によって控除対象になる金額が異なり、上限が少なくなる場合もあります。給与所得者に限られますが、ふるさと納税の控除額を下げたくない人はワンストップ特例制度を利用するのが必須。ほかの控除と併用することで実際いくらまでふるさと納税ができるのか、総務省公式サイトなどにあるシミュレーションツールで控除できる金額をチェックしてみるとよいでしょう。

公開日 2020年6月8日
更新日 2023年3月22日

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